28日(日)に開幕する2013SUPER GT第2戦富士。今回はGT300クラスの見どころをご紹介しようと思う。
プレビュー(1)「500kmレースならではの見どころ」
プレビュー(2)「今回も混戦が予想されるGT500クラス」
【JAF-GT勢にチャンス到来!燃費勝負ではハイブリッドGTカーが有利か?】
今年もヨーロッパのFIA-GT3車両と国産のJAF-GT車両が参戦するGT300クラス。今年もヨーロッパ勢の速さが際立っており、開幕戦の岡山ではGAINER DICXEL SLS(平中克幸/ビヨン・ビルドハイム)の圧勝する結果に終わった。
今回の第2戦富士スピードウェイは、1.5kmのメインストレートなど長い直線区間でのスピード勝負がメインとなり、その点でパワーがあるFIA-GT3勢、その中でも昨年チャンピオンを獲得したENDLESS TAISAN PORSCHE(峰尾恭輔/横溝直輝)やHANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)といったポルシェに分がある模様。しかし今年は性能調整の兼ね合いもあり彼らが絶対有利とも言い切れない。さらに今回の第2戦は通常より長い500kmレース。ピット作業も最低2回は必要となり、いかに効率のよいレース戦略を組み立てられるかも勝敗を左右する大きな鍵となる。
この戦略の面で各陣営、特にFIA-GT3勢が頭を悩ませてしまうのが「燃費」だ。ストレート・コーナリングともに素晴らしい性能を発揮するヨーロッパのスーパーカー達だが、逆に燃費が悪いのが欠点。そのためピットストップ時には給油で時間がかかってしまう。これに対し、燃費面で有利なのがJAF-GT勢。スピードこそ劣るものの車体が軽く全体的な負担も少ない。特にMUGEN CR-Z GT(武藤英紀/中山友貴)、Panasonic apr PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)などは、現行の市販車同様にハイブリッドシステムを導入しているため、燃費面ではFIA-GT3勢より相当アドバンテージがあると言える。
さらに昨年の第6戦(FUJI GT300kmRACE)では、スピード面でもライバルに対抗し、プリウスGTが2位、無限CR-Zが3位と表彰台を獲得している。
その時よりも、さらに熟成されている2台のハイブリッドGTカー。開幕戦の岡山では2台とも予選の雨で思うようなタイムアタックが出来ないなど、不運に見舞われて好結果が残らなかったが、第2戦富士に向けて準備は万端。ついにSUPER GTの舞台で表彰台の頂点に立つ瞬間を、29日の決勝レースではみられるかもしれない。
今回の500kmレースで、一番注目をしたいのが2011年のチャンピオンチームであり、昨年の第2戦GT300ウィナーでもあるGSR初音ミクBMW(谷口信輝/片岡龍也)だ。
チャンピオンとして迎えた昨年、予定していたマシンのアップデートが遅れて開幕戦から苦しいレース展開を強いられていた初音ミク号。マシンの速さで劣ってしまう分、GTでは大ベテランの谷口と片岡が選んだ戦略は「徹底的な燃費管理とタイヤ無交換作戦」だった。ラップタイムで他陣営よりロスしてしまう分、燃費を徹底的にセーブしタイヤマネジメントも厳しく管理。他が給油で時間がかかっている間に自分たちは給油時間を最小にするだけでなくタイヤも無交換にすることでピットストップでのロスタイムを最小限に食い止める作戦を練り出したのだ。
その結果、第2戦富士では最後の最後でトップに浮上。見事優勝を飾った。その後もギリギリのところまで燃費をセーブする戦略でレースを行ったが第3戦セパン、第5戦鈴鹿では痛恨のガス欠で脱落してしまうという悔しい結果に。
昨年は成功も失敗も経験してきた彼ら。開幕戦岡山では2位表彰台を獲得し、今回は30kgのウェイトハンデがあるものの、燃費を徹底的にセーブする戦略で終盤にいきなりトップに躍り出る可能性も十分ある。すっかりGT300では名門チームとなった初音ミクBMWの走りから目が離せない。
スタートからゴールまで接近戦が予想されるGT500とは異なり、各陣営のレース戦略の差で、最後の最後までどのチームがトップに上がってくるか“目には見えない攻防戦”が予想されるGT300クラス。いずれにしても混戦になることは間違いない。GT500クラス以上に見どころ満載の決勝レースになりそうだ。
『記事:吉田 知弘』
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