2014年のSUPER GT第4戦SUGO。午前中に行われた予選に続き、午後の決勝レースは“SUGOの魔物”の影響で、大波乱のレース展開となった。
分厚い雲に覆われた中で、ポールポジションのNo.36 PETRONAS TOM’S RC F(中嶋一貴/ジェームス・ロシター)を先頭にフォーメーションラップがスタート。1周の全長が3.7kmと短いSUGOでは両クラスともに隊列が整わず、結局レーススタートまでに3周を要した。その間に、なんと上空から雨が降り出し、徐々にウエット路面に変わっていく。ここでウエットレースになると予想したトップの36号車ロシターはセーフティカーが入り、レース開始と同時にピットイン。これにNo.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/金石年弘)、No.18 ウイダーモデューロNSX CONCEPT-GT(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)ら7台がピットイン。その翌周にトップにたったNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(小暮卓史/武藤英紀)もピットに入りウエットタイヤに交換した。
しかし、No.37 Keeper TOM’S RC F(伊藤大輔/アンドレア・カルダレッリ)、No.6 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也/国本雄資)、No.1 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/平手晃平)のレクサス勢がスリックタイヤでコースに留まることを選択。序盤の数周はペースが上がらず苦戦したが、その後すぐに雨は上がり路面も回復。結局序盤にピットインした陣営は再びスリックタイヤを求めてピットに戻ることになり大きくタイムロスしてしまう。
これによりレクサス勢でのトップ争いが白熱。中でも11番手スタートだった1号車平手が怒涛の勢いで追い上げ、12周目の最終コーナーでGT300車両をうまく使いトップへ浮上。その後もペースを上げて37号車カルダレッリを引き離していく。
レースも折り返しとなる40周目を迎えると続々と各チームがドライバー交代のためピットイン。しかし1号車は平手のまま走行を続け、万が一の事態に備えてピットインのタイミングを遅らせ、52周を終えたところで立川祐路にバトンを託す。
これで上位陣がドライバー交代を済ませたところで、SUGOの魔物はまたしてもイタズラを用意。残り10周になろうかというところから雨が降り始めたのだ。これに各チームが再度ピットインしウエットタイヤに交換。しかしトップ3台のレクサスRC Fは後方とのタイム差を考慮しスリックタイヤのままで最後まで走り切ることを決断。その中でもペースが良かったのは立川で2位の37号車伊藤との差をさらに広げ、1分近いリードを築いた。
前回はニッサンの表彰台独占が話題になったが、今回は1号車立川、37号車伊藤、6号車国本と残り10周でレクサス勢がトップ3を独占。オートポリスでの汚名返上となるかと思われたが、復活の狼煙を上げたいホンダ勢が一矢報いる走りをみせる。上位陣と同じくスリックタイヤでの走行を続けていたNo.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GTの塚越広大が怒涛の勢いで追い上げ、残り20周の段階では10位を走っていたが他車のピットインやコースオフ、自らのオーバーテイクなどで順位をあげ、72周目に4位。74周目には6号車国本を捉え、ついに表彰台圏内となる3位に浮上。サーキットにはチームのメインスポンサーであり、地元宮城を拠点としている株式会社ケーヒンの大応援団も駆けつけており、終盤にきて大きな盛り上がりを見せた。塚越は手を緩めずに、さらにプッシュ。75周目には1分18秒988という驚異的なタイムをマークし遙か前方の37号車を追いかけた。
そしてファイナルラップ。終盤は安全のためペースを緩めていた立川だったが、結局2位の37号車に1分20秒、3位以下を1周遅れにする圧倒的な強さで今季初優勝を飾った。立川は、GT500での通算勝利数を20に伸ばし、ポールポジション記録とともに単独トップに浮上。また平手も先日第2子が誕生したばかりで両者ともに嬉しい優勝となった。
2位には伊藤/カルダレッリが入り、単独でポイントランキング首位に浮上。3位には塚越/金石組の入り、ホンダNSX CONCEPT-GTにとっては初の表彰台獲得となった。
今年も、魔物に振り回されてたSUGOの週末。予想通り荒れに荒れたレースとなった。
『記事:吉田 知弘』
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