2014年のF1世界選手権。第8戦の舞台は2003年以来の開催となるオーストリアのレッドブル・リンク(旧A1リンク)だ。
1周4.326kmと短いコースに9つのコーナーだけというシンプルなレイアウトだが、アップダウンが激しく低速〜高速まで様々なタイプのコーナーが揃っている。現在はオーストリアを本拠とする飲料メーカー「レッドブル」の名前が付けられている。4年連続でドライバーズ・コンストラクターズタイトルを勝ち取っているレッドブル・レーシングにとってはホームグランプリ。前回カナダGPでダニエル・リカルドが初優勝を挙げており、その勢いでここでも勝利がほしいところだ。
しかし最初のQ1から早さをみせたのは今季好調のメルセデスAMG勢。ルイス・ハミルトンがいきなり1分09秒514を記録すると、ニコ・ロズベルグも1分09秒695で3番手に入り順調にQ2・Q3へと進出する。ここ数戦は歯車が噛み合わず苦戦続きの小林可夢偉(ケータハム)は、なんとかマルシャの1台に勝ち20位で予選を終えた。
続くQ2では波乱が起きる。メルセデスAMGやウイリアムズなどメルセデスのパワーユニットを使用しているチームは順調にQ3進出を果たすが、今季まだ未勝利の現王者セバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング)が0.2秒届かず13位で敗退。またジェンソン・バトン(マクラーレン)も12位でノックアウトされてしまった。
結局、今回もメルセデスAMGが圧倒的に有利な状態で迎えた最終のQ3。ところが思わぬ事態が待ち構えていた。ここまでトップタイムで勝ち上がってきたハミルトンが、ポールポジションがかかったQ3で珍しくコースオフ。1回目のアタックはノータイムに終わってしまう。さらに残り時間ギリギリで再度挑戦した2回目のアタックでもスピン。PP最有力候補から一転し9位でQ3を終えることとなってしまった。
そうすると3戦連続でポールの可能性が出てきたロズベルグだが、それを阻止したのは、なんとウイリアムズ勢だった。1回目のアタックでバルテリ・ボッタスが1分08秒846を記録。これにロズベルグが2度のアタックで逆転にトライするも届かない。フィンランド期待の若手が初ポールを奪うのかと思われたが、最後の最後で完璧なアタックをみせたフェリペ・マッサが1分08秒759をマーク。2008年最終戦ブラジルGP以来、6年ぶりのポールポジションを勝ち取った。2位にはそのままボッタスが入り、チームとしては実に11年ぶりのフロントロー独占とのこと。3位にはロズベルグが入った。
パルクフェルメに戻ってきたマッサは笑顔でマシンを降りガッツポーズ。ここまで応援してくれた家族のもとへ駆け寄るシーンもみられた。2009年ハンガリーGPでの事故以来、表彰台に立つ機会もほとんどなく、優勝争いから遠ざかっていたが、日本時間22日21時から始まる決勝レースで勝てば6年ぶりの勝利となる。
そのチャンスをしっかり掴みとることが出来るのか?マッサの走りから目が離せない。
『記事:吉田 知弘』
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