【2013鈴鹿8耐】「プレビュー」今年は超大混戦か?8時間に及ぶガチンコ勝負を見逃すな!

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 今年も、多くのレースファンが待ちに待った“あの闘い”まで、1週間に迫ってきた。今回で36回目を迎える2013 コカ・コーラ ゼロ鈴鹿8時間耐久ロードレース。決勝は7月28日(日)に開催。昨年も数多くのドラマが生み出された伝統の一戦。今年は例年になく大混戦のレースが予想されている。今回は、その見どころをご紹介していこうと思う。

【王者秋吉が怪我で8耐を断念!3連覇に黄色信号のF.C.C. TSR Honda】
 毎年、接戦が繰り広げられている鈴鹿8耐だが、ここ2年は国内で無敵を誇る秋吉耕佑率いるF.C.C. TSR Hondaが2連勝している。もちろん、今年も3連覇に向けて春から順調に準備を重ねてきたが、開幕まで1ヶ月を切ったところでまさかの事態が発生してしまう。

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 6月29・30日に筑波サーキットで開催された全日本ロードレース選手権第4戦に参戦した秋吉は予選中に激しく転倒。脳挫傷と左大腿骨骨折という重傷。現在は手術を終えリハビリを始めているが、8耐には到底間に合わないということで、無念の欠場が決定した。代わりにチームはジョナサン・レイと清成龍一の2人体制でいくことを発表。2人とも2011・2012年の優勝メンバーで、直前に行われた合同テストでは2人とも2分08秒台のタイムを記録し、好調さをアピールしている。しかし、チームの大黒柱を担ってきた秋吉が走れないことは少なからず痛手になることは間違いないだろう。3連覇に向けて黄色信号が点滅してしまったTSR。まさにチーム全体での底力が試される1戦となりそうだ。

【秋吉不在で、混沌としたトップ争い。8時間後、一番最初にチェッカーを受けるのは?】
 王者秋吉が不在の中で開幕を迎える今年の8耐。彼の不参加は逆に“大混戦”への引き金になるかもしれない。今年もMotoGPやWSBで活躍するトップライダーから国内最高峰のJSB1000でしのぎを削る日本人ライダーが多数エントリー。具体的に名前を挙げ始めれば、切りがなくなるくらいの豪華メンバーが、今年も“たった一つ”しかない8耐王座を目指す。

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 まずは2012年JSB1000チャンピオンの中須賀克行。今年はMONSTER ENEGRY YAMAHA-YARTの一員としてジョシュ・ウォーターズ、ブロック・パークスとともに初の8耐制覇に挑む。昨年は序盤からトップを快走しながらも18周目にまさかの転倒。バイクは大きくダメージを負ってしまい、優勝争いから脱落してしまった。そのリベンジも残っている中須賀。予選から気合のこもった走りに観られることは間違いないだろう。

 JSB1000では中須賀のライバルでもある高橋巧がエースを務めるMuSASHi RT ハルク・プロも優勝候補と言えるだろう。今年はレオン・ハスラムとミハエル・ヴァンデル・マークのトリオで2010年以来の総合優勝を狙う。

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 そして今年も名門ヨシムラスズキレーシングが5度目の鈴鹿8耐制覇を目指し満を持して参戦。ベテランの青木宣篤に加え、JSB1000で成長著しい津田拓也、さらにWSBなど豊富なレース経験を持つジョシュ・ブルックスの3人体制。昨年も予選から上位に食い込んでいたが決勝では終盤に無念のリタイア。今年は体制を強化し“名門復活”をかけて真夏の鈴鹿に挑む。

【21年ぶりに8耐挑戦、“本気”のシュワンツに注目!】
 今年の8耐で一番の話題といえば、やはり元WGP王者のケビン・シュワンツが参戦することだろう。第一線を退いてから19年。彼が最後にWGPを戦った鈴鹿サーキットで、再びレーシングライダーとしての新たな1ページを刻もうとしている。参戦チームは加賀山就臣率いるTEAM KAGAYAMA。2012年の鈴鹿サーキット50周年ファン感謝デーで共演し、そこからのつながりで今回の参戦が実現したようだ。

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 先日、49歳を迎えたシュワンツは、母国アメリカでライディングスクールを主催している。とは言え、第一線を離れて20年近く経つということもあり、「ゲスト参戦なのでは」と軽視している方も少なくないかもしれないが、本人の気合は十分。参戦が決まって以降はオースティンでトレーニングを強化。7月上旬に行われた計4日間に及ぶ合同テストも全て参加し、国内トップライダーと変わらない2分10秒台を記録してみせた。

合同テストを終えてのシュワンツのコメント(鈴鹿サーキット公式サイトより)
 「ちょっと暑かったけれど予定通りさ。今回のテストでは、第2回公開合同テストで涼しい鈴鹿サーキットと雨の鈴鹿サーキットを体験できた。そして第3回公開合同テストでは、まるで本番のような暑い鈴鹿サーキットを体験できた。これは、チームにとっても、私にとってもとてもいい経験で、いろいろなシチュエーションに対応できる準備を進めることができたというわけだ。

 しかし、第3回公開合同テストは、正直厳しかった。オースティンでトレーニングを積んできたけれど、オースティンは気温は上がるけれど、湿度がとても低いんだ。でも、鈴鹿はとても湿度が高くて、バイクに乗っていて息苦しかったよ。改めてトレーニングを積んで、鈴鹿8耐ウイークを迎えるつもりだ。
今回の第3回公開合同テストでは、路面温度が上がる前の午前のセッションで、2分10秒をマークすることができた。ノリ(芳賀紀行)がうまくリードしてくれたおかげだけれど、当初の目標が達成できた。これはすでに公言しているのだけれど、レースウイークでは、なんとか2分9秒台、うまくすれば8秒台に入れたいと思っている。

 Team KAGAYAMAは、本当にチームワークが良くて、今回、私はピット作業をビデオ撮影したけれど、みんなができることを最大限にやっている。鈴鹿8耐で勝つためには、チームの一人ひとりが完璧な作業をこなすことが重要だけれど、それができているチームなんだ。次に私が鈴鹿サーキットに来るのはレースウイークになるけれど、ここでファンのみんなに再会できることを楽しみにしているよ。」

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 1988年の8耐でダグ・ポーレンと組んで総合2位を勝ち取ってから25年。当時と変わらぬ情熱と闘志で、今度は加賀山就臣、芳賀紀行ともに総合優勝を目指すシュワンツの走りから目が離せない。

【伊藤真一が2年ぶりに8耐挑戦、ばくおんレーシングにも注目】
 この他にも、今年は注目チーム・ライダーが多数参戦している。過去4度の優勝経験を持つ伊藤真一もTOHO Racingからエントリー。2011年に東日本大震災で自らも被災した伊藤。「自分が頑張ることで多くの被災者を勇気づけたい」とF.C.C. TSR Hondaで参戦し見事優勝を果たした。今年は全く異なるチームからの参戦となるが、大ベテランの走りに注目が集まりそうだ。

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 また、テレビ番組「ガチンコ」でのロードレースライセンスを取得から始まり、鈴鹿8耐参戦を果たした浜口喜博氏率いるHAMAGUCHI RACING。今年は月刊ヤングチャンピオン烈(秋田書店)に連載中の女子高生のバイク部ストーリーの『ばくおん!』(おりもとみまな著)とコラボが決定。KTMジャパン、そしてHAMAGUCHI RACINGとともに「KTM HAMAGUCHI BAKUON Racing」をとして2013年の鈴鹿8耐に挑む。近年ではSUPER GTを中心に痛車チームが増え始めており、バイク界でもすでにトリックスターとエヴァンゲリオンレーシングがコラボし初号機カラーのバイクが活躍中。今年は、“ばくおんレーシング”の走りにも期待したい。

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 この他にも注目チーム・ライダーが多数参戦し、大混戦が予想される2013鈴鹿8耐。本当に書き始めたら切りがないくらい見どころが満載。現地に行かないと「1年間損をする」と言っても過言ではないくらい中身の濃いレースが展開されることは間違いないだろう。8時間に及ぶガチンコ勝負を制するのは?28日(日)の午後7時30分、一番最初にチェッカーを受けるのはどのチームなのは?是非、今週末は鈴鹿サーキットで感動と興奮の瞬間を味わっていただきたい。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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