2012年のF1も早くも第2戦、マレーシアGPの決勝レースが25日、セパンインターナショナルサーキットで開催された。
予選では開幕戦に引き続きマクラーレン勢がフロントローを独占。今回もマクラーレン有利のレース展開になると思われたが、決勝スタート直前に雨降りだし、ほぼ全車が小雨用のインターミディエイトタイヤを装着し、レースがスタート。この“雨”がマレーシアGP決勝の展開を大きく左右するきっかけとなった。
スタートではグリッドどおりマクラーレンが1-2位体制をキープ。3位スタートのミハエル・シューマッハ(メルセデスAMG)は、スタートでジャンプアップしたロマン・グロージャン(ロータス)と接触しスピン。大きく後退してしまう。スタートと同時に雨が強くなり始めたセパンサーキット。この天候変化にいち早く対応したのがセルジオ・ペレス(ザウバー)だった。1周目にピットに戻って豪雨用のウエットタイヤに履き替えると、雨脚が強くなったコースで苦しむ各車よりも1~2秒速いペースで周回。4・5周目にライバルがタイヤ交換に入っている隙にマクラーレン2台のすぐ後ろとなる3位まで浮上した。
ここで雨はさらに強さを増し、セーフティーカーが導入。9周目に赤旗が出され、天候回復を待ち約50分間レースが中断される。
東南アジア特有のスコールで大荒れの展開となったが、雨も落ち着き現地時間の17時15分に全車がウエットタイヤを装着してレース再開。最初はセーフティーカー先導のラップが続いたが14周目にリスタートが切られる。セーフティーカー解除と同時に、各車がインターミディエイトへの交換が集中しピットは大混雑。トップで戻ってきたハミルトンも後続車の通過待ちでピットBOXからなかなか出られず大幅にタイムロスをしてしまい、2位を走っていたバトンもナレイン・カーティケヤン(HRT)と接触しフロントウイングを破損するなど、これまで好調だったマクラーレン勢に不運が連発してしまう。この隙に速さを見せたのが5位につけていたフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)。濡れた路面を味方につけ、16周目にトップに立つと、あっという間に2位以下の差を7秒以上に広げてしまう。
マクラーレン勢が不運に見舞われ、順位を落としていく中、2位に浮上したのはペレス。最初は濡れた路面に苦労しアロンソに大きく差を広げられてしまったが、路面上の水の量が少なくなってくると、徐々にペースを取り戻し猛追を開始。40周目には7.7秒の差を追い上げてアロンソの背中を捉える。ここで路面がほぼ乾き始め、アロンソはドライタイヤを求めて再びピットイン。一方のペレスは交換の判断が1周遅れ、再びアロンソに7秒のリード許す事になる。
こうしてフェラーリエンジン勢が優勝争いをしている中で、王者セバスチャン・ベッテルは苦戦を強いられていた。レース中盤は4位を入っていたが47周目に他車のフロントウイングで左のリアタイヤを切ってしまいパンク。緊急タイヤ交換を余儀なくされ、ポイント圏外に沈んでしまう。
優勝争いは再び7秒の貯金を得たアロンソの優勝が確実かと思われたが、ザウバーの若手ドライバーは初優勝に向けて、サイド自分自身とザウバーC31にムチをいれ、アロンソを猛追。ついに48周目にDRS稼動圏内となる1秒以内まで詰めてくる。ここまでくればメインストレートでDRSとKERSで並びかけるペレス。しかしアロンソも冷静に対応し、メインストレート付近でKERSを使えるように温存。重要なポイントをきっちり抑えてトップを死守する。
2度のワールドチャンピオン経験者であるアロンソの冷静な対応に焦ってしまったペレスが50周目の14コーナーでミスをし、コースアウト。三度アドバンテージを得たアロンソがそのままフィニッシュし、今季初優勝を獲得した。
残念ながら、自らのミスで初優勝のチャンスを逃したペレスだったが、最後までアロンソを追い続け、堂々の2位チェッカー。自身初表彰台を経験した。3位は、今回もポールポジションスタートを活かし切れなかったハミルトンが入った。
一方、ペレスの僚友である小林可夢偉は、予選でのトラブルが響き17位スタート。決勝でもマシンバランスが思うように行かず、さらに戦略も後手を踏む展開となり苦しいレースとなってしまった。結局ブレーキトラブルにより46周でリタイヤとなった。次回の中国GPでペレス以上の活躍に期待したい。
2戦が終了し、大本命と言われていた王者ベッテルが未だ優勝なしという波乱の展開となっている2012シーズンのF1。次回は4月13~15日、第3戦中国GPが開催される。
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