【SF】2013第3戦富士:2戦連続で3位の山本「最終戦までにはロッテラー選手に勝ちたい」

©KANSENZYUKU

 スーパーフォーミュラ第3戦富士の決勝。昨日の予選でトップ6を独占したトヨタエンジン勢が、決勝でも有利になるかと思われていた。しかし、終わってみればホンダエンジンが表彰台の一角を死守。7番手からスタートした山本尚貴(TEAM無限)が2戦連続で表彰台を獲得した。

 スタートで一つ順位を落とした山本だったが、序盤から地道に前を追いかける走りで周回を重ねる。途中、ライバルのピットストップやペナルティなどもあり5位まで順位を上げてピットイン。メカニックもミスのない完璧な作業で送り出した。後半もしばらく6位で我慢の走行を強いられるが、最大の見せ場が42周目にやってくる。マシンバランスが噛み合わず、ペースが上がらない4位中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM’S)に、5位平手晃平(P.MU/CERUMO・INGING)が接近。オーバーテイクシステム(OTS)を使って1コーナーで並びかけると、コカ・コーラ、さらには100Rまでサイド・バイ・サイドのバトルを展開。結局、平手が前に出る。2人がバトルしている間に、一気にプッシュして背後につけた山本。300Rでアウト側から一貴に並びかけると、今まで温存していたOTSのボタンに手をかけスピードアップ。ダンロップシケインのブレーキングでは少しスライドするくらいまで我慢し、現チャンピオンの攻略に成功。5位に浮上した。

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 その後も平手を目指してプッシュするも、差が縮まることがないまま残り10周。ここまでコツコツと頑張ってきた山本とTEAM無限に“運”が味方をしてくれる。まずは2位を走行していたロイック・デュバル(KYGNUS SUNOCO Team LeMans)がピット作業時に違反があったとしてドライブスルーペナルティ。これで4位に上がると、今度は残り2周というところでランキング首位につけていた松田次生(Lenovo TEAM IMPUL)がガス欠でストップ。こうして繰り上がりで3位に浮上。終盤は怒涛の勢いで追い上げてきたデュバルに迫られかけるが、残っていたOTSで逃げ切りチェッカー。粘り強い走りが功を奏し、2戦連続で3位表彰台を勝ち取った。

 パルクフェルメに帰ってきた山本は無線のコードが抜けずに降りるのに時間がかかってしまったが、集まったメディアのカメラマンたちに向けてガッツポーズを見せると、そのままメカニックの元へ歩み寄り、喜びを分かち合った。

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 「予選のポジションを考えると今回の3位は非常に満足の行くものでした。後半はチームからも“前の2人(一貴と平手)は絶対にタイヤが垂れてきて、後半勝負になるから頑張れ!”と言われていました。その通り後半はタイヤを労って走っていました。一貴選手と平手選手はお互いやり合うキャラクターなので、2人でバトルしている時に絶対タイムをロスすると思ったので、その隙を狙って行きました。ちょっとギリギリでしたが上手く一貴選手を一発で抜けたのが良かったです。あそこで失敗していたら、間違いなく終盤デュバル選手に抜かれていたので、あれが結果的に3位になれたきっかけでしたね。」

 開幕戦4位、第2戦で3位、そして今回の第3戦も3位と上位をキープしている山本。ポイントランキングもロッテラー(21ポイント)に続く2位(17ポイント)に浮上。間違いなく、トップフォーミュラに参戦して一番の成績だ。

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 「前回と同じくロッテラー選手に大きく差をつけられてしまったので、まだまだ良くしていかなければいけないことはたくさんあります。ただ、昨年までのチーム無限と比べると明らかに良くなってきているし、今年は開幕戦から3・4位あたりが定位置になり始めているのはすごく良い傾向だと思います。この流れで後半戦も頑張りたいですし、最終戦は(WEC参戦のため)ロッテラー選手はいないので、それまでには頑張ってやっつけたいと思います!」

 トップ3記者会見では、謙虚な発言もあったが、最後にはロッテラー本人がいる前で「勝ちたい!」と意気込みを語った山本。次回は彼のホームである栃木県のツインリンクもてぎ。昨年までとは打って変わり「チャンピオン争いをする地元ドライバー」が凱旋するとあって、盛り上がることは間違いないだろう。

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 今回の結果で、確実にレベルアップしていることが証明された山本尚貴とTEAM無限。もしかすると、早速ロッテラーと優勝争いを繰り広げる山本の姿がもてぎで観られるかもしれない。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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