2016年のスーパー耐久の開幕戦「もてぎ5時間耐久レース」の決勝が3日、ツインリンクもてぎで行われた。
年々参戦台数が増えているスーパー耐久。今回は全6クラスで62台がエントリー。このうち数年前に新設されたFIA-GT3マシン主体のST-Xクラスには11台が参加。例年以上にレベルの高いシーズンがスタートした。
予選ではNo.5Mach MAKERS GTNET GT-Rがポールポジションを獲得。No.32Clearwater Racing by Mooncraft Carsのマクラーレン650Sがフロントローにつけた。GT-R対マクラーレン650Sの対決に注目が集まったが、いざスタートすると5号車を駆る星野一樹が先行。No.24スリーボンド日産自動車大学校GT-Rのスタートドライバーを務めた藤井誠暢が2番手に浮上。1周目から後続を一気に引き離していく。両者ともにSUPER GTで実績のあるドライバー。他クラスのマシンとの混走を巧みに利用しながら星野は逃げようとするが、藤井もしぶとくついていき、第1スティントからGT-R同士のトップ争いが白熱した。
しばらく順位変動はなくこう着状態が続いたが、1時間を経過して1回目のピットストップで明暗が分かれる。先に入った24号車が藤井から平峰一貴にバトンタッチ。チームもノーミスで再びコースへ送り出す。直後に入ってきた5号車は前日の予選PPの立役者でもある藤波清斗が乗り込むが、痛恨のエンジンストール。大きくタイムロスを喫してしまい24号車にトップを明け渡してしまう。
それでも藤波は諦めることなく猛追。2時間を経過するところで24号車の平峰を捉え混走をうまく利用しパス。再びトップを取り戻した。これで再び追いかける展開になった24号車だが、3番手で控えていた内田優大が中盤で大活躍。5号車を再び抜き返すことに成功する。まさに抜きつ抜かれつの攻防戦となったST-Xトップ争い。誰もが終盤まで2台のバトルがもつれるのではないかと感じていた。
ところが、3時間経過時点で2番手を走行していた5号車にドライブスルーペナルティが課されてしまう。直前の2回目のピットストップでピット作業違反(給油中にタイヤ交換)があったという裁定が下されたのだ。
これで一気に楽な展開となった24号車だが、最後まで気を緩めることなく着実に周回。最後は再び平峰がステアリングを握り、見事トップチェッカーを受け、今シーズンの開幕戦を制した。2位には5号車、3位にはNo.3ENDLESS・ADVAN・GT-Rが入り、終わってみればGT-R勢が表彰台を独占した。
優勝した24号車は、近藤真彦氏が率いるKONDO RACINGと日産自動車大学校がコラボし2012年に誕生したチーム。「若者のクルマ離れに歯止めをかけたい」という関係者の思いから立ち上がったプロジェクトでもある。レースウィーク中は授業の一環として実際に学生たちがチームの一員として作業を行い、簡単なメカニック作業からホスピタリティ、広報関係までの業務をサポートしている。
この日は近藤監督も現地で指揮をとり、レース後がドライバー、チームスタッフ、そして週末頑張った学生たちと喜びを分かち合っていた。シーズン前にも「今年はいけそうな予感がする」と自信を見せていた近藤監督。悲願のシリーズチャンピオン獲得に向けて幸先の良いスタートを切った。
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