2014年の”コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース。終盤も波乱続きのレースとなった。4時間を過ぎたところでトップを独走していたNo.11 F.C.C. TSR Hondaの秋吉耕佑が転倒。なんとかピットまで辿り着くが、マシン修復に時間がかかりトップから16周遅れの47位まで後退。また秋吉は骨折などの疑いもあったため、救急車でメディカルセンターへ運ばれた。
11番TSRの転倒により、トップに立ったのはNo.634 MuSASHi RT HARC PRO(高橋巧/レオン・ハスラム/マイケル・ファン・デル・マーク)。特に夕方に入ってからのスティントでファン・デル・マークが2分08秒620を記録。最初は30秒あったNo.34 ヨシムラ スズキ シェル アドバンス(津田拓也/ジョシュ・ウォーターズ/ランディ・ドゥ・プニエ)との差を1分10秒に開いていった。
このまま634番がトップを走り切るのかと思われたが、残り1時間を切ったところで1コーナーで激しく転倒するバイクが発生。その他にも転倒が相次いだため、安全確保のためセーフティカーが導入。ここで、恒例の「ライトオン」ボードが提示。今年の8耐も、いよいよナイトセッションに突入する。残り40分で再スタートが切られると、634番は最後のルーティーンストップを敢行。今年もチームを牽引してきた高橋に最後のバトンを託す。
その直後、今度はS字で3台のバイクが相次いで転倒するアクシデントが発生。その中にはエヴァンゲリオン初号機シナジーフォースTRICKSTARの含まえれており、復帰に時間を要したが、なんとかピットまで戻って修復作業にとりかかった。夕暮れを迎えたグランドスタンドに詰めかけたファンから、傷だらけの状態で帰ってきたエヴァ初号機のカワサキZX-10Rに大声援が贈られた。
これにより4度目のセーフティカー導入。残り20分でリスタートを迎え、チェッカーに向けての最後の勝負が始まった。高橋は最後まで集中力を切らすことなく走り切り19時30分を迎えチェッカーフラッグ。今年も634番が最後に栄冠を勝ち取った。
チームとしては2年連続3回目、高橋/ハスラム/ファン・デル・マークのトリオ連覇は史上初だった。2位には34番のヨシムラ・スズキ、3位にはNo.17 Team KAGAYAMA&Verity(芳賀紀行/ドミニク・エガーター/加賀山就臣)が入った。
1周のウイニングランを終え、パルクフェルメに戻ってくると、ハスラムとファン・デル・マークに出迎えられ、高橋も満面の笑み。表彰台の中央では「勝ちましたー!」と雄叫びをあげた。
そして、今年も過酷なレースとなった8耐を最後まで戦ったライダー・チームスタッフと、雨の中、炎天下の中でもスタンドで声援を送り続けたファンを讃え、盛大に花火が打ち上げられた。
『記事:吉田 知弘』
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