現在、東京・小平にあるブリヂストンタイヤを紹介する展示館「ブリヂストンTODAY」で、彼らがF1に「公式タイヤ供給メーカー」として挑戦してきた14年間の軌跡を展示した特別企画「Bridgestone 14years in F1」が開催されている。
期間限定で開催されている、この特別企画展。先日、観戦塾でも「関東オフ会」の前半メインイベントとして30名以上のファンとともにブリヂストンのF1挑戦の歴史を見学してきた。
このブリヂストンTODAYでは、10名以上の団体で見学する際、事前申込み制で館内のスタッフが展示物の案内・紹介をしてくれる「団体見学ツアー」がある。
このブリヂストンTODAYは、今はF1関係の展示物がメインになっているが、それ以外にも「ブリヂストンタイヤ」としてタイヤ技術や、タイヤの構造に関する展示物も常設されており、まさに「タイヤの博物館」となっている。
見学ツアーでは、まずブリヂストンの創業の話から始まり、初めて製作された「ブリヂストンタイヤ」の紹介。またモータースポーツ関係では1996年に実際にブリヂストンがF1タイヤのテストで使用したリジェ無限のマシン、またブリヂストンとともに“黄金時代”を気付いたフェラーリF2003-GAも展示されている。
さらに特別企画展として、実際にF1のレースで使用されたタイヤも、そのまま展示されており、2010年に初のF1王者に輝いたセバスチャンベッテルが、王者決戦となったアブダビGPで使用したタイヤをはじめ、1998年日本GPでブリヂストンとミカ・ハッキネンが初めてチャンピオンを獲得したタイヤ。さらにF1参戦初年度の1997年で使用されていた(当時の)スリックタイヤも、そのまま保存され、展示されている。
また、シューマッハが使用したレース後のタイヤも展示されており、レース後の車検で車体重量が規定より下回るのを防ぐため、また他メーカーにタイヤの消耗状況を分析されない工夫として、コース上に落ちた“タイヤカス”をわざと拾ってきたタイヤも展示されており、普段から疑問に思っていたファンも興味深く説明を聞いていた。
こうして、普段は“見るだけ”で、触る事は絶対に許されないF1のタイヤだが、このブリヂストンTODAYでは、実際にF1タイヤに触れて、さらに自らの力で持ち上げて見ることが出来る体験コーナーも設けられている。
時速300kmという世界で高速回転しているF1タイヤ。しかし、その正体は子どもでも持てるほどの「軽さ」にある。という記述は、よくモータースポーツ雑誌でも目にする機械はあると思うが、それを「実際に体験」できるのも、このブリヂストンTODAYならではなのだ。
ここでモータースポーツに関する展示の説明は終了。続いてブリヂストンのタイヤ・ゴムの展示の紹介に移っていく。
普段は、自動車やバイクのタイヤを製作しているタイヤメーカーというイメージが強いが、それ以外にも工事用の大型車両や飛行機のタイヤも製作しているとの事。特に飛行機に関してはボーイング社製航空機のほとんどがブリヂストンのタイヤを使用しているという説明には、見学に来たファンも驚いていた。
しかし、ブリヂストンの技術は「タイヤ」だけではなく、地震の衝撃を和らげる「免震」にも利用されていたり、イルカの人工尾びれの製作にも携わっている。
この他にも、ここでは紹介しきれないくらいのブリヂストンの技術が展示されていて、それら展示物や案内をしてくださるスタッフの方の丁寧な説明を聞いていると、色々なことに対して真正面から取り組む「ブリヂストンの技術と情熱」を感じる事が出来る。
個人的な体験談になってしまうが。数年前に私の知人がこのような事を話していた。
「タイヤは、人の命を守る大切な要素。だからタイヤ選びは真剣にやらなければいけない」
この言葉の意味を、ブリヂストンTODAYでの見学ツアーに参加して、改めて感じる瞬間でもあった。
「より速く」「より安全に」「より便利に」
このメッセージを追求し続け、そして14年間F1にチャレンジし続けてきたブリヂストンの“足跡”を、まだご覧になっていない方は、是非お時間を見つけて、ブリヂストンTODAYに足を運んでほしいと思う。
このブリヂストンの特別企画展は3月5日(土)まで、期間が延長され、開催されている。
『記事:吉田 知弘(ビギナー観戦塾)』