2013年のF1世界選手権は、早くもヨーロッパラウンド最終戦となる第12戦イタリアGPを迎え、現地時間の8日に決勝が行われた。金曜日のフリー走行。土曜日の公式予選と晴天に恵まれていたモンツァサーキットだが、日曜日は朝から雲に覆われており、レース前にも雨がパラついたがドライコンディションで決勝がスタートした。
ポールポジションはセバスチャン・ベッテル(レッドブル)。最初のダッシュは上手くいったが、1コーナーまでが長いモンツァで2位マーク・ウェバー(レッドブル)、さらに4番手のフェリペ・マッサ(フェラーリ)に両サイドから迫られ、1コーナーのブレーキングでタイヤをロックさせてしまうが、なんとかトップを死守。マッサが2位に上がり、ウェバー、フェルナンド・アロンソ(フェラーリ)と続いていく。
レースの主導権を死守したベッテルは、いつも通り序盤からプッシュし2位マッサ以降を引き離していく。その一方で、2位争いは白熱。その中でも予選で少し出遅れたアロンソがトップ奪還に向け追撃を開始。4周目にウェバーを攻略して3位に上がると、続くチームメイトのマッサも8周目に抜き去り2位に浮上する。この情報はすぐにベッテルにも伝えられ、この時点で4秒のリードを築いていたが、1分28秒台にペースを上げて独走状態を確実なものにしていく。
チャンピオン争いの1・2位がトップ争いを演じている一方、その2人を追いかけるキミ・ライコネン(ロータス)、ルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)は予選Q2で敗退するなど苦戦を強いられていた。それでも大逆転を狙いスタートではハードタイヤを選択。終盤で上位に進出する戦略を準備していたが、ライコネンはスタート直後の接触でフロントウイングを破損し緊急ピットイン。ハミルトンもスローパンクチャーが発生し予定外の2ストップ作戦に変更と、逆転のチャンスを失ってしまった。
今回はタイヤの消耗が比較的少ないこともあり1ストップ作戦が主流に。先に動いたのはレッドブル陣営だった。23周目にベッテルがピットインすると、なんと11秒後方にいたウェバーも同一周回でピットインを敢行。ピットクルーは2回連続でのノーミスの完璧な作業をみせ2台をコースへ送り出す。タイヤの消耗を考えたベストなタイミングでの同時ピットイン。これが功を奏し、ウェバーは翌24周目にタイヤ交換を行ったマッサの逆転に成功、3位を手に入れた。27周目にはアロンソもピットストップを行い、再びベッテルが前へ。この時点で両者の差は10秒に広がっており、地元イタリアでの勝利を目指していたフェラーリ勢にとってはまさにお手上げ状態となってしまう。
終盤は2位アロンソと3位ウェバーの接近戦が続いた。ウェバーはギアボックスにトラブルを抱え、チームからもシフトチェンジのタイミングについて細かく指示されるが、最後まで1秒後方で手を緩めず追いかけ続けた。この指示はベッテルにも出され、最後はペースダウンすることになったが、ここまで築いたリードを守りきりトップチェッカー。今季6勝目を挙げ、2位アロンソ、3位ウェバーと続いた。
敵地イタリアでポール・トゥ・ウィンと完全勝利を収めたベッテル。シリーズランキングもトータル222ポイントに伸ばし、2位アロンソとの差を53ポイントに広げた。2013年シーズンも残り7戦。ミハエル・シューマッハ以来、約10年ぶりとなる4連覇達成に少しずつ近づき始めている。
『記事:吉田 知弘』
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