2012年のF1第4戦バーレーンGPが22日(日)、57周で争われた。
ポールポジションは今季初となるセバスチャン・ベッテル(レッドブル)。2番手にはルイス・ハミルトン(マクラーレン)が入った。
スタートではベッテルが好スタートを決めトップで1コーナーを通過。1周目から一気に後続を引き離し、5周目には2位ハミルトンに対し4.5秒のリードを築く。昨年、11勝を挙げチャンピオンを獲得したときのようなスタートから相手を突き放し、逃げ切るレース展開で今季初優勝を目指した。
この王者ベッテルのライバルとなったのは、ロータスチームだった。ベッテルが好調に周回を重ねるのに対し、ハミルトンは序盤からペースが上がらず、後方から迫ってきたロマン・グロージャン(ロータス)にパスされ、3位に後退。1位のベッテルを追いかける。さらにチームメイトのキミ・ライコネン(ロータス)も徐々に順位を上げ、10周目には3位に浮上。1回目のタイヤ交換を終え新しいソフトタイヤを手にした第2スティントでは、さらにペースを上げ、トップ2人に迫った。
2回目のタイヤ交換を終えた26周目には、グロージャンを捕らえて2位に浮上。ここから2007年王者のライコネンと現王者のベッテルによる“チャンピオン経験者同士の優勝争い”が繰り広げられていく。
1分38秒台で逃げるベッテルに対し毎ラップ約0.2~0.3秒速いペースで追いかけたライコネン、ついに33周目には2人の差は1秒を切る。
ストレートスピードで勝っていたライコネンが駆るのロータスE20。DRSも使えるメインストレートで何度かベッテルの横に並びかけた。しかし強引にブレーキ勝負に持ち込もうとせず、並びかける事で彼にプレッシャーをかけていく。これによりベッテルが焦ってミスを犯すことを待った。しかし、相手は現役ワールドチャンピオン、通産22勝を挙げてきたベッテル。ライコネンからのプレッシャーに動じることなく、チャンスを待った。
ライコネンが優勢の状態で進み、ベッテルを追い抜くのも時間の問題かと思われたが、3回目のタイヤ交換を機に流れが一気に変わる。両者がタイヤを使い切った39周目、2人が同一周回でタイヤ交換のためピットインをする。レッドブルチームは完璧なチームワークを発揮し21.800秒でベッテルを送り出す。一方のロータスチームは少し手間取り22.597秒。1秒を切っていた両者の間隔は再び2.242秒に広がった。
ここからチェッカーに向けて王者ベッテルが一気にスパート。41周目にファステストラップとなる1分36秒379を記録すると、ライコネンとの差を3.498秒にまで広げていく。相手の攻めが止んだ瞬間を見逃さずにライコネンを振り切ったベッテルが、今季初優勝を手にした。
最終的にベッテルに逃げられてしまったライコネンも2位でチェッカーを受け、2009年のイタリアGP以来でF1復帰後では初の表彰台を獲得した。以前では恒例だった「ライコネンのシャンパン一気飲み」を楽しみにしていたファンも多かったかもしれないが、残念ながら今回はお預けとなった。
そして3位にはライコネンの僚友グロージャンが入り、F1参戦11戦目で初の表彰台を獲得した。
また、日本の小林可夢偉は(ザウバー)は12番グリッドからスタート。決勝では唯一ハード側のミディアムタイヤを選択してスタートするなど、彼がF1デビュー当時からザウバーチームとともに得意としてきたロングラン重視の作戦でポイント獲得を目指した。しかし、予想よりも早くタイヤの消耗が進んでしまうなど、今回もレース戦略が上手く行かず、残り7周のところで予定外の3回目のタイヤ交換を余儀なくされてしまう。13位でチェッカーを受けた。
実質的にベッテルvsライコネンの優勝争いは今回が初めて。今までも後方から積極的に攻めていく走りで逆転優勝を何度も手にしてきたライコネン。今回も後方からプレッシャーをかけ、相手のミスを誘う走りでトップ奪還を目指したが、思った以上にベッテルの方が我慢強く、逆にチャンスがきた時に一気に攻めて相手を引き離した。
新旧王者がそれぞれの持ち味を存分に引き出した優勝争いは、ベッテルに軍配が上がった。
『記事:吉田 知弘』
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