2014年10月5日に開催されたF1日本GPで起きたジュール・ビアンキ(マルシャ)の事故について、事故調査委員会がFIAに報告書を提出。その一部が公式サイトで公開されている。
ウエットコンディションの中、ダンロップコーナーでエイドリアン・スーティル(ザウバー)がコースオフ。この回収作業にあたっていた作業車にビアンキが突っ込んでしまった。
これまで事故原因について様々な憶測が飛び交ってきたが、事故調査委員会は「ビアンキがダブルイエローフラッグの区間にも関わらず十分に減速をしていなかった」ことが原因の一つだとした。
また、当日は日暮れ間近で視界状況が悪く、難しいウエットコンディションだったことが事故を誘発したという指摘もあり、スーティルのクラッシュが起きた時点でセーフティカーを導入するべきだったという声も多かった。これについては過去8年間にあった合計384件のセーフティカー導入事例を踏まえ、SCを出動させなければならないという明確な理由はなかったと結論を出している。
そして、今後の安全対策としては当初議論されていたクローズドコックピット導入案は根本的な解決にならないと名言。「マシン回収の事故を避け、作業車とマーシャルの安全を守ることも非常に重要」として、合計10項目の改善案を提出した。
まずは事故原因としても挙げられたダブルイエローフラッグ中のスピードの出しすぎについては、現行のレギュレーションを見直し、より具体的な形で制限をかけられるような変更。そして各チーム・ドライバーへの共有を提案している。
さらに視界不良だったという部分にも触れ、レースのスタートを開催地の日没4時間以上前に設定することを求め、各地の雨季に重ならないようなレースカレンダーの構成にすることも提案した。
実際に鈴鹿での日本GPについても、当初は日没の4時間以上前にあたる13時00分スタートが通例だったが、次第にヨーロッパでの放送時間が優先され1990年代後半に14時へ変更。現在は15時スタートが定着してきていた。また今回、ロシアGPが入ったことで鈴鹿は1週間早い10月第1週に変更。実はこの週は例年天気が崩れやすく、大雨に見舞われたことも少なくなかった。
特に2010年以降は、放映権や開催権など利益が優先されたレーススケジュールになりがちだが、それは同時に重大事故につながる危険も潜んでいることが、改めて今回の報告書で明らかになったと言える。
2015年シーズン開幕までわずか数ヶ月。ドライバーやサーキットで働く全ての関係者の安全を確保するためにも、一刻も早いレギュレーションへの反映が求められる。
『記事:吉田 知弘』
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