2016年のSUPER GT第4戦SUGOの決勝レース。今年も「SUGOの魔物」に翻弄される1戦となった。
決勝日は朝から雨模様となり、フリー走行はウエットコンディションでスタート。しかし決勝が近づくにつれて雨も止み、ドライコンディションになったが、直前になった再び雨がパラつきはじめるなど、難しい状況の中でスタートした。
GT500クラスはポールポジションのNo.6WAKO’S 4CR RC F(アンドレア・カルダレッリ)が順当に順当にホールショットを決め1コーナーへ。そこへNo.17KEIHIN NSX CONCEPT-GT(小暮卓史)も食らいつき早くもトップ争いが激化する。そこに早くもGT300の混走が絡み始めた隙に小暮が6周目のメインストレートでインを伺う。ここはカルダレッリがしっかり押さえたが、続く1コーナーでGT300車両と絡みスピン。大きく順位を落としてしまう。
これで17号車がトップに浮上。今回はグランドスタンドにケーヒンの大応援も来ており、その声援を受けて力強く周回したが、後方からNo.38ZENT CRUMO RC F(石浦宏明)が接近。こちらも瞬く間にバトルに突入していった。そして16周目の馬の背コーナーで石浦がインに飛び込んだところに小暮も負けじと応戦。その結果、2台が接触し17号車がスピン。こちらもトップ快走から一転し13番手まで後退した。
しかし、これでもトップ争いは収束を迎えることはなかった。トップの38号車(石浦)に迫ったのは、8番手スタートから追い上げてきたNo.39DENSO KOBELCO SARD RC F(ヘイキ・コバライネン)。20周目に2番手に浮上すると、23周目の1コーナーでブレーキング勝負を制しトップに浮上。GT500参戦2年目のコバライネンが、F1などで培ってきた才能を存分に発揮する走りをみせた。
このままリードを広げたいところだったが、26周目にNo.5マッハ車検86MCが最終コーナーでスピンオフ。安全確保のためセーフティカーが導入された。ちょうど、ドライバー交替が可能になる3分の1(27周)を迎えるタイミング。昨年はピットロードでの大渋滞があったため、今年はルール上SC中のピット作業は禁止。それでもSC解除直後にピットインするマシンが何台かいるなど、今回は戦略が分かれることになった。
30周終わりでレースが再開されると、トップ争いがまた白熱。今度は39号車(コバライネン)にNo.19 WedsSport ADVAN RC Fの関口雄飛が接近。とにかく躊躇せずにどのコーナーでも積極的に仕掛けていく。しかしコバライネンも数々のレースで経験があるドライバー。一歩も引かずに応戦。それでもほとんど接触せずにフェアなブロックでトップを死守。毎周に渡って繰り広げられるバトルにファンも熱狂した。
レース中盤の44周になって、19号車が先にピットイン。国本雄資へ交替し逆転を目指した。一方の39号車は46周まで引っ張ってピットイン。こちらは平手晃平にバトンタッチし、トップままでコースへ。しかし、背後にいたのは19号車ではなくNo.24フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R(佐々木大樹)だった。実はSCが解除された時にいち早くピットイン。そこでタイヤ無交換というギャンブルに出て、作業時間を稼いで順位を上げていたのだ。
平手もピットアウト直後でタイヤが温まっていなかったこともあり、47周目のレインボーコーナー立ち上がりでパスしトップに浮上した。しかし平手もタイヤが温まると反撃を開始。すぐに接近して並びかけようとするが、佐々木が徐々にペースを掴んでいき、再び約3秒のリードを築いた。
ただ24号車にとっての一番の心配事はタイヤ無交換だということ。少なからずタイヤを労わる必要があるため、プッシュするのは厳しい状態だったのだ。残り10周で39号車をはじめ38号車の立川祐路、6号車の大嶋和也、19号車の国本もおいつきトップ5台が2秒以内にひしめく大激戦となった。
真っ先に仕掛けたのが38号車。残り6周となった1コーナーで39号車をパスし2番手に浮上。さらにバトルが激化するかと思われた次の瞬間、最終コーナーでNo.18アップガレージ86MCがクラッシュ。大きなインパクトだったため、ドライバーも心配されたが、乗っていた山田真之亮は自力でマシンを降り無事だった。しかし、これにより赤旗が出されレース中断。メインストレート上に全マシンが並べられた。
審査員の協議の結果、そのままレースは終了。全周回の75%を消化していたため選手権ポイントもフルで与えられた。これで24号車の優勝が決定。KONDO RACINGは昨年の第4戦富士以来、今季初優勝をマークした。2位は赤旗提示時点では38号車だったが、規定により74周終了時点での結果が採用されることに。そのため、39号車が2戦連続で2位となり、38号車は3位に入り、今季初表彰台を獲得した。
今回はトップを走行したマシンが5台、トップ3を走ったマシンが計8台と、珍しく目まぐるしく上位が入れ替わる波乱のレースとなった。
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