F1第3戦中国GPの決勝レースが15日、上海インターナショナルサーキットで行われた。
当初は雨という予報もあった決勝日だが、ドライコンディションでスタートを迎えた。王者セバスチャン・ベッテル(レッドブル)や好調マクラーレン勢が後方に沈む中、ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)が初ポールポジションを獲得。日本の小林可夢偉(ザウバー)が自己最高の3番手からスタートを切った。
悲願の初表彰台・初優勝が期待された可夢偉だが、スタートで出遅れて7位に後退。その後も新品タイヤを積極的に投入する3ストップ作戦を選択するも、肝心なところでペースの遅いマシンに引っかかるなど、今回も後手の展開を強いられる。
一方、ポールポジションからスタートしたロズベルグが1位を守りながら、後続を引き離す走りを見せる。2番手スタートのミハエル・シューマッハとともにメルセデスAMG勢の1-2体制を築くが、13周目にタイヤ交換時のトラブルによりリタイヤを余儀なくされてしまう。
これによりジェンソン・バトン(マクラーレン)が2位に浮上し、ロズベルグvsバトンのメルセデスエンジン勢の優勝争いとなった。
レース前半から快調にトップをキープしていたロズベルグだがロングランでタイヤの消耗を気にしなければならない2ストップ作戦を選んでいたため、徐々にペースが落ち始める。一方のバトンは3ストップ作戦を選択、レース中盤から一気にロズベルグを追い詰めていく。こうしたピット戦略の違いもあって、34周目にロズベルグが2回目タイヤ交換を終了した時点でバトンに9.580秒の先行を許す。ここまで両者ともに計画通りの展開。注目となったのはバトンが3回目のタイヤ交換を終えた時に、ロズベルグが何秒前方にいるのか、ということだった。
3回目のタイヤ交換で新品タイヤを得て、コース上でロズベルグを逆転したかったバトンだったが、その3回目のタイヤ交換(38周目)にピットインした際、左リアタイヤの作業に手間取り予想以上にタイムロスしてしまう。これでロズベルグに先行を許しただけでなく、後方で2ストップ作戦で頑張っていたフェリペ・マッサ(フェラーリ)やキミ・ライコネンの集団に引っかってしまい、バトンの戦略は失敗。ロズベルグに独走を許してしまった。
これで一気に楽になったロズベルグは、ミスのない走りを最後まで続け、ついに悲願の初優勝を決めた。
元F1チャンピオンであるケケ・ロズベルグ氏の息子として注目を集め、2006年に“鳴り物入り”でウィリアムズチームから華々しいデビューを飾ったニコ・ロズベルグ。これまで何度も予選で上位に食い込んだり、決勝でも優勝争いに加わるなど、光る走りを見せていたが、いつも肝心なところでミスが出たり、レース戦略の甘さが露呈して悔しい思いをしてきた。
デビュー7年目、111戦目でようやく掴んだ初優勝。表彰台でトロフィーを受け取ると、デビュー当時から彼に注目し続けてきたファン・関係者に「7年分の恩返し」と言わんばかりの笑顔を見せ、天に高々とトロフィーを突き上げた。
また、レース序盤で後方に下がり苦しいレース展開となった小林可夢偉は、2ストップ作戦を選んだマッサ、ライコネンのペースが伸びていないことをいち早く判断、38周目に3回目のタイヤ交換を行う。これで前方がクリアになった可夢偉は40周目にファステストラップを叩き出すなど、自分のペースを取り戻し、最終的に彼らの逆転に成功。10位入賞で、今季2度目のポイント獲得をはたした。
『記事:吉田 知弘』
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