2013年のル・マン24時間耐久レースもいよいよナイトセッションに突入。ピットビルはライトアップされ、一旦観客席を離れた現地のファンたちがイベント会場で盛りあがるシーンが見られるなど、今年もル・マンの長い夜が始まった。
そんな中、ここまで完璧なレース運びでトップ3を独占していたアウディ勢に予想外の事態が起きる。6時間40分を経過したところで3位を走行していた3号車アウディ(オリバー・ジャービス)が他クラスのマシンと接触したことが原因でタイヤがパンク。幸いピットまで戻ってくることができたが、大きくタイムをロスしてしまいトヨタ勢に先行を許した。
こういった少々のトラブルが発生しても最低限のタイムロスでマシンのピットに戻し修復してきた王者アウディ勢。ところがエースの1号車に彼らも予想していなかったトラブルが発生する。97周目に9回目のピット作業を済ませ、コースに復帰しようとした時にエンジンがうまくかからない事態が発生。その時はなんとかエンジンを始動し走行を続けたが、2周して再びピットイン。ガレージにマシンを戻してしまった。昨年までなら数分で修理を済ませて戦列に帰っていく姿が見られたが、今回のトラブルは深刻だったようで2・3号車担当のスタッフも総出となりミッションとエンジンを切り離すなど、珍しく慌ただしい作業が行われた。結局、マシンの修復に43分もかかってしまい、トップ陥落どころか11周遅れのLMP1クラス最下位まで後退。アンドレ・ロッテラー/ブノワ・トレルイエ/マルセル・ファスラー組の3連覇という夢が遠のいた瞬間だった。
これでトップにたったのは2号車アウディだが、その後方には順調に周回を重ねてきたトヨタTS030 HYBRIDの2台が付ける展開。レースの3分の1にあたる8時間を経過しようとしたところで他クラスのマシンがクラッシュ。4度目のセーフティカーが導入された。ちょうどルーティーンのピット作業中だった2号車はセーフティカー先導列の関係でピット出口での待機を余儀なくされ大きくタイムロス。幸いトップの座を守ることが出来たが、流れが少しずつトヨタに傾き始めていることは確実。さらに4位に落ちた3号車もマシントラブルでガレージイン。10分程度でコースに復帰できたものの、3位7号車トヨタとの差が大きく開いてしまった。
昨年は完璧過ぎるレースをみせたアウディ勢。今年は“ル・マンの魔物”に苦しめられる展開を強いられ、ずっと追いかけ続ける走りに徹していたトヨタにトップ浮上のチャンスが到来している。
『記事:吉田 知弘』
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