[フォーミュラ・ニッポンスタートシーン(撮影:SHIGE)]
快晴で日差しが強くなった鈴鹿サーキット。午後1時45分からフォーミュラニッポン開幕戦の決勝レースが38周で行われた。
今年は中嶋一貴・大祐の兄弟参戦や、オリベイラ・小暮・ロッテラーの大御所3人によるチャンピオン争い、さらに期待の若手ドライバーの成長や、注目の新人ドライバーの参戦など、例年にないほど見どころ満載のフォーミュラニッポン開幕戦となった。
[開幕戦恒例の全ドライバーの集合写真(撮影:中村写真事務所)]
予選の振り返りはこちら
http://www.kansenzyuku.com/circuitdiary/diary.cgi?no=297
まずはスタート。昨日の予選で素晴らしい走りを見せた山本尚貴がポールポジションだったが、初のPPスタートで緊張したのかダッシュがつかず、1コーナーの進入時に3位に後退。さらに2コーナーで塚越広大(ダンデライアン)と接触し、2コーナーでスピン。最後尾に落ちてしまう。さらに接触時にリアサスペンションにダメージを負ってしまい、1周目で緊急ピットイン。修復作業のため5周遅れとなってしまう。
これによりトップは2位スタートの小暮と、フライング1歩手前のロケットスタートを決めたロッテラーによる激しい首位争いが展開されていく。
今回の開幕戦では「レース中に4輪のタイヤを1度以上交換しなければならない」という義務があったが、この“タイヤ交換”がレース順位に大きく影響する事となった。
このピット義務に対して、最初に動いたのが14位スタートとなった中嶋一貴(TOM'S)。予選で大失敗し、後方からのスタートとなった一貴は、レース序盤にタイヤ交換をし、ライバルが周りを走っていないところで単独走行を続けた。これが、最終的に3位まで浮上する結果となった。
注目のトップ争いも、タイヤ交換で勝負が決することとなった。レース後半、先に動いたロッテラーは15.1秒の作業時間でピットアウト。一方の小暮は、その直後にピットイン。しかし、作業の精度と早さには定評があったNAKAJIMA Racingのピット作業だったが、タイヤ交換でミスが出てしまい、ロッテラーに逆転を許してしまった。
これで、2位以下との差を広げたロッテラーが8年目のフォーミュラニッポンで初めて開幕戦を優勝。最後まで追いかけ続けた小暮だったが小暮はタイヤ後に大きくタイヤを傷つけてしまい、2位でゴールとなった。
[左:開幕戦を制したロッテラー 右:久しぶりに表彰台を獲得した中嶋一貴]
3位は、ピット戦略で大逆転した中嶋一貴が入った。
彼が表彰台に上がるのは、2007年のGP2シリーズ以来4年ぶり。国内レースでは、2005年のSUPER GT(GT300)以来の6年ぶりとなった。
レース後の表彰式では、ホームストレートが開放され、グランドスタンドの観客も参加しての表彰式となった。
なお、スパークリング日本酒による「スパークリングファイト」は自粛された。
【決勝レース後記者会見】
優勝:アンドレ・ロッテラー(TOM'S)
「まずは勝つことが出来て良かった。完璧なスタートを決められたのが勝因だった。スタート後は小暮の後ろについていき、彼との争いはピットストップ勝負になるだろうと感じた。出来る限り作業時間を短くできるよう努力した。作戦通り前に出る事が出来たね。(初めての開幕戦優勝となりましたが?)やっと開幕戦で勝つことが出来たね。シーズンを考えるとポジティブなスタートを切ることが出来たから、この流れでシリーズチャンピオンを狙いたい」
2位:小暮卓史(NAKAJIMA Racing)
「スタートは良かったのですが、ロッテラーがずっと追いかけてきて、自分がプッシュすると彼もプッシュしてきて、ロッテラーとの勝負になるなと感じました。ピット作業でミスが出てしまい2位に後退し、さらにヘアピンで大きなフラットスポットを作ってしまい、最後はペースを抑えざるを得なかった。」
3位:中嶋一貴(TOM'S)
「昨日、Q1が終わって14位(Q1敗退)と聞いた時は真っ青になりましたが、今日は3位になれて最高でした。今週のテスト走行の時からマシンが決まらず、ウォームアップ走行までマシン調整を繰り返していて、レース時のセッティングもぶっつけ本番状態でしたが、それが上手く決まりました。昨日予選がダメになった時から、今回の戦略で行こうと決めて、最初にタイヤ交換しました。ただ、タイヤが持つのかテストしたことなかったので心配しましたが、プラン通りのレースができました。久しぶりの表彰台となりましたが、非常にいい気分ですし、鈴鹿でも富士でもF1の時は、皆さんの前で良いレースができなかったのですが、今回は国内で転戦することになり、その最初ということで注目度も高かったと思います。その中で良いレースが出来て、正直ホッとしています。」
『記事:吉田 知弘(ビギナー観戦塾)』