いよいよ開幕まで1ヶ月半に迫った、今年のF1日本GP。
今年も、10月7~9日に開催、さら翌日の10日は体育の日で祝日ということで、3連休を利用し、ファンの皆様も鈴鹿サーキットでの観戦を考えている方も多いと思う。
今年もルール変更はいくつかあり、見どころも増えている2011のF1。今回は日本GPでの見どころを紹介していこうと思う。
【今季絶好調の王者ベッテル、鈴鹿でチャンピオン決定も?】
今シーズンは、2010王者のセバスチャン・ベッテル(レッドブル)が圧倒的な速さを見せつけ、ハンガリーGPが終了し、234ポイントを獲得。2位の同僚マーク・ウェバーに85ポイントの大差をつけている。
ここ数戦は、勝利から遠ざかっているベッテルだが、後半戦も彼が主役になってくる可能性が高い。そのため、昨年とは異なり、最終戦を待たずにチャンピオンが決定する可能性が高い。
ここまでのベッテルの快進撃を見ると、チャンピオン決定の瞬間が鈴鹿で見られる確率は非常に高い。現在、85ポイントをリードしているベッテルが、もし日本GPでチャンピオンを決定させるとするならば、同レース終了時点で101ポイント以上のリードが必要になる。
つまり、日本GPを含む5レースで、ライバル達よりも16ポイント以上多く獲得すれば2連連続のチャンピオンが鈴鹿で決まる事になる。
過去にも「チャンピオン決定の舞台」として、F1史に残る名勝負が展開されてきた鈴鹿でのF1日本GP。もし、ベッテルが鈴鹿でチャンピオンを決めることになれば、2003年(ミハエル・シューマッハが史上最多チャンピオン記録を塗り替えたレース)以来、8年ぶりの王者決定の瞬間を観ることができる。
もちろん、日本GPまでのレースがどんな展開になるかによって、チャンピオン争いの状況も大きく変化してくるが、今年は久しぶりにチャンピオン決定の瞬間を鈴鹿サーキットで観ることができるかもしれない。
【今年はKERS、DRSでオーバーテイクが増加。鈴鹿でも“追い抜き合戦”になるか?】
今年からF1は、レース中のオーバーテイク(追い抜き)の機会を増やすために、KERS(ブレーキエネルギー回生システム)とDRS(可変リアウイング)という2つの装置の導入を許可した。これにより、今年はどんなタイプのコースでもオーバーテイクの機会が増加し、毎回白熱したレースが展開されている。
しかし、日本GPの舞台となる鈴鹿サーキットはコース幅も狭く「抜きにくいコース」として有名だ。それでも、同様に追い抜きヶ少ないモナコなどでも各マシンが積極的にコース上での順位アップを狙っているレースが見られている。
今年の鈴鹿は、例年にないほど「エキサイティングなレース」を観ることができるかもしれない。
【2度目の日本GPとなる小林可夢偉“昨年より良い順位でゴールしたい”】
今年のF1日本GPの最大の見どころとなるのが、日本人ドライバー小林可夢偉(ザウバー)の凱旋レースだ。昨年も、予選でのミスが響き13位からのスタートとなったが、抜きにくい鈴鹿のコースで果敢に攻めた。レース中は誰も仕掛けないだろうと思っていたヘアピンで5度のオーバーテイクをみせ、最終的に7位入賞。鈴鹿サーキット全体に大きな感動を与えてくれた。
今年も、(ハンガリーGP終了時点で)27ポイントを獲得し、予選ではQ3進出常連ドライバーにまで成長した可夢偉。日本GPでも、昨年大活躍したヘアピンに、新しく「小林可夢偉応援席」が設けられ、2月の先行販売で完売となった。
今年は、前述でも紹介したKERSやDRSなど、オーバーテイクの機会を増やす装置の導入が認められており、チーム側も鈴鹿に照準を合わせたマシンの大幅な改良を考えているとの事。先日、F1の夏休み期間中を利用し、帰国していた可夢偉は、鈴鹿サーキットで開催された『ポッカGTサマースペシャル』に来場。トークショーイベントで「(鈴鹿での目標は)昨年より、良い順位でゴールしたい」と意気込みを語ってくれた。
今年も、数々の大逆転レースを見せてくれている可夢偉。内容によっては2004年アメリカGPの佐藤琢磨以来となる、日本人3人目の表彰台獲得も、今年の鈴鹿で見ることができるかもしれない。
毎年、シーズン全体の振り返る上でも、ハイライトの一つとして必ず取り上げられる鈴鹿でのF1日本GP。それだけ、鈴鹿でのレースは大きなドラマを生み出す要素がたくさんある。
今年の日本GPは、是非お茶の間ではなく、鈴鹿サーキットにきて、そのドラマの「目撃者」になっていただきたい。
『記事:吉田 知弘』