[Photo:Vodafone Mclaren Mercedes]
ヘレス合同テストを目前に控えた2月1日、F1世界選手権に参戦するボーダフォン・マクラーレン・メルセデスが2012年型の新マシン「MP4-27」を発表した。
新マシンの発表は、マクラーレンの本拠地「マクラーレン・テクノロジー・センター」でプレス向けにお披露目され、その様子はインターネットで世界中のファンに向けてもLive配信された。
会場でお披露目されたMP4-27。外見面でも変更点は、昨年導入していたL字型のサイドポッド(コックピット左右の空気取り入れ口)が廃止されスタンダードなものになっている。これは、今年からブロウンディフューザーを禁止するために、上方排気が義務付けられる。これによりサイドポッド内の排気関係のトータルバランスを考慮し、L字型は廃止して別の形状を採用することを決めた。
[Photo:Vodafone Mclaren Mercedes]
また、先日発表されたケータハムの新車で見られたフロントノーズ部分の段差は、マクラーレンMP4-27では見られず、綺麗なノーズ形状となっている。しかし、今季のテクニカルレギュレーション(車両規定)の変更により、フロント部分の段差の形状は必須項目となるため、今度テストを重ねていくうちに実践版がお目見えすることになるだろう。
ドライバーは、昨年に引き続きジェンソン・バトンとルイス・ハミルトンのイギリス人チャンピオン経験者コンビで“打倒レッドブル”をテーマに2012年を戦う。
ジェンソン・バトン
「今年は大きなレギュレーション変更がなかったため、我々はマシンの詳細部分の照準を絞ってマシン開発・製作に集中する事が出来た。外見は昨年のマシンの純粋進化をしただけのように見えるが、我々はシーズンオフの間、マシン各所を細かく分析し、よりアドバンテージを得られるように新しいアイディアを全てのパーツに取り入れた。来週から始まる合同テストで、このマシンを走らせられることが楽しみだよ。」
ルイス・ハミルトン
「新しいシーズンを迎えるに当って、この冬は十分に充電する事が出来た。F1の素晴らしいところは、シーズンのスタートになると全てリセットされ、皆がゼロからスタートを切る事になる。それは僕をいつも“ハングリー”な気持ちに戻してくれる瞬間でもある。昨年、僕たちはMP4-26で6勝を挙げることが出来た。今回のMP4-27は昨年のマシンの長所や信頼性を活かしながらも、新しいアイディアが盛り込んで進化させたマシンに仕上がったと思っている。はじめてこのマシンをドライブする時に、きっと新鮮で刺激的な感覚を覚えるだろう」
マーティン・ウィットマーシュ(マクラーレン チーム代表)
「2012年は我がチームにとって重要なシーズンになるだろう。2年連続でコンストラクターズランキング2位に終わったが、今年もさらに両タイトル奪還を目指して厳しく挑戦していく。MP4-27は視覚的な変化はいくつかあるものの、一番変化したのは“皮膚の下(マシン内部)”だ。たくさんの新しいアイディアを主要な部分に取り入れ、マシンは完璧な仕上がりだ。2012年シーズンもレッドブルは強力であることは承知しているし、フェラーリやメルセデスAMGも戦闘力をアップさせてくるだろう。今の我々の状態に満足している余地はない。我々の焦点は、3月18日のメルボルン(開幕戦オーストラリアGP)で最高のシーズンスタートを切るためのMP4-27の準備に向いている。」
このマクラーレンMP4-27は、2月7日から始まるヘレス公式合同テストに参加予定。初日の走り出しはジェンソン・バトンが担当する予定だ。
『記事:吉田 知弘』