午前中は濃霧によりフリー走行がキャンセルになるなど、天候に振り回されていた第7戦オートポリス。しかし決勝開始1時間前には霧も晴れ、予定通り14時00分から決勝レースがスタートすることになった。
しかし路面はウエットコンディションのまま、予報によるとこれから回復するという話もあれば雨が再びフルという情報もあり、各車ともにスタート直前までどのタイヤにするかを悩み続け、GT500ではPETRONAS TOM’S SC430(中嶋一貴/ロイック・デュバル)がギャンブルに出てスリックタイヤを選択。他はレインタイヤだったが浅溝・深溝と選択が分かれた。
決勝は安全を考慮しセーフティカー先導によりスタート。2周の間、隊列走行が続いたが3周目からグリーンフラッグが振られてレースが本格的にスタートした。するといきなりオープニングラップから動きが出る。2番手のMOTUL AUTECH GT-R本山哲がWedsSport ADVAN SC430アンドレ・クートをパス。トップでレースを進めていく。過去8戦中4勝を挙げ、オートポリスを大得意としている本山。わずか1周で後続とのギャップを3.3秒に引き離すと、その後も順調に後続との差を広げ、気が付けば7.5秒のリードを築いていた。しかし13周目にGREEN TEC&LEON SLSがターン4でクラッシュ。これによりセーフティカーが導入される。今までの貯金が水の泡になったニスモGT-R本山だったがリスタートもベテランらしい落ち着いた対応でバンドウSC430クートを上手く押さえた。逆にクーとはD’station ADVAN GT-Rビヨン・ビルドハイムにかわされ、3位に後退。GT-Rが1−2態勢を築いてレース中盤に突入する。
レースの3分の1にあたる20周を過ぎると、各チームがピット作業の準備を始める。上位陣で先に動いたのがMOLA GT-R。24周目にクインタレッリから柳田にバトンタッチする。続く26周目にトップのニスモGT-R本山もピットイン。クルムにドライバー交代する。これでトップがバンドウSC430クート、2位はKONDO GT-Rビルドハイム。ヨコハマタイヤユーザーの1−2態勢に変わっていく。
ライバルが20〜30周でピットに入っているのに対し、雨に定評のあるヨコハマタイヤはレース後半でのピットストップを選択。ここからクートとビルドハイムによる抜きつ抜かれつの展開になり、サーキット全体の注目を集めた。そして40周目、トップに立ったKONDO GT-Rビルドハイムからピットイン。安田にバトンタッチする。バンドウSC430も翌41周目にピットに入り、荒に交代。しかし作業に手間取り、KONDO GT-Rの先行を許してしまう。
これで暫定トップに立ったのがEPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)。こちらも雨に強いダンロップタイヤユーザー。一番最後までタイヤ交換を引っ張りピットイン。なんとここでタイヤ無交換というギャンブルに出て作業時間を大幅に短縮。トップでコースに戻った。ベテランの道上龍からバトンを受け取った中山友貴。最初はKONDO GT-R安田に抜かれるものの、ダンロップが一番得意とする乾き始めのハーフウエットコンディションでペースを取り戻し50周目に順位を奪い返し、自身初優勝に向けリードを築き始める。
このままエプソンHSVの今季初優勝も確実かと思われた残り5周。あのマシンがトップ争いに加わってくる。レース序盤から虎視眈々と上位進出を狙っていたMOLA GT-R。残り10周でバンドウSC430、KONDO GT-Rの2台を一気にかわすとエプソンHSVを猛追。ついにファイナルラップで追いつき、残り半周の第2ヘアピンで意地のオーバーテイクを決め、見事トップ奪還。そのままトップチェッカーを受け今季2勝目を飾った。
なおファイナルラップのオーバーテイク際、両者が接触しエプソンHSV中山はスピンを喫してしまうが、特にペナルティはなく黒白旗による警告が柳田に出されるだけとなった。
さらにチャンピオン争いをしていたZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)が7位に終わったことで、両者の差が24ポイントに広がったため、なんと最終戦を待たずにMOLA GT-Rの2年連続GT500チャンピオンが決定した。
パルクフェルメに帰ってくると、出迎えたクインタレッリが何度もガッツポーズ。その場でチャンピオン確定を知った柳田も喜びを爆発させ、ガッチリと抱き合った。2位にはEPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)がそのまま入り、3位にはD’station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)が今季2度目の表彰台を獲得した。
『記事:吉田 知弘』
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