F1日本GPまで1ヶ月に迫った9日(日)、第13戦イタリアGPの決勝が行われた。
舞台はフェラーリの聖地モンツァ・サーキット。金曜日のフリー走行から多くの熱狂的フェラーリファン“ティフォシ”がサーキットに駆けつけ、フェラーリチームの勝利のために声援を送った。
しかし8日(土)に行われた公式予選ではルイス・ハミルトン(マクラーレン)がポールポジション。僚友ジェンソン・バトンが2位に入りマクラーレンチームが敵地でフロントローを独占。フェラーリ勢はフェリペ・マッサが今季ベストの3位に食い込むものの、エースのフェルナンド・アロンソはQ3でマシントラブルが発生。思うようにタイムアタックができず10位に終わった。
午後2時。予選同様に晴天に恵まれ、ドライコンディションの中でスタートが切られた。PPのハミルトンは上手くダッシュを決めるものの、2位バトンが出遅れ、3位マッサが前に出る。1コーナーまで距離があるモンツァのメインストレートを利用し、1コーナーでアウト側からトップ奪還を狙うマッサだったが、ここはハミルトンが冷静に対応しトップを死守。ハミルトン、マッサ、バトンの順でレースが進んでいく。
序盤からリードを築きたいハミルトンだったが、今期ベストグリッドから表彰台、そして約4年ぶりの優勝を目指すマッサが食らいついた。結局大きなリードを作れないままピットストップのタイミングを迎える。
今回ピレリタイヤは一番硬いハードとミディアムの組み合わせを全チームに供給。ほぼ各車ミディアム→ハードでつなぐ1ストップ作戦を選択した。まず上位陣で先に動いたのがマッサ。19周を終えてピットイン。続いて続々と上位陣がタイヤ交換を行い、マクラーレン勢はバトンが22周、ハミルトンが23周してピットに戻ってきた。
ほぼ全員がタイヤ交換を終えたところで、1位ハミルトン、2位バトン、3位マッサ、4位アロンソという順。敵地モンツァでマクラーレン勢が1−2態勢を築く。このままマクラーレン勢の独壇場かと思われた33周目。2位を走るバトンのマシンがトラブルにより突然ストップしリタイヤ。さらにトップを走るハミルトンにも見えない影が忍び寄ってくる。今回12番手からスタートしたセルジオ・ペレス(ザウバー)だ。
Q3進出を逃したペレスは他とは異なるハード→ミディアムとつなぐ戦略。序盤から上位陣に食らい付き、チャンスが来るのを待った。上位陣が続々とピットインしハードタイヤに交換したのに対し、29周まで我慢してミディアムタイヤに交換。ここから怒涛の追い上げが始まる。
バトンのリタイヤもあり、37周目には4位に浮上したペレス。1位ハミルトンがタイヤ温存のため1分29秒台に抑えて走る中、1分27秒台のペースでファステストラップを連発。マッサ、アロンソといったフェラーリ勢を次々とオーバーテイクし2位に浮上する。
これに対しマクラーレン側も迅速に対応。すぐハミルトンに無線で状況報告をすると、今まで温存していたタイヤを一気に使ってプッシュ。ラップタイムを1分28秒台にもどし再び逃げ始める。
この時点で残りは8周、トップとの差は11.2秒。両者のペースを考えるとペレスは追いつくことがほぼ不可能な状態。しかし今季2度の表彰台を経験している期待の若手はファイナルラップまで自己ベストタイムを更新。最後の最後までハミルトンを追いかけ続けた。
結局、4.3秒後方まで迫られたハミルトンだったが最後までミスのない安定した走りで今季3度目のトップチェッカー。ペレスは一歩及ばず2位となった。
3位には10番手スタートから追い上げたアロンソ。チャンピオン争いをするバトンに加え、セバスチャン・ベッテル、マーク・ウェバーといったレッドブル勢も終盤に相次いでリタイヤ。再びポイント差を大きく広げて、自身3度目のチャンピオン獲得に大きく近づくレースとなった。
日本の小林可夢偉は2戦連続で予選Q3に進出。ペレスを上回る9位からすたーとしたものの、レース後半はタイヤの消耗に苦しみ、残り8周で2ストップ作戦を選んでいたニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)にかわされ11位転落。ポイント圏外となってしまったが、レッドブルチームの2台が相次いでリタイヤという波乱の展開にも助けられ、9位入賞。2ポイントを獲得した。
またしてもチームメイトの活躍に影を潜める結果となってしまったがザウバーが不得意としていたモンツァで、9位入賞できたということは間違いなくチームがレベルアップしている証拠だろう。
まもなく母国日本GPを迎える可夢偉。次回のシンガポールGPでもポイントを獲得して、良い流れを作った状態で母国レースを迎えてほしい。
『記事:吉田 知弘』
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