2016年のWTCC第9戦日本ラウンドの決勝が4日、ツインリンクもてぎで開催。2レースとも白熱したバトルが展開された。
当初は雨になるのではないかという天気予報で、ピットウォーク時にも一時的に雨が降ったが、決勝は前日同様の青空が広がり、夏を思わせるような暑さの中で決勝がスタートした。
WTCCは2レース制で行われるが、今年から名称が変更。1レース目は「オープニングレース」となり、予選結果トップ10がリバースグリッドが採用され、2レース目は通常グリッドで「メインレース」として行われる。
まずオープニングレースではリバースグリッドにより、ノルベルト・ミケリス、ロブ・ハフのホンダ勢がフロントローを独占。逆に今季絶好調のホセ・マリア・ロペス、イヴァン・ミューラーのシトロエン勢は9・10番手からのスタートとなった。
しっかりとホールショットを決めたミケリスは、1周目から後続を引き離す力強い走りを披露。ホンダの地元ということもあり、コースサイドからも熱い声援を送るファンが多かった。
一方、2位争いは熾烈な展開に。グリッド順通りハフが続き、3番手にはテッド・ビヨルク(ボルボ)が続く展開。序盤からWTCCらしい接触しながらのバトルを披露するなどしていたが、次第に後方から追い上げてきたティアゴ・モンテイロ(ホンダ)も加わっての3台によるバトルに。そして、一瞬の隙をついたモンテイロが90度コーナーでビヨルクをパス。これでホンダ勢が1位から3位までを独占する展開となった。
このままゴールまで行きたいところだったが、昨日の予選でも圧倒的な速さをみせたロペスが4番手に浮上。終盤にはモンテイロの背後に迫るが、冷静に横に並ばせる機会を与えずファイナルラップへ突入していった。
トップは結局ミケリスのままで、後続にしっかりとしたアドバンテージをつけトップチェッカー。今季優勝を飾り、2位にはハフ、3位はシトロエン勢の追撃を振り切ったモンテイロが入り、地元レースでホンダ勢が表彰台を独占。ポディウムではマニュファクチャラーを讃えるため君が代が流れた。
オープニングレースの表彰式が終わるとWTCC恒例のリペアタイムに突入。今回は大きな接触が少なく、恒例のガムテープの登場も控えめなものとなったが、各車ともブレーキパッドの交換や、マシンによっては気づついたバンパーをそのまま交換するなど、短い時間で対応に追われていた。
続くメインレースは、ロペスがポールポジションでスタート。順当にホールショットを奪うと、そのまま後続を引き離していく。2番手争いはミューラーとモンテイロの争いに。オープニングレース同様にホンダ勢に勝利をもたらしたいモンテイロだったが、なかなかミューラーを攻略できず、こう着状態が続いた。
このままロペスのポール・トゥ・ウィンかと思われたが、残り2周で突然のスローダウン。実は第11戦タイラウンドの中止が内定しており、このレースでチャンピオンが暫定的に決まるロペス。さらに今年限りでWTCCを去り来期はフォーミュラEに転身することが決まっており、チームメイトとして時には切磋琢磨し、時にはサポートしてくれたチームメイトに感謝の意味も込めてトップを譲ったのだ。
これで、ミューラーがトップとなりチェッカーフラッグ。もてぎラウンドを初めて制覇した。2位にはロペス、3位にはモンテイロが続いた。
これで、暫定ではあるがチャンピオンが決まったロペス。レース後は母国アルゼンチン国旗を掲げウイニングランを行い、パルクフェルメでもチームスタッフを喜びを爆発させていた。
なお、9月末の世界モータースポーツ評議会でタイラウンドの中止が正式承認されて、彼の3年連続チャンピオンが正式決定することになる。
また、今回3年ぶりにドライバーとしてサーキットに帰ってきた道上龍(ホンダ)は両レースとも15番グリッドからスタート。オープニングレースでは、終始トム・コロネル(シボレー)と接近戦のバトルを演じたが、最後までポジションを譲らず11位でフィニッシュ。メインレースではクールスーツがうまく機能せず、無風で灼熱状態の車内の中で奮闘。後半は脱水症状になっていながらも、最後まで走りきり17位完走を果たした。
レースを終えた道上は「予選と同じでタイヤの使い方で苦労しました。ちゃんと走りきれましたし、コツコツ当てられたりとかWTCCの激しいレースも体験できましたし、いい経験させてもらいました」とコメント。もし来年も参戦のチャンスがあったら?という質問には「いきなり出て結果を出すのは難しいレースなので、また出るのであれば、もうちょっとクルマの特性を理解できるように、ラップを重ねて練習したいなぁとは思います」と語っていた。
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