【ビギナー観戦塾】今からでも間に合う!初めてのフォーミュラ・ニッポン観戦

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いつもビギナー観戦塾をご覧いただきありがとうございます。

今回のビギナー観戦塾は国内最高峰のフォーミュラカーレース「フォーミュラ・ニッポン」のご紹介です。
普段から「F1は観る!」「SUPER GTは観る!」というファンに比べて「フォーミュラ・ニッポンは欠かさず観ています!」という人は多くない現状にありますし、「どんなレース?」と知らない方も多いのではないかと思います。

そこで、今回はフォーミュラニッポンのルールや魅力、今シーズンの見どころに、現地観戦でのポイントをご紹介していきたいと思います。

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【フォーミュラ・ニッポンって何?】
正式名称は「全日本選手権フォーミュラ・ニッポン」1996年から始まった、国内最高峰のレースです。
一般車に似たような形をしたマシンで争われるSUPER GTとは異なり、F1と同じタイヤは剥き出し、前後に大きなウイングを装着した「フォーミュラカー」で争われるレース。初めて、このレースの名前を聞く方にとっては「なんか呼びにくい」と思う方もいらっしゃるかもしれません。そのため、レース関係者やファンからは「Fポン」や「FN(エフエヌ)」と略称で呼ばれるケースが非常に多くなっています。

【数多くのF1ドライバーを輩出している“F1への登竜門”のひとつ】
F1マシンと同じフォーミュラカーでのレース。さらに最大出力600馬力以上のエンジンに、全幅2mのマシンを使用しているため、F1には及ばないものの、それに限りなく近い性能を発揮するのがフォーミュラニッポンのマシン。

そのため、ペドロ・デ・ラ・ロサ(HRT)や、ミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)の弟ラルフ・シューマッハなど、このレースで過去にチャンピオンを獲得したドライバーがF1へステップアップし、世界最高峰の場で活躍している「歴史と伝統のある」レースでもあります。

また、本山哲、脇坂寿一、立川祐路、道上龍、片岡龍也、荒聖治など、国内を代表するトップドライバー達も、若い頃はフォーミュラニッポンで活躍し、国内では大人気のトップドライバーに成長していきました。

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[左:中嶋一貴、右:アンドレ・ロッテラー]

今シーズンは、2008・2009年のウィリアムズチームからF1参戦を果たしていた中嶋一貴が引き続きフル参戦。さらに2011・2012年のル・マン24時間耐久レースで総合優勝を果たした2011FN王者アンドレ・ロッテラーも継続参戦が決定するなど、世界クラスのトップドライバーが集結している、とてもレベルの高いレースなのです。

今では、不景気の影響により、参戦チームやスポンサーも減少。同じ国内レースであるSUPER GTから比べると、なかなかスポットライトの当たらないレースになりがちですが、本当に歴史のある「“日本一速い男”決定戦」のレースなのです。

【マシンは全員同じ!F1と同じルールが多数】
基本的なルールは、F1と同じシステムを採用しているフォーミュラニッポン。
予選はノックアウト方式で、ノックアウト台数や各ラウンドの時間などはF1と異なりますが、Q1~Q3まで同じように設定されています。

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少し違うのが決勝レースのルール。2012年はレース距離が約250kmに統一され、全7戦で争われます。昨年まで各レースで「タイヤ交換義務2回」などという縛りが設けられていましたが、今年はタイヤ交換の義務付けがなくなりました。しかし、燃料積載量に制限がかけられ、ゴールまでに最低一度は給油が必要になります。そのため、今年は最低1回のピット作業が必要となるレース展開が主流となります。

タイヤ交換等のピット作業ですが、F1の場合は作業人数「無制限」に対し、FNは「4人まで」とルールが決まっています。以下に効率よく、ミスなく作業を終わらせるかが、レースの勝敗を分ける重要なポイントになってきます。

『マシンは全員同じ!』
F1とフォーミュラニッポンの最大の違いは、「マシンの製造元」です。F1の場合は各チームがテクニカルレギュレーション(車両規則)に沿ったマシンを製作して参戦する事になっていますが、FNの場合は、主催者側であらかじめ決められたマシンのみ使用が許されており、改造はほとんどできません。

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[今季も全チームが使用するFN09]

また、エンジンはホンダかトヨタの3.4リッターV8エンジン(最大出力600馬力以上)を選択、タイヤはブリヂストンのみ使用と、マシン面での選択肢が非常に限られているのがフォーミュラニッポンの特徴です。マシンの性能差は基本的になく、全員が同じコンディションで勝負することになるため、ドライバーの腕の違いがレース結果に大きく影響してきます。そういう点でいくと、F1よりも融通が利かない点はたくさんありますが、ドライバー個人の実力がハッキリ見られるため、評価もされやすくなるのです!

【ドライバーが勝負をかけているタイミングが分かる!“オーバーテイクシステム”】
F1とフォーミュラニッポンの違いは、もう一つあります。その違いが、ドライバーがいつ追い抜きのために“勝負をかけているか”が分かるシステム「オーバーテイクシステム(OTS)」です。
レース中にステアリング(ハンドル)内の指定されたボタンを押すと、20秒間だけエンジンの最大回転数が400回転上がり、少しだけスピードすることができるシステムです。

しかし、フォーミュラニッポンでのシステムは、OTS発動時に「観客もライバルも視覚的に分かるような」システムが導入されています。

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このマシンのコックピット(運転席)上部に5つの小さなLEDランプが付いています。
レース中は、これが点灯している事になるのですが、OTS発動時にはランプが“点滅”する仕組みになっています。なので、誰が見ても「今OTSを使っている!」と分かるようになっているのです。

さらに、このランプはOTS発動開始の5秒後から点滅をスタートするため、敵に自分の動きを悟られる事なく発動が可能になっているのです。

『OTSは使用は1レース5回まで』
おそらく全世界のレースの中でも例のないシステム。もちろん使用数には制限が付いていて、1レースあたり5回までです。1回OTSを使うたびに、LEDランプは1つずつ消えていくため、「誰が残り何回使えるのか?」というのも、分かるようになっているのです。

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いかがだったでしょうか??
今季は終盤戦に佐藤琢磨選手もスポット参戦が決定し、例年にない盛り上がりを見せているフォーミュラ・ニッポン。

特に今年は、全ドライバーの実力差が少なく、誰が勝っても、誰がチャンピオンになってもおかしくないレースが展開される可能性が、非常に高いです。

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今まで「F1だけ」とか「SUPER GTだけ」を観てきた方も、フォーミュラニッポンの「国内最高峰のフォーミュラレース」の迫力を体感してみてください!!

フォーミュラ・ニッポン公式サイト

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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