『撮影:SHIGE』
SUPER GT第6戦富士のGT300クラスは今シーズン一番と言ってもいいほど白熱したレースとなった。
昨日の予選日同様に晴天に恵まれた富士スピードウェイ。スターティンググリッドに続々と到着するマシンの中、モーターのみの静かなサウンドで最後コーナーに登場したapr HASEPRO PRIUS GT。昨日の予選では最強軍団と言われているFIA-GT3車両を破り堂々のポールポジション獲得を果たしたのだ。
ハイブリッドGTカーの初優勝が見られるか?と期待が高まった中、スタート直前にプリウス陣営のグリッドが慌ただしくなる。ブレーキにフロントブレーキパッドを外すなど対応に追われた。ブレーキに不安を抱えたままローリングスタート。2位のHANKOOK PORSCHE影山正美がプリウスGTの新田守男に襲いかかるが、何とかトップを死守。ところが1コーナーのブレーキングで挙動を乱しスピン。さらに2周目にも1コーナーでスピンを喫し、最後尾まで後退してしまう。
最大のライバルが消えたハンコックポルシェ。自慢のストレートスピードを使ってリードを広げるかに思われたが、前回鈴鹿で優勝したtriple a vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)が背後に迫った。94kgのウェイトをもろともせず、6番手スタートから順位を上げて17周目のヘアピンで追い抜き、トップに浮上する。
しかし、燃費が悪いアストンマーティンは、34周目のピット作業で時間がかかってしまいハンコックポルシェに逆転されてしまう。さらにマシントラブルが発生しスローダウン。43周目にガレージインとなり、無念のリタイヤを余儀なくされた。
これでライバルがまた1台減ったハンコックポルシェだったが、次に現れたライバルは、あのハイブリッドGTカーだった。
序盤のスピンなどで、最後尾に下がったプリウスGT。しかし諦めずに挽回を続け、ハイブリッドGT最大のメリットでもある短い給油時間も功を奏して、36周目には3位に浮上。後半のステアリングを担当した嵯峨宏紀はさらにプッシュを続け、53周目にCR-Zをかわして2位。そのままハンコックポルシェにも追いつき、「海外スポーツカーの代表ポルシェ」vs「日本を代表するハイブリッドカー プリウス」による夢の対決が始まった。
各コーナーの立ち上がりではモーターのアシストパワーを駆使して横に並びかけるプリウスGT。しかし直線番長の意地をみせ、ストレートで引き離すハンコックポルシェ。一進一退の展開のまま53周目に突入。ついにプリウスGT嵯峨が突破口を開く。100Rで上手く背後につき、ヘアピンでインに飛び込んだ嵯峨だったが、オーバースピードで挙動を乱し痛恨のスピン。幸いハンコックポルシェに大きな被害はなく、藤井は引き続きトップを死守。そのまま今季2勝目のチェッカーを受けた。
痛恨のスピンで3位に落ちたプリウスGT嵯峨だったが再度猛追を開始。2位の無限CR-Z中嶋大祐に執念で追いつき、残り3周で再逆転に成功。今季ベストの2位を手に入れた。3位は無限CR-Zが入り、今季から登場したハイブリッドGTカー2台が早くも表彰台をゲットした。
GT300クラスのチャンピオン争いはハンコックポルシェが60ポイントに伸ばしトップ浮上。2位S Road NDDP GT-R(千代勝正)14ポイント、3位Triple a vantage GT3(吉本大樹/星野一樹)の貯金を得て、次回の第7戦オートポリスに向かう。
優勝ドライバーコメント
影山正美
「朝のウォームアップから車を色々といじっていました。藤井選手には本当に感謝しています。ハンコックタイヤ、チーム、スポンサー、応援してくれているファンの皆さんの勝ち気が強かったのかなと思うぐらいラッキーでした。実力としては3位4位じゃないかなと思っています。その中でチームがノーミスでパーフェクトな結果が優勝につながったと思っています。」
藤井誠暢
「まずは1勝目を飾れたこと、シリーズランキングトップになれたので良かったです。予選から良くて勝てそうな流れでした。決勝はきつい状況でした。しかし序盤プッシュしました。プリウスが迫ってきていましたが、相手の良いところ、自分たちの良いところを知っていたので、最後にプリウスのスピンという流れもありましたが、チームをはじめハンコックタイヤ、影山選手と一丸となって結果を残せて良かったです。」
『記事:吉田 知弘』
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。