3月の鈴鹿ファン感から続いている星野一義と中嶋悟による夢のF1対決。これまで2度に渡り最終決戦が天候不良やマシントラブルにより“お預け”となっていた。しかし、どうしても決着をつけたい2人の熱意と、それを楽しみにしているファンの想いが伝わり、50周年アニバーサリーデーの舞台で三度決戦の場が設けられることになった。
対決を前にトークショーのため、グランドスタンド前のステージに登場した星野と中嶋。スタンドからは「中嶋がんばれー!」「星野負けるなー!」と熱烈なファンから歓声が上がり、グランドスタンドはこの日一番の盛り上がりをみせた。大歓声で迎えられた中嶋は「自動車レースに関わっていなければ、こんな楽しい人生は送っていなかったよね。」と満面の笑み。一方の星野は「何が何でも今日は勝つ!」と気合十分だった。実は3月3日(土)、鈴鹿ファン感の1日目に行われた2人のF1初競演では、「先輩を立てる」と言いながら中嶋が先着。その悔しさを星野は半年間引きずったままだったのだ。
果たして、今回のバトルはどうなるのか。
注目の対決の前に、今回から新しく設けられた「受け継がれるライバル対決」と題して、現在フォーミュラ・ニッポンに上位争いを繰り広げる伊沢拓也と塚越広大が登場。DOCMO TEAM DANDELION RACING同士によるチームメイトバトルが、マクラーレンMP4/4とMP4/5を使って行われた。
もちろん、ライバル対決とは言うものの実際にはデモンストレーションラン。100%を出し過ぎてマシンを壊してしまうわけにはいかない。しかし、いざステアリングを握ると闘争本能が生まれるのがドライバーというもの。お互いに負けたくない心が前面に出て、両者ガチンコでスタートダッシュ。スタンドで感染するファンも、まるで本物のレースを観ているかのような盛り上がりで伊沢と塚越を応援した。互いに一歩も譲らぬ争いを見せるが、最後は両者申し合わせたかのように土着でフィニッシュ。決着は明日に持ち越された。
若い2人の走りで、さらにテンションが上がった星野と中嶋。スタンド前のステージを離れてロータス100TとウィリアムズFW11に乗り込む。
ピットアウト後、1周してグリッドにつくとシグナルが点灯。最終決戦の第1ラウンドが始まった。ところがスタート直後から波乱。「絶対に勝つ!」と気合が入っていた星野。なんと豪快にフライングして、ホールショットを奪う。これにスイッチが入った中嶋も反撃。1周目ダンロップ手前で抜き返すが、すかさず星野が2周目の1コーナーでインからオーバーテイク。3月の初対戦時よりも激しいバトルが繰り広げられ、スタンドのファンも大型ビジョンに釘付けとなった。
星野がトップで最終3周目を迎えるが中嶋が1コーナーでアウトから豪快にパス。現役時代を彷彿とさせるオーバーテイクにスタンドは拍手喝さい。星野も数少ないチャンスを狙いテール・トゥ・ノーズのまま最終コーナーへ。そこで中嶋が少しアウトに膨らんだイン側に星野が飛び込み、並んだままでチェッカーフラッグ。なんと同着で最終第1ラウンドを終えた。
レースを終えた2人はマシンを降りると、ガッチリと握手。お互いの健闘をたたえ合うとともに、明日の最終第2ラウンドに向けて「明日が最終決戦になるから、明日も観に来てね!」と呼びかけた。
約半年にわたって注目を集めてきた星野一義と中嶋悟によるF1対決。いよいよ明日、本当の最終ラウンドを迎える。
『記事:吉田 知弘』
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