2014年のF1第8戦オーストリアGP決勝が、現地時間の22日に行われた。2003年以来、11年ぶりにF1カレンダーに帰ってきたオーストリア。舞台はA1リンクからレッドブル・リンクへ名前を変えた1周4.326kmのアップダウンが激しい難関コースだ。
ドライコンディションの中で行われた前日の予選では、メルセデスAMG、レッドブル・レーシングなど有力チームが苦戦するなか古豪ウイリアムズが奮起。今年からチームに加入したフェリペ・マッサが6年ぶりにポールポジションを獲得。僚友のバルテリ・ボッタスが2位につけた。もし勝てば、こちらも6年ぶりの勝利となるマッサに、レース前から注目が集まった。
スタートでは、特に大きな混乱がなくピットスタートのロマン・グロージャン(ロータス)を除く21台が、上り坂から一気に右に曲がる1コーナーへなだれ込む。PPのマッサはしっかりアドバンテージをとったが、ボッタスが3番手スタートのニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)につかまってしまう。それでも諦めずに直後の2コーナーで再びポジションを取り戻し、ウイリアムズがワン・ツー体制を死守。後方では予選Q3での度重なるミスで9番手スタートとなったルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)が抜群のスタートで4位に浮上。一方、ちーむとしては母国GPとなるレッドブル勢は5番手スタートのダニエル・リカルドが、波に乗れず10位まであっという間に後退。さらに2周目には12番手スタートだったセバスチャン・ベッテルが駆動系トラブルでスローダウン。その後、12周走ったところでリタイアを余儀なくされ、厳しいホームレースとなってしまった。
トップ争いは、特に大きな変化なく10周を経過。今回はピレリタイヤの中でも一番柔らかいスーパーソフト(赤)とソフト(黄)が持ち込まれている。序盤から激しいマッチレースでスーパーソフトタイヤが消耗を始める中、一番最初に動いたのがロズベルグ。11周を終えたところで1回目のピットストップを敢行。2周後にはハミルトンもピットインし、新品のソフトタイヤでペースを上げ逆転する作戦に出たのだ。
一方のウイリアムズ勢は、耐久性は乏しいが、高いグリップ力を発揮してくれるスーパーソフトで逃げれるところまで逃げようという作戦。マッサが14周目、ボッタスが15周目まで引っ張るが、軍配はメルセデスAMGに上がる。タイヤ交換を終えコースに復帰するとロズベルグがトップに浮上。ボッタスがハミルトンの前になんとか食い込み2位を死守したが、マッサは4位まで後退してしまった。
その後、マッサはトップ3のペースについていけない。中盤まではソフトタイヤでスタートしたセルジオ・ペレス(フォース・インディア)が首位をキープしていたが、実質的にロズベルグ、ボッタス、ハミルトンの3人による優勝争いとなった。その中でも光る走りを見せたのがボッタス。今季4勝の絶好調のハミルトンが幾度となくプレッシャーをかけてくるが、全く動じす順位をキープ。チャンピオン経験者を相手に堂々とした走りを披露した。
しかし、全体的なレースペースはやはりメルセデスAMGの方が上回っていた。2回目のピットも先に動いたハミルトン。39周目に新しいソフトタイヤを手に入れると一気にペースアップ。41周目にボッタスがタイヤ交換を行っている間にコントロールラインを通過。これで2位に浮上し、今回もシルバーアローが1・2位を独占した。
一方のロズベルグは、トップに立って以降は安定したペースで周回。終盤はハミルトンと1秒差での戦いとなったが、特に劣勢になるシーンもなくトップチェッカー。今季3勝目を挙げた。2位にはハミルトン、3位にはボッタスがそのまま入った。デビュー2年目のボッタスは、これが初表彰台となった。
また日本期待の小林可夢偉(ケータハム)は19番グリッドからスタート。今回は大きなトラブルに見舞われることなく、最後まで粘り強く走行。16位でフィニッシュした。
優勝したロズベルグは、トータルのポイントを165点まで伸ばし、ドライバーズランキング首位をキープ。ここまで全戦で2位以内に入る安定した強さを発揮。まだ前半戦も終わっていないが、少しずつ初のワールドチャンピオン獲得に向け、ポイントを重ねている。
『記事:吉田 知弘』
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。