悪天候により公式予選が順延されるなど大波乱の週末となったSUPER GT第7戦オートポリスの決勝。午前9時から公式予選が25分一本勝負で行われ、それをもとにして決められたグリッドで、14時から決勝レースが行われた。
昨日は深い霧と強い雨に見舞われたオートポリスだが、日曜日は雨や霧は去ったものの、分厚い雲に覆われるコンディション。気温22℃、路面温度24℃というコンディションでスタートが切られた。急きょ午前中に行われた予選でポールポジションを奪ったのはZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)。今回も平手がスタートを担当し、前回の富士同様に後続を一気に引き離す走りをみせた。
一方、予選2位MOTUL AUTECH GT-R(ロニー・クインタレッリ)、3位のウイダーモデューロHSV-010(山本尚貴)も追いかけようとするが、後ろからきたREITO MOLA GT-R(本山哲)とカルソニックIMPUL GT-R(松田次生)に迫られ、一気に大混戦に。ここにGT300車両の混走が加わり、集会を重ねる度に順位を入れ替える激しいバトルが演じられた。そうしている間に平手は徐々に後続との差を広げ、気づけば2位以下に10秒近いリードを築く独走状態でレース中盤へ突入していく。
65周レースも折り返しとなる30周目に差し掛かるとドライバー交代のためのピット作業が少しずつ始まっていく。まず上位陣で先に動いたのは23号車のクインタレッリ。29周目にピットインし柳田に交代する。その翌周に2位争いをしていた12号車松田、1号車本山、18号車山本、さらに追い上げてきていた36号車ロシターもピットイン。各チームのメカニックによる作業勝負になる。集団の中では一番前にいた12号車がオリベイラに代わってコースに復帰すると、迅速な作業をみせた18号車が、マコヴィッキィがステアリングを握り実質的な3番手で復帰、以下1号車(関口)、36号車(一貴)の順でピットアウトした。そして最大で11秒のリードを築いた平手が満を持して33周目にピットへ。立川にバトンタッチしトップのままコースに復帰する。
しかし、ここからコースコンディションが一変。少しずつ雨が降り始め、路面はレインタイヤに帰るほどではないが濡れ始めていく。このコンディションで足を取られてしまったのが2位の12号車オリベイラ。34周目のヘアピン出口でスピンを喫し大きく後退。その際にガードレールにヒットし、なんとか復帰するも直後の右コーナーでコースオフ。同ポイントのランク2位チームが、ここで姿を消してしまう。さらに今シーズン圧倒的な速さをみせて注目を集めている18号車マコヴィッキィも、気温の低さと微妙な雨に悪戦苦闘。みるみるうちに順位を落とし5位まで転落してしまう。ポイントランキングの上位2台が後ろに下がっていく中、今度は3位を走行していた23号車柳田にも悲劇が。なんとピット作業中に違反があったとして痛恨のドライブスルーペナルティ。これで7位に後退と今シーズンは各地で猛威をふるっている“GTの魔物”が、ここオートポリスでも現れた。
これで2位1号車関口、3位に36号車一貴、そこに前回富士で2位表彰台を獲得し勢いに乗るKEIHIN HSV-010(塚越広大)が4位に浮上し、序盤戦とは異なるメンバーでの2位争いが勃発。その中でブリヂストンタイヤを履く36号車と17号車のペースがよく、関口も必死で応戦するが2台の先行を許し4位への後退を余儀なくされた。
残り10周。立川に代わってからも独走状態が続いていた38号車。2連勝とシリーズチャンピオンに向けて大逆転で王手をかけるのも時間の問題かと思われたが、最後の最後でまさかの展開が待ち受けていた。コース脇に落ちていたタイヤカスを拾ったことが原因で急にマシンバランスが崩れペースダウン。今まであった貯金を全て使い果たすことになり、ついに残り4周というところで36号車の一貴と17号車の塚越に追いつかれてしまう。そして残り3周のヘアピンで一貴の先行を許し2位に後退。その後も塚越の猛追を受けるが、ギリギリのところで守り切った。
最初から最後まで波乱続きの展開となった第7戦オートポリスの決勝は、10番手からスタートした36号車の一貴/ロシター組が優勝という劇的な幕切れとなった。2位には立川/平手組の38号車、3位には塚越/金石組の17号車がそのまま入った。まさかまさかの大逆転で今シーズン2勝目を飾った一貴とロシター。パルクフェルメでは関谷正徳監督と3人で喜びを爆発させた。
またランク首位だった山本/マコヴィッキィ組の18号車は5位、23号車の柳田/クインタレッリ組は8位という結果になった。これによりランキング首位は38号車(58ポイント)に交代し、36号車(54ポイント)が2位に浮上、18号車と17号車が52ポイントで3・4位につけるなど、大混戦となった2013年のGT500クラスの最終戦もてぎでは、8台のマシン・チームがチャンピオン獲得権を持った状態でのバトルとなる。
『記事:吉田 知弘』
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