スタートから6時間を経過したル・マン24時間耐久レース。LMP1クラスは引き続きトップ3をアウディが独占し、それをトヨタ2台が追う展開となっている。ここまで、アウディが快調に飛ばしてトヨタ勢に対して一時は2分以上のリードを築いた。見た目上ではアウディが有利に進んでいるが、耐久レースらしい“目には見えない攻防戦”が両陣営の間ですでに始まっている。
5時間30分を終了したところで各スティントの周回などを分析するとアウディが1スティントあたり10周ペースで7回ピットイン。一方のトヨタは12周ペースで6回のピットインで済んでいる。まだ、この段階では大きな変化は見られないが、このペースで24時間を走り切ると、計算上では約4〜5回ぐらいトヨタの方がピット回数を減らすことが出来る。つまり約5分程度アウディよりタイヤ交換や給油の作業によるロスタイムを削ることが出来るため、最終的に逆転出来る展開になるかもしれない。
もちろん、王者アウディ勢もそれを分かっており、1号車はアンドレ・ロッテラーからブノワ・トレルイエと、日本でも活躍するエース2人を序盤に投入。2位の2号車もアラン・マクニッシュからロイック・デュバルにバトンをつなぎ、3分23秒269のファステストラップを記録。首位を快走する1号車を猛追するとともに、約16時間後あたりでライバルになるであろうトヨタ勢との“目には見えないバトル”を繰り広げている。6時間を経過し、1位1号車アウディと4位7号車トヨタとの差は1分44秒。これが、ここからどういう形で変化していくのか注目だ。
LMP2クラスに参戦する中野信治の25号車は序盤のトラブルによるロスを少しずつ取り返しており、一時クラス16位まで浮上。現在は20位を走行している。井原慶子が乗る28号車は原因不明のバイブレーションが発生するトラブルに見舞われ、何とか走行は続けているものの満足に走れない状態。現在クラス21位で奮闘している。
小林可夢偉が参戦するLMGTE-Proクラスは、SGTで活躍するフレデリック・マコヴィッキィが99号車アストンマーティンを駆り激走。スタートから4時間を過ぎたところでトップを奪い、さらにライバルを引き離す走りを見せた。現在はF1参戦経験のあるブルーノ・セナがステアリングを握っている。可夢偉組の71号車AFコルセ(フェラーリ)はオリビエ・ベレッタにドライバー交代し、クラス6位で着実に周回を重ねている。
現地は午後9時00分を迎え、いよいよ“魔物が潜んでいる”と言われるナイトセッションが始まろうとしている。長いル・マンのレースもまだ4分の1を消化したばかり。これからレースの勝敗を大きく左右する時間帯に突入する。
『記事:吉田 知弘』
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