2013年のSUPER GT第5戦ポッカサッポロ1000km。GT300クラスはスタートからSUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太/井口卓人)の独壇場の展開。終盤になってもペースが落ちることなく、アンカーの佐々木孝太にバトンが渡され、ここまではまさに完璧という内容だった。
ところが、ピットアウトした直後にリアのディフューザーが破損。それがリアタイヤを傷つけてしまい、ペースダウンを余儀なくされる。このまま行けば最悪タイヤバーストの心配もあったため、チームは急きょマシン修復とタイヤ交換のため緊急ピットインを決断した。141周を終えたところでピットに入り、不具合箇所を修復。迅速な作業で送り出したものの、2位で迫ってきていたGSR初音ミクBMW(谷口信輝)に逆転を許し、ここまでトップを独走してきたのに、残り周回も少ない中で2位に転落と、またしても勝てないのかとグランドスタンドで応援していたスバルファンも不安な表情をみせた。
しかし、ステアリングを握っていた佐々木は優勝を諦めてはおらず、逃げようとする谷口を猛追。遂に147周目の200Rで捉え再逆転に成功した。
再びトップを手に入れてからは、レース序盤同様に安定した速さでライバルを突き放し、そのままチェッカー。今シーズン、予選では速かったが決勝で結果を残せなかったスバルBRZが、ついに初優勝を飾った。パルクフェルメでは、相棒の山野哲也と、今回第3ドライバーとして大きく貢献した井口卓人が笑顔で出迎え、3人でガッツポーズ。世界中のスバルが待ちわびていた光景が、ついに鈴鹿で実現した。
佐々木孝太「ポールポジションは取れても、なかなか勝てないというレースが続いていたので、正直ホッとしました。スタートから良いペースで走れて“今回は行けるかも”と思ったのですが、終盤にリアのディフューザーが壊れた影響でリアタイヤを傷つけてしまい“また勝てないのか”と思ったのですが、チームが懸命に作業をして予定より早くピットアウトできました。自分自身も勝ちたかったので無我夢中で走りました。本当に勝てて良かったです。」
山野哲也「まずはスバルを愛する世界中のスバルファンに“勝ったよ”と嬉しい報告ができて良かったです。BRZに変わってから、なかなか勝てない日々が続いていました。チーム監督やメカニック、マネージャーまで全員が勝ちたい気持ちで満ち溢れていたので、それが実を結んで良かったです。」
井口卓人「本当に嬉しいです。今年はシーズンを通して出られず、久しぶりにGTでのレースでした。ポールスタートからトップでバトンを渡された事もあって最初のスティントは緊張したんですが、チームスタッフが気持ちよく自分を送り出してくれたので、自信を持って自分が担当したスティントを走ることが出来ました。」
なお、2位に入ったGSR初音ミクBMW(谷口信輝/片岡龍也/ヨルグ・ミューラー)だが、レース後の再車検でリストリクター関係に違反が見つかり、失格。これによりOKINAWA-IMP SLS(竹内浩典/土屋武士/蒲生尚弥)が2位、LEON SLS(黒澤治樹/黒澤翼/中谷明彦)が3位に繰り上がった。
『記事:吉田 知弘』
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