【INDY】佐藤琢磨が凱旋トークショーで待望の優勝報告「大変お待たせいたしました!」

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2013年のIZODインディカー・シリーズ第3戦で悲願の初優勝を飾った佐藤琢磨(AJフォイトレーシング)が26日、東京・青山のホンダウエルカムプラザ青山で凱旋トークショーを行った。

初優勝直後もゆっくり余韻に浸る暇はなく、チームやホンダ関係のPR活動などで大忙しの琢磨。日本でもメディア対応があるため水曜日に一時帰国。自身のTwitterでも「たくさんのメッセージをありがとう!頑張って読んでいますが追いつきません」と嬉しい悲鳴をつぶやいていた。

来週開催される第4戦サンパウロまでの時間を利用し急きょ凱旋トークショーが決定。午前10時から配布された350枚の整理券も全てなくなり会場は多くのファンで埋め尽くされた。

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イベントが始まり琢磨が登場すると、会場からは拍手が沸き起こり、琢磨も手を振って声援に応えた。そしてファンに向けて発した第一声は「大変お待たせいたしました!」と笑顔で一言。2001年のF3マカオGPから約12年、F1を経てインディ参戦52戦目で掴んだ待望の優勝。会場にいるファンからも笑顔が消えることはなかった。

その後、大熱戦となったロングビーチ決勝を振り返った琢磨。まずブラックタイヤを選んでスタートしたことについては「これまでの課題を生かして、レッドでもブラックでも速く走れるように、レース前のウォームアップで両方のタイヤを使ってコンディションのチェックを行い、スタートはブラックタイヤを決めました。本来、最終決定はチームオーナーのAJが行うのですが、ちょうど彼がいなかったので“今のうちだ!”と自分の意見を通してもらいました(笑)」と当時の戦略やその裏側も分かりやすく話してくれた。

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また序盤に白熱したライアン・ハンターレイ(アンドレッティ・オートスポーツ)との2位争いは「昨年彼と接触されて表彰台を逃したので、正直何度か突いてやろうかと思いましたが(笑)そこは大人になって確実にチャンスが来るのを待ちました。最終コーナー出口でホイールスピンするのが見えたので、ここだと思ってプッシュ・トゥ・パス(オーバーテイクボタン)を使って抜きに行きました。その時は “こうやって抜くんだよ”という気持ちでターン1では反撃されないように上手くラインを確保しました。前に出た時は“よっっしゃぁぁ!”という気分でしたね!このレースは勝てると手応えを感じた瞬間でした。」と、いつも以上に本音混じりの軽快なトークを披露。レースから数日経っているが、本人も当時の興奮が冷めやらない様子で、レース中に起きていたことを細かく熱弁。ファンも釘付けになってトークショーを楽しんだ。

そして初優勝に向けた最後の20周。おそらく日本でレースをテレビ観戦していたファンも祈るような思いだった最終スティントだったが、琢磨本人は周囲の心配とは裏腹に冷静だったという。「チームはすごく心配していましたが、逆に僕は楽しんで走っていました。グラハム・レイホールとの距離を意識しつつ、さらにチームからの燃費に関するペースのリクエストにも落ち着いて対応でき、完全にレースコントロールできているという実感がありましたね。これも今まで何度も手からこぼれ落ちる優勝もたくさんあって、それらを経験してきたからこそ実現している走りだということを噛み締めながら走っていました。

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「でも最後のファイナルラップに入る際、ホワイトフラッグを見たときは“いよいよだ”と緊張しました。だから最終ラップだけは縁石も使わず、壁から数十cmも離れて安全重視で走りました。途中フルコースコーションになって“これで最終コーナーを回った時に何事もなければ勝てるんだなと”実感しました。」と歓喜の瞬間の心境を振り返った。

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その後は駆け付けたファンにサイン入りグッズのプレゼント抽選会を行い、短い時間だがファンとの交流を楽しんだ琢磨。最後に今後に向けての意気込みを語り「今回、こういう形で皆さんの前でご報告できたことを本当に嬉しく思います。次回サンパウロでも確実な良いレースをしたいと思っています。優勝したばかりですが次にどんなレースが出来るかが今後に向けては重要なことになってきます。次回サンパウロは我々のチームも合っている場所だと思うので、確実で良いレースをしたいと負います。そして、インディ500では昨年のリベンジを果たしてきます」と自信に満ちた表情で、次の目標を語った。

今回の初優勝で現在エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)に次ぐランキング2位に踊り出た琢磨。しかしシーズンはまだまだ序盤戦で「チャンピオン争い」を視野に入れていくためには、ロングビーチのようなレースがこれからも求められてくる。
しかし、インディに参戦して4年目。これまでにない手応えと初優勝という素晴らしい結果を出した琢磨は、きっと日本で応援する多くのモータースポーツファンに、もっと素晴らしい「報告」を持ち帰ってくれるだろう。

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最後に「行ってきます!」と笑顔で力強く挨拶した琢磨。その背中を全力で押すように会場からは惜しみない拍手が送られ、これからもシビアな戦いがまっている

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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