【F1】可夢偉一色に染まった鈴鹿サーキット。昨年を上回る103,000人が来場

10月4日(木)の特別ピットウォーク&サイン会から始まった2012年のF1日本グランプリ。早いものので日曜日の決勝レースを迎えた。

 

午前中から多くのファンが来場。F1の決勝開始前には様々なイベントが行われた。まずはコース上で「レジェンドF1デモ走行」が行われ、かつて鈴鹿を沸かせた馴染み深いF1マシンが登場。

 

3月の鈴鹿ファン感でも登場したロータス101やフェラーリF2003も、今回再び用意されて中嶋悟氏と中野信治氏が、思い出深い鈴鹿サーキットを駆け抜けた。

 

さらに1990年に、ここ鈴鹿で日本人初の表彰台を獲得した鈴木亜久里氏がラルースLC90に乗ってファンの前に登場。この時点では数時間後に小林可夢偉が初の表彰台を獲得するとは、思っていなかった人も多かっただろう。

この他にも、昨日の前夜祭で甲高いエンジンサウンドを披露してくれたHondaRA272も、宮城光氏がステアリングを握って走行。今年は鈴鹿サーキット開場50周年ということで、例年以上に多くのF1マシンが集まって、デモ走行を披露した。

 

 

その後、F1では恒例のイベント「ドライバーズパレード」が行われ、全ドライバーが出席。2011年チャンピオンで今回のレースのポールシッターでもあるセバスチャン・ベッテル(レッドブル)を先頭に、クラシックカーに同情してコースを1周。普段はテレビの前でしか観ることの出来ないドライバーを目の前で見られるとあって、どこの観戦スタンドも満員。大きな声援で各ドライバーを出迎えた。

 

パレードの最後尾から出発した可夢偉は2コーナーの可夢偉応援席前でクルマから降りると、そのまま観客席へ歩み寄り大きく手を振って声援に応えた。

 

 

そして15時00分。ついに2012年のF1日本グランプリ決勝レースがスタート。いきなり多重クラッシュが起きてセーフティカーが導入されるなど混乱のあったレースはベッテルが独走で今季3勝目を飾り、3番手スタートの可夢偉が3位でチェッカーを受け、初の表彰台を獲得。表彰式前には「可夢偉コール」がサーキット全体に響き渡るなど、まさにお祭り騒ぎとなった。

そして、こちらも恒例となった表彰式後のポディウムインタビュー。今回は当初F2003のデモ走行を担当するはずだったジャン・アレジ氏が登場。スタンドからは驚きとともに彼を歓迎する歓声が沸き起こった。

 

そのインタビューを最初に受けたベッテル。その現王者のコメントに今週末の日本グランプリを振り返って、こうコメントした。
「まずは皆さんにありがとうと言いたい。週末を通して鈴鹿の雰囲気は本当に格別だった。木曜日のサイン会から多くのファンが鈴鹿に来てくれて、ホテルを出るところや、移動中の沿道ではたくさんの声援を送ってくれて、僕だけじゃなくF1ドライバー全員を歓迎してくれた。グランドスタンドは超満員で、どのコーナーでも毎ラップに渡ってみんなが旗を振ってくれて応援してくれた。こういう雰囲気があるから、僕は鈴鹿が大好きなんだよ。とにかく特別な週末だった!」
最後に、日本語で「どうもありがとう」とファンに挨拶したベッテル。

実際にはファン自身が、それぞれの方法で、それぞれの角度で楽しんでいるF1日本グランプリなのかもしれないが、そこで生まれる笑顔やパワーが、知らない間にドライバーやチーム、関係者にも伝わった今年の日本グランプリだった。

 

 

決勝日の来場者数は、昨年を3000人上回る103,000人。今年は地上波でのテレビ放送もなくなり、F1ファンが減るのではないかと思われたが、2009年に日本グランプリが鈴鹿に戻ってきてから一番の盛り上がりをみせ、大盛況のうちに閉幕。

楽しい週末を過ごした今年のF1日本グランプリとの別れ惜しむファンに、最後に鈴鹿サーキットが用意したメッセージがこちらだった。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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