【FormulaNippon】第7戦鈴鹿:プレビュー

2012F・ニッポン開幕戦のスタートシーン『写真:鈴鹿サーキット』
[2012F・ニッポン開幕戦のスタートシーン(写真:鈴鹿サーキット)]

国内レースは続々とクライマックスに突入。SUPER GTに続き、今週末は三重県の鈴鹿サーキットでフォーミュラ・ニッポン最終戦が開催される。

今回は中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM’S)を筆頭に7人のドライバーにチャンピオンの可能性が残っており、そのうち5人はわずか7ポイント以内にひしめく接戦。さらに佐藤琢磨のスポット参戦など見どころ満載だ。

<<2012フォーミュラ・ニッポン ドライバーズランキング>>
中嶋一貴(PETRONAS TEAM TOM’S)/38ポイント(1勝)
塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)/37ポイント(1勝)
アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TEAM TOM’S)/33ポイント(2勝)
伊沢拓也(DOCMO TEAM DANDELION RACING)/32ポイント(1勝)
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(TEAM IMPUL)/31ポイント(1勝)
ロイック・デュバル(Team KYGNUS SUNOCO)/20ポイント(0勝)
大嶋和也(Team LeMans)/20ポイント(0勝)

【5人による最終決戦を制するのは?】
 

F1同様に大混戦となった2012年のフォーミュラ・ニッポン。第6戦SUGOが終了した時点でランキング上位5人が7ポイント以内にひしめく大接戦。その中でも安定したレース運びで全戦ポイントを獲得してきた中嶋一貴がランク首位をキープ。昨年は僚友ロッテラーにSUGOで逆転され、追いかける立場での最終戦となったが、今年は鈴鹿でもランク首位の証である“赤ランプ”をつけて週末のレースに挑むことになる。しかし、そのライバルとなるドライバーは4人。しかも全員が今季優勝を飾っており、鈴鹿を得意としている強者ばかり。まずは今季絶好調のDOCMO TEAM DANDELION RACING。前回SUGOで悲願の初優勝を飾った伊沢拓也は開幕戦の鈴鹿でポールポジションを獲得。その決勝レースで塚越広大はマシントラブルを抱えながらも一貴と優勝争いを演じた。

 

2011年王者のアンドレ・ロッテラーも昨年の開幕戦鈴鹿のウィナー。さらにWEC(世界耐久選手権)でもチャンピオンを獲得。F・ニッポンも2連覇を果たし、2012シーズン2冠目を勝ち取りたいところだろう。そしてランク5位のJ・P・デ・オリベイラ。2010年にチャンピオンを獲得した際も決勝第2レースでポール・トゥ・ウィンを果たし、大逆転でシリーズチャンピオンを獲得した。今週末も2年前のような大逆転の展開に持ち込めるかポイントになってくるだろう。

 

【最終戦は2レース制。最大18ポイントの獲得が可能】
チャンピオン争いがかかる最終戦はシリーズでは唯一2レース制で争われる。通常は250kmの距離を走る決勝レースが1回のみ行われるが、今回の鈴鹿では20周(116.140km)で争われる決勝第1レースと162.596km(タイヤ交換義務1回あり)で争われる第2レースが4日(日)に開催される。

 

これによりポイントシステムも最終戦特別仕様。2レース共にポールポジション、優勝を飾ると合計で18ポイントを稼ぐことができる。

■最終戦 鈴鹿のポイントシステム■
優勝:8ポイント
2位:4ポイント
3位:3ポイント
4位:2.5ポイント
5位:2ポイント
6位:1.5ポイント
7位:1ポイント
8位:0.5ポイント

今回のみ獲得できる大量ポイントで一気に大逆転も可能な最終戦。特に2レースを1日で行う他、今回のレースは予選も重要になってくる。週末を通して「流れに乗る」ことが出来たドライバーが、チャンピオンに一歩近づくことになるだろう。

★ポールポジションポイントでアドバンテージを得られるか?★
その中でも、この週末で明暗を分けてくるのが3日(日)の公式予選だ。F・ニッポンには「ポールポジションポイント」というものがあり、各レースでポールポジション(予選1位)を獲得するとチャンピオンシップポイントが1ポイント加算される。今回の鈴鹿では2レース制、両方でポールポジションを獲得するだけで2ポイント得られるのだ。例えば、もしランク2位の塚越が2レース連続でポールポジションを獲得すると、決勝を迎える前にランク首位に立つことができるのだ。

このように4日(日)の決勝レースの展開を左右する要素となるため、予選から各ドライバーの駆け引きが始まるだろう。もちろん、首位の一貴としては予選の段階で1ポイントでも多く引き離して決勝レースを優位にしたいところ。逆に5位オリベイラは1ポイントでも一貴に迫って決勝レースを迎えたいだろう。今回は、土曜日の予選から見逃せないバトルが観られそうだ。

【佐藤琢磨、6年ぶりの“鈴鹿決戦”】
第6戦SUGOからスポット参戦を果たしている佐藤琢磨(TEAM無限)。初めて本格的に乗るFN09と雨の中での決勝レースで、F・ニッポン初戦は9位。残念ながら入賞には一歩及ばなかったが、存在感のあるレースをみせてくれた。

 

2戦目の舞台は鈴鹿サーキット。琢磨にとっては鈴鹿レーシングスクールの頃から走り込んでいるコース。もちろんF1に参戦していた時は凱旋レースとして多くのファンが出迎えてくれた特別なサーキットでもあるという。「鈴鹿でのレースは僕にとって“凱旋レース”という感覚が強いです。公式戦は2006年に日本GP(スーパーアグリF1)で走って以来。とにかく楽しみですし、今年もサポートしてくれた多くのファンに感謝の気持ちも込めて、良いレースがしたいです。」と先日参加したモータースポーツジャパンのイベントでコメントした。

 

1レース経験したことでマシンやチームの事も把握。多くのデータが取れて細かな反省点も見つかったという琢磨。さらに前回のSUGOとは異なり、鈴鹿サーキットはF1をはじめスクール時代から走り込んでいて、隅から隅まで知り尽くした「ホームコース」と言える存在。前回以上の結果を出せる要素が揃っているだけに、もしかすると予選でポールポジション争いに加わってくる可能性もある。今週末の琢磨の走りからも目が離せない。

注目のフォーミュラ・ニッポン第7戦鈴鹿は3日(土)に公式予選、4日(日)に決勝レースが行われる。

フォーミュラ・ニッポン第7戦チケット情報

今週末、お時間の空いている方は決勝だけでも良いので、是非鈴鹿サーキットに足を運んでいただきたい。F1とはまた違った「白熱したバトル」と「感動のドラマ」に立ち会えるはずだ。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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