2014年のF1世界選手権の開幕戦オーストラリアGP。現地時間の15日(土)17時00分から公式予選が行われた。午前中のフリー走行3回目では太陽が顔を出していたが、天気予報通り予選が近づくにつれ分厚い雲がアルバートパーク・サーキット上空を覆い始める。
今にも雨が降ってきそうな状況下でQ1がスタートすると、ドライの間にタイムを出そうと各車が一斉にコースイン。普段はソフトタイヤを温存する上位陣もいきなり装着して、一気にタイムアタック合戦がスタート。ここでトップタイムを叩き出したのが地元オーストラリア出身のダニエル・リカルド(レッドブル・レーシング)。少ないチャンスをものにし、1分30秒775を記録。2位には新人のケビン・マグヌッセン(マクラーレン)が1分30秒949を叩き出した。多くのマシンが1度目のタイムアタックを終えたあたりで、ついに雨が降り出し瞬く間に路面はウエットコンディションに。この時点で小林可夢偉(ケータハム)はわずか0.019秒差でQ2進出圏内の16位に入っており、濡れた路面でタイムアップができなくなったことで助けられ、見事Q2進出を果たした。
こうしてQ1が終了。マルシャの2台とマーカス・エリクソン(ケータハム)が脱落し、ドライの間に好タイムを出せなかったエステバン・グティエレス(ザウバー)もノックアウト。今週末ずっとトラブルに悩まされているロータスチームの2台は、この予選でも満足な走りが出来ずQ1で姿を消した。
完全にウエットコンディションになったQ2では、各車インターミディエイト(少雨用)タイヤを履いてコースイン。ここから絶好調のメルセデスAMG勢が本領発揮。ニコ・ロズベルグが1分42秒264を記録しライバルを圧倒するが、母国GPで良いところをみせたいリカルドも応戦。1分42秒295で2番手につける。
チャンピオンチームに新加入した若手が活躍する一方で4年連続王者のセバスチャン・ベッテルが精彩を欠く。濡れた路面とコース上の混雑で満足にタイムアタックが出来ず、残り1分の状態でなんと16位。最後のチャンスをかけてタイムアタックに臨むものの、1分44秒668でトップ10入りならず。結局13位でQ2ノックアウトとなってしまう。これには本人も納得が行かない様子でアタックを終えるとステアリングを叩き、怒りをあらわにした。この他にもキミ・ライコネン(フェラーリ)はセッション終盤にクラッシュし12位。ジェンソン・バトン(マクラーレン)も11位とチャンピオン経験者がウエット路面で力を発揮できずノックアウトされる波乱のQ2となった。
これによりQ3進出メンバーはリカルドとロズベルグ、ハミルトンのメルセデスAMG勢に加えフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、ニコ・ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)、フェリペ・マッサ、バルテリ・ボッタスのウイリアムズ勢。さらにジャン‐エリック・ベルニュ、ダニール・クビアトのトロ・ロッソ2台も生き残り、マグヌッセンという新鮮なメンバー。チャンピオン経験者を上回り、このレースがF1デビューであるマグヌッセンとクビアトの2人がQ3進出を果たすという大番狂わせが起きた。
最後のQ3になるとインターミディエイトでは対応できないくらいの雨量になり、ほぼ全車が豪雨用のウエットタイヤ(青)でコースイン。しかし、雨脚が増えたのと同時にタイムアタック合戦もより白熱した最終Q3となった。
まずトップに踊りでたのは、ここでもメルセデスAMG勢。ロズベルグが1分45秒550を叩きだすと、ハミルトンがすかさず1分45秒335を記録。昨年も白熱したチームメイト同士の激しいポールポジション争いが、2014年開幕戦から早速繰り広げられることになったが、そこにリカルドが割って入る。
1度目のアタックこそ1分46秒107の遅れをとったが、すぐピットに戻りインターミディエイトに履き替えるという大胆な選択をとる。これが当たり残り時間1分を切ろうかというところで1分45秒314を叩き出し、暫定トップに浮上。しかし、同一周回でアタックをしていたハミルトンが1分44秒762、さらにロズベルグが1分44秒595で再びトップに。ここでチェッカーフラッグが振られるが、その前に通過していたリカルドとハミルトンはタイムアタックを継続。
地元の声援を受け、ほぼノーミスで回ってきたリカルドが1分44秒548と0.047秒差で暫定トップ。これには詰めかけた地元ファンから大歓声が上がったが、その後ろを走っていたハミルトンの方は1分44秒231を記録。通算32回目のポールポジションを勝ち取った。残念ながら初PPとはならなかったリカルドだが、自己最高位の2番手を勝ち取り、パルクフェルメではチームスタッフと喜んでいた。3位にはロズベルグ、4位にマグヌッセン、5位にアロンソという上位の結果になった。
雨により、いきなり大波乱となった2014年シーズンのF1。しかし、その雨が久しぶりに手に汗握るタイムアタック合戦を演出してくれた。明日の決勝は日本時間の16日(日)15:00からスタート。新規定で全く新しくなったマシンでの初戦を勝利するのは、果たして誰なのか?目が離せない開幕戦決勝がいよいよ始まる。
『記事:吉田 知弘』
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