今週末は欧州ではF1モナコGP、アメリカではインディ500と世界的にも伝統の一戦が控えているモータースポーツ界。日本でもスポーツランドSUGO(宮城県)でスーパー耐久、ツインリンクもてぎ(栃木県)では2輪の全日本ロードレース選手権が開催されるなど国内レースも盛り上がっている中、三重県の鈴鹿サーキットでは2014年のD1グランプリ第2戦「SUZUKA DRIFT」が開催された。
2006年からシリーズ戦が開催されるようになった鈴鹿。当初はコースを逆走する形でダンロップ~逆バンクを駆け下っていく部分が審査ポイントとなっていたが、2012年からF1など4輪レースでも難所と言われている複合の1~2コーナーに審査ポイントが変更。時速200km以上で進入し、ドリフト状態をキープしたまま難しい2コーナーをクリアしなければならないという、シリーズ屈指の難関コース。そして現在のD1に相応しい「高速ドリフト」が楽しめるラウンドでもある。
今ラウンドの総合優勝が決まる25日(日)の追走ラウンド。早朝のゲートオープン前から多くのファンがメインゲートに集まり、少しでも良い場所から観戦しようと開門と同時に1コーナースタンドで足早に移動していくのが印象的だった。土曜日ほどの日差しではなかったものの、ドライコンディションに恵まれた鈴鹿サーキット。午前中から追走の予選から1・2コーナースタンドは熱心なD1ファンで埋め尽くされた。
午後から行われた決勝ラウンド。昨日の単走トップ8名に加え朝の予選で勝ち上がった8名がトーナメント方式での追走バトルに挑んだ。今季からR35GT-Rを投入している昨年のシリーズチャンピオン川畑真人がトラブルで1回戦敗退。さらに昨日の単走で優勝した織戸学もベスト8で敗退するなど、本命と目されていた選手が次々と姿を消す中、ベテランの高山健司が決勝へ進出。織戸や日比野哲也など強豪を倒して勝ち上がった末永正雄との優勝をかけた追走バトルに臨んだ。
まずは末永が先行、高山が後追いで行われた1本目では、両者ともに譲らず互角のドリフトを披露。走行順を入れ替えての2本目で末永が勝負に出る。一気にアドバンテージを得て決着をつけようと、高山との距離をつめて進入。ところが1コーナーで勢い余ってバランスを乱しオーバーラン。これで大きな減点を余儀なくされ、高山が悲願の初優勝を飾った。
2003年にD1デビューを果たした高山。長年、EXEDYカラーのRX-7(FD)で参戦してきたが、ここぞというチャンスで勝利の女神に見放され、ここまで優勝を手にすることはなかった。昨年、長年戦ってきたチームを離れチームグッドイヤーのサポートを受けるTEAM MORI with GOODYEARに移籍し、マシンもレクサスGS350に変更。毎回粘り強く上位を伺い、ついにD1グランプリ史上27人目の優勝者となった。
表彰式で満面の笑みをみせた高山。「D1にデビューして10年、なかなか優勝することができませんでした。ここまで支えてくれた妻のお陰で今日勝つことが出来ました。本当に感謝しています」とコメント。これでランキングも一気に2位に浮上。今後も彼の活躍から目が離せない。
『記事:吉田 知弘』
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