SUPER GTシリーズで唯一の海外ラウンドとなる第3戦セパンが10日(日)、マレーシアのセパン・インターナショナルサーキットで開催された。
気温33℃、路面温度52℃と、予選日をさらに上回る灼熱のドライコンディションでマレーシアラウンドがスタートした。
ポールポジションは昨年のセパン戦に引き続き、ウイダーHSV-010(小暮卓史/カルロ・ヴァン・ダム)が獲得。スタートでも2位のZENT CERUMO SC430(立川祐路/平手晃平)、3位のMOTUL AUTECH GT-R(本山哲/ミハエル・クルム)を抑え、トップで1コーナーを通過していく。ウイダーHSVはエースの小暮をスタートドライバーにして一気に逃げる戦略に出たが、開幕戦優勝に大きく貢献した38号車セルモの平手が追走する。
今回は予想以上に路面温度が上がった事により、各タイヤメーカーともに苦戦を強いられてしまう。前回富士でポールポジションを獲得したダンロップタイヤを履くEPSON HSV-010(道上龍/中山友貴)は序盤でタイヤ交換を余儀なくされる事態となり、ヨコハマタイヤユーザーのD’station ADVAN GT-R(安田裕信/ビヨン・ビルドハイム)2周目にタイヤがバーストしリタイヤ。またレース終盤には昨年のチャンピオンチームであるS Road REITO MOLA GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)も暑さに強いと言われていたミシュランタイヤがバーストするなど、波乱のレースとなった。各車が暑さで苦戦する中、後方から怒とうの追い上げを見せたのがENEOS SUSTINA SC430(伊藤大輔/大嶋和也)。じつは土曜日の予選でエンジントラブルが起き、決勝は最後尾スタート。しかし、完璧に調子を取り戻した6号車は次々とライバルたちをかわす快走を見せた。
そんな中、注目のトップ争いは18号車のウイダーHSV(小暮)と、38号車セルモ(平手)の一騎打ちの展開となる。約2秒の間隔を保ったまま、ドライバー交代のタイミングを迎える。まず先に動いたのが38号車セルモ、26周目にピットインしベテランの立川祐路にバトンタッチ。これをみた18号車ウイダーHSVも27周目にピットイン。GT500ルーキーのカルロ・ヴァン・ダムにステアリングを託す。
両者の位置関係に大きな変更はなく、再び38号車の前でコースに戻った18号車。しかし、GT300のマシンが絡んでペースが落ちたヴァン・ダムにベテラン立川が急接近。一時、0.3秒差にまで迫る。
このまま38号車が前に出るのも時間の問題かと思われたが、GT300マシンの処理が終り、前方がクリアになると、すぐにペースを取り戻し、迫ってくる立川を圧倒。結局、最後まで38号車を前に出さなかった18号車が、そのままトップチェッカーを受け、セパン戦2連覇となる今季初優勝を飾った。
パルクフェルメに戻ってきたヴァン・ダムを笑顔で出迎えた小暮は「いつもは後半スティントを任されていたから、走行を終えて待っている方の気持ちを知らなくて、ずっと“早く終わってくれ!”と祈っていました。とにかく嬉しいです!」とインタビューに答えた。後半スティントで素晴らしい走りをみせたヴァン・ダムは「前半の小暮選手の走りをみて、タイヤマネジメントをどうやっていくかというイメージを持って走った。前半はタイヤをセーブしなければいけなくて、その間に38号車が迫ってきて辛かったけど。最後までトップで走れて、本当に嬉しい」と満面の笑みを見せていた。
2位には最後までトップを追い詰める走りをした38号車セルモ。悔しい結果になったが、これでトータル38ポイントを獲得。ポイントランキングでも再び首位に躍り出た。3位は、序盤から怒とうの追い上げを見せた6号車の伊藤/大嶋組が入った。さらに4位にはDENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)が入り、レクサス勢がトップ5に3台と、今季の絶好調振りをアピールするレースとなった。
次回は第4戦SUGOが、7月28・29日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催される。
『記事:吉田 知弘』
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