【SGT】スペシャルレポート&フォトギャラリー:〜The Memories of HSV-010 GT〜

©T.Yoshita/KANSENZYUKU

 11月を持って国内モータースポーツの2013シーズンが終了。それと同時にSUPER GTでは多くのファンを魅了してきた1台のマシンが引退した。

『Honda HSV-010 GT』

 2010年にデビューし、4年間に渡ってSUPER GTのGT500クラスで活躍し続けてきたHSV-010。当時の車両規定に合わせるため、ホンダは看板車であったNSXに替えて新投入したマシン。今までとは全く異なる独創的なフォルムに加え、3.4リッターエンジンをマフラー1本だしにする斬新なシステムを採用。甲高いサウンドを響かせるのが最大の特徴だった。こうしてデビュー当初から「カッコイイ!」と話題を集め、他メーカーのファンでもマシンだけは好きという人も少なくなかった1台。だが、その反面で市販化前のモデルでもあったため一般的には馴染みが薄く、またNSXファンからすれば“異端児”のような存在で最初は好きになれないという人も少なくなかっただろう。

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 賛否両論ある中で動き出したHSV-010。開幕戦の鈴鹿ではいきなり3台が同士討ちをするハプニングに見舞われたが、第2戦岡山で優勝し、その後も躍進。結局同年のシリーズチャンピオンを勝ち取った。その後、2011年、2012年は勝利から遠ざかるレースが多かったが、2013年は象徴だった1本マフラーを封印し左右2本出しに変更。HSV-010最終年をチャンピオンで締めくくるべく序盤から快進撃を続け、シーズン中に3勝を記録。惜しくもシリーズチャンピオンには手は届かなかったが、先日のJAFGPではKEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘)が総合優勝を勝ち取り、有終の美を飾った。

 そして迎えた現役最後の瞬間、11月30日にツインリンクもてぎで行われたHonda Racing THANKS DAY。最後のデモレースではチェッカー直前に全車が接近。なんと5台横並びの状態でチェッカーを受けるというファンに対しての最後のサプライズプレゼントであり、同時に“お別れの挨拶”となった。

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 今後、イベントなどでのデモラン用として保存されるものもあるが、ほとんどは展示車両として扱われ、走れる状態でメンテナンスされ続ける車両は、ごく一部のみとなる。いずれにせよファンの前に姿を現す機会はほとんどなくなるのだが、いつまで経っても“常に全開で各サーキットを攻め続けるHSV−010”の勇姿が、皆さんの心の中にあり続けてほしいと思う。

『記事:吉田 知弘』

<<Special Photo Gallery>>
最後にささやかではありますが、観戦塾で今季のHSV-010の活躍シーンをまとめたスライドショーを作成しました。来年以降は、こうして5台が並んでサーキットに登場することは残念ながらありません。是非、心の中に思い出として焼き付けていただければ幸いです。

PhotoGallery:©T.Yoshita/KANSENZYUKU

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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