2014年のWEC第3戦ル・マン24時間耐久レースがついに開幕。現地時間の11日と12日の2日間にわたって公式予選が行われた。昨年は週末を通して悪天候に見舞われたが、今年は予選日から気温20℃を超える晴天に恵まれた。
今年はLMP1クラスに過去最多の優勝数を誇るポルシェが加わり、アウディとトヨタとの3強争い。これまでのWEC第1戦、第2戦ではトヨタ勢が勝利してきたが、だからと言ってル・マンでも有利にレースを進められるとは限らない。どの陣営が主導権を握るのか、初日の走行から注目が集まった。
ところが、予選1回目の前に行われたフリー走行で前年の覇者1号車アウディ(L・ディグラッシ/L・デュバル/T・クリステンセン)がポルシェカーブで大クラッシュ。マシンの後ろ側が粉々になり、コックピットの一部も外から見えるほどの損傷具合。これにはサーキット全体が凍りついたが、幸い乗り込んでいたデュバル大きな怪我はなく、検査のため市内の病院へと向かった。
現地時間の22時、フランスでは夕暮れの時間帯から始まった予選1回目では、ポルシェ勢が躍進。昨年までF1で活躍していたM・ウェバーが乗り込む20号車が3分23秒157を記録。14号車ポルシェも2位に続いた。アウディ、トヨタともにタイムアタックに向かうが、セッション開始から1時間を過ぎたところで99号車アストンマーティンがポルシェカーブで激しくクラッシュ。乗り込んでいたドライバーは無事だったが、防護バリアが破損し赤旗中断。結局、短時間での修復は不可能と判断され、予定より30分早くセッションは切り上げられた。
翌12日の予選2回目。この日も先にタイムを更新したのはポルシェ勢。T・ベルンハルトが乗る20号車が3分22秒908を記録。ライバルとの差を広げて、このセッションを終えようとするが、7号車トヨタのステアリングを任された中嶋一貴が、目が覚めるような激走をみせる。このセッションではアタックをしようとしたら不運な赤旗中断などで、なかなかタイミングが合わなかったが残り時間わずかなところで連続してタイムアタックを敢行。3分22秒589を叩き出し、暫定トップを勝ち取った。
最終の予選3回目は前日に切り上げられた30分を補填する形で、現地時間の21時30分から2時間30分間セッションとしてスタート。ここでも序盤から一貴の乗る7号車トヨタが速さをみせ、いきなり3分21秒789までタイムを更新。昨年のポールポジションタイムを0.5秒上回った。
その後も各車がタイムを更新するが、21秒台に入るマシンはなくチェッカーフラッグ。トヨタ・レーシングが1999年以来のポールポジションを獲得。またタイムアタックを担当した一貴は日本人ドライバーとして初めてル・マン24時間でのポールポジション獲得という快挙を成し遂げた。2位位には14号車ポルシェ、3位には8号車トヨタが入った。
初日は大クラッシュから始まったアウディ勢。粉々になってしまった1号車はメカニックが一晩かけて修復し、2日目の走行に間に合わせた。またデュバルの代役には昨年のR18でのレース経験があるM・ジェネを起用。しかし全体的にライバルから遅れをとり3号車の5位が最高となった。
この他は、LMP2クラスは0.065秒差という僅差を制し46号車のTHIRIE BY TDS RACINGがトップ。同クラスに参戦する井原慶子が乗る50号車はクラス16位となった。LMGTE-Proクラスは昨年、小林可夢偉が所属していたAFコルセの51号車がトップ。LMGTE-Amクラスでも81号車のAFコルセがトップタイムを記録した。また中野信治が乗る70号車のチーム・タイサンはクラス17位で予選を終えている。
『記事:吉田 知弘』
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