『撮影:SHIGE』
2月3日、東京・青山で、2012年のHondaモータースポーツ活動計画発表会が行われた。
会場となったHondaウエルカムプラザ青山には、多くの報道関係者、スポンサー関係者が集まり、14時から始まった体制発表会の様子はUSTREAMで生中継配信され、多くのファンが視聴した。
『撮影:SHIGE』
昨年のホンダは特に2輪で大活躍し、“タイトル奪還”を宣言して挑んだMotoGPでは、見事ライダーズ、チーム、コンストラクターズの三冠を獲得。これについて、ホンダの伊東孝紳社長が冒頭の挨拶で「昨年、この場で“タイトル奪還”を宣言したMotoGPは、おかげさまでライダー、チーム、コンストラクターの三冠を勝ち取る事が出来ました。お客様やファンの皆様と喜び、感動を共有する事が出来ました。今年も三冠連覇を目指してまいります。」と、その喜びを振り返ると共に、今季も王者としてタイトル防衛に挑む強い姿勢をアピールした。
また4輪については国内のSUPER GT、フォーミュラニッポン以外にも米インディカーシリーズやWTCCなど、幅広いカテゴリーに参戦しタイトル獲得を目指していく事が発表された。
【WTCC:欧州シビックで日本ラウンドから参戦が決定】
FIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)に、欧州で発売される新型シビック(5ドア)をベース車両に、参戦する事を決定。チームオペレーションはイタリアの「J.A.S.モータースポーツ」が行い、エンジンは本田技研と㈱M-TECにより国内で開発・製造される。
2012年は10月の日本ラウンド(鈴鹿)で1台体制でスポット参戦、2013年は2台体制でフル参戦を計画している。
『WTCC参戦を表明する伊東社長(撮影:SHIGE)』
ホンダが世界選手権レースに本格的に挑戦するのは2008年のF1以来、これについて伊東社長は「やっぱり世界の舞台に改めてチャレンジして行って、その中で勝っていくことの喜びをまた味わいたいです。(欧州シビックを参戦車両に使用することについて)欧州で出したシビックは我々も自信のある商品なので、それを広く知っていただきたいという部分もあります。」とコメントした。
【SUPER GT:GT500はHSVでタイトル奪還、GT300にはHVカー、CR-Zで挑戦】
国内最高峰のSUPER GT。今季もホンダはGT500にHSV-010をさらに磨き上げて参戦する。昨年はウイダーHSV-010(小暮卓史/ロイック・デュバル)が2勝するなど活躍したが、ポイントランキングでは3位が最高。ライバルの日産勢に両タイトルを奪われてしまった。
今季は8号車にS-GTチャンピオン経験を持つラルフ・ファーマンが復帰し、18号車にGT300で参戦、2008年全日本F3王者のカルロ・ヴァンダムが新加入。“両タイトル奪還”をテーマに5チーム10人のドライバーがGT500に参戦する。
また、GT300クラスにホンダの人気ハイブリッドスポーツカー「CR-Z」をベース車としたマシンでの参戦も発表された。㈱M-TECとの共同プロジェクトで「チーム無限」としてエントリー。第4戦SUGOでの参戦を目標に開発・製造が始まっている。なおドライバーは昨年ARTA HSV-010でSUPER GTに参戦した武藤英紀が開発ドライバーも含めて起用される事が決定。しかしセカンドドライバーについての発表はなかった。
『撮影:SHIGE』
<<GT500クラス>>
■No.8 オートバックス・レーシング・チーム・アグリ(ARTA)
ラルフ・ファーマン/小林崇志
■No.17 ケーヒン リアル レーシング
金石年弘/塚越広大
■No.18 ウイダー ホンダ レーシング
小暮卓史/カルロ・ヴァンダム
■No.32 エプソン・ナカジマ・レーシング
道上龍/中山友貴
■No.100 チーム国光
伊沢拓也/山本尚貴
<<GT300クラス>>
■No.16 チーム無限
武藤英紀/TBA
No.18ウイダーHSV-010 小暮卓史
「今年は、チームメイトが変わり、より強い体制のもと、今シーズンを迎えることになりました。先日セパンサーキットで行われたテストで、良い感触を得る事ができ、チャンピオン奪還を目指して、今年も頑張ります。応援よろしくお願いします。」
【フォーミュラニッポン:佐藤琢磨のスポット参戦が決定!】
今年も4チーム6台にエンジン供給を行うホンダ。昨年は特別戦も含め、ホンダエンジン勢が優勝できない不本意なシーズンに終わってしまった。今年は大きなドライバー変更がなく、改めて優勝・チャンピオン獲得へ向けて挑戦する。
また、今年も米インディカーシリーズにフル参戦する佐藤琢磨(詳細は後述)が、フォーミュラニッポンにスポット参戦をすることが発表された。具体的なチーム体制、参戦レースについては未定となっている。
<<2012年フォーミュラニッポン:ホンダエンジン搭載チーム/ドライバー>>
■HP REAL RACING
No.10 金石年弘
■チーム無限
No.16 山本尚貴
■NAKAJIMA RACING
No.31 中嶋大祐
No.32小暮卓史
■DOCOMO TEAM DANDELION RACING
No.40 伊沢拓也
No.41 塚越広大
No.41塚越広大(DOCOMO TEAM DANDELION)
「昨年からこのチームに移籍し、高いレベルのところでレースができました。しかし、僕らは優勝、チャンピオンを目指して走っているので、今年はレースはもちろん、私生活面も見直して、勝ちにこだわっていきたいと思います。そしていつもサポートしてくれているホンダさんに恩返しが出来るような走りを見せたいです。」
【INDY:佐藤琢磨はレイホール・レーシングに移籍してフル参戦を継続】
昨年までホンダエンジンのワンメイクだった米インディカーシリーズ。しかし、今年から複数のエンジンメーカーが参入し、使用マシンも新しくなる。ホンダは激しい争いが予想されるエンジンマニュファクチュラータイトルでチャンピオンを目指す。またフル参戦3年目を迎える佐藤琢磨はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングにチームを移籍。ホンダエンジンとともに初優勝を目指す。
『撮影:SHIGE』
■レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング
No.15 佐藤琢磨
「レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはインディでも歴史があるチームなので本当に楽しみです。また今年はシャシー、エンジンも全く新しいものになり、大きなチャレンジになると思いますが、昨年成し遂げられなかった決勝での優勝という目標に向けて、今季も精一杯走りたいと思っています」
・フォーミュラニッポンのスポット参戦について
「基本的にはインディのスケジュールを第一優先としているのですが、可能なところでフォーミュラニッポンにスポット参戦することが決まりました。僕自身は、今までF1やインディで日本の舞台で走ってきましたが、今年はインディジャパンがなくなり本当に残念に思っていました。しかし、こうして(FN参戦という形で)まだ日本で走る機会を得られて、楽しみにしていますし、ファンの皆さんの前で良い走りとしたいと思います。」
『撮影:SHIGE』
2011年、MotoGPでは大活躍したシーズンだったが、4輪のSUPER GT、フォーミュラニッポンでは惨敗を喫してしまったホンダ。2012年、改めて「タイトル奪還」をテーマに、ホンダ陣営のモータースポーツシーズンが始まった。
『記事:吉田 知弘』