JAF Grand Prix FUJI SPRINT CUPが行われた13日(日)、富士スピードウェイでSUPER GTを運営する株式会社GTアソシエイションの坂東正明会長が定例記者会見を行った。
今回の定例会見では、以前から各メーカー・チームと協議が続けられてきた「来季以降のGT300車両レギュレーション」を中心に、来季のSUPER GTの方針についていくつかの発表があった。
■GT300クラスの車両レギュレーション変更■
現在は、紫電、ガライヤ、カローラアクシオ、レガシィB4など国内メーカーが開発した「JAF-GT車両」と、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェといった強豪海外マシンの「FIA-GT3車両」の2種類のマシンが混在している。
今季までは性能面で圧倒的に上回るFIA-GT3車両を、JAF-GT車両の性能レベルに合わせ込む(FIA-GT3車両の性能に制限をかける)という方針だったが、来季の2012年以降は逆にFIA-GT3車両の性能レベルを基準にし、JAF-GT(GT300)車両のレベルアップを許可するとのこと。
これについて坂東会長は「GT300のポテンシャルアップをすることで国内メーカーの開発者に対して門戸を広げられるようにしたい」とコメントした。
これにより、今まで以上にGT500とGT300の性能差がなくなることになり、今までとは異なったSUPER GTの「2クラス混走レース」が展開されていく事になるだろう。
来季の全体的な規定変更点についても検討段階の項目がいくつか発表され、2日間で使用できるタイヤ本数制限を1セット減らす他、今まではスーパーラップ方式が中心で行われてきたSUPER GTの予選だが、来季以降は「2人のドライバーにスポットライトが当たるように」ということで、ノックアウト方式など、予選フォーマットの変更も検討されているとの事だ。
[来季のSUPER GTの計画について発表する坂東会長]
■2013年以降に海外進出の予定■
これまで国内の各サーキットとマレーシアのセパンサーキットで開催されてきたSUPER GTだが、2013年以降は積極的に東南アジアを中心に海外進出をしていく方針である事を坂東会長は明らかにした。
「まずは来月韓国のコリアンインターナショナルサーキットで2013年からの開催に向けた仮調印を行ってきます。その他にも中国のズーハイなど、2013年以降の東南アジアを中心とした海外でのSUPER GT開催も現実的になり始めています。」
またSUPER GTというカテゴリーを東南アジアでの統一車両規則として、各国で同じルールでシリーズ戦をそれぞれ開催していく方向で、東南アジア各国のプロモーターにも働きかけを行っているとの事。各国で「SUPER GTシリーズ」を開催し、それぞれのチャンピオンが最後に集まってチャンピオン戦を行うという構想もあるとの事。
これについては、各国のプロモーターとの交渉も絡んでくるため、実現には数年かかる見込みだか、日本から発進した「SUPER GT」というカテゴリーがアジア全体での最高峰GT選手権に発展していく日も近いようだ。
■SUBARUが来季に新型マシン投入予定■
来季のSUPER GTの話題に関連して、定例会見の場でスバルのレーシングカー開発に携わるSTI(スバルテクニカルインターナショナル株式会社)が、富士重工業とトヨタ自動車で共同開発中の新型小型FRスポーツカー「SUBARU BRZ」をベースにしたレーシングカーを製作中であることを発表。そして、このBRZのレーシングカーで2012年のSUPER GT(GT300)クラスに参戦する計画中にあることが発表された。
[今季参戦していたNo.62R&D SPORTS LEGACY B4(佐々木孝太/山野哲也)]
スバルはレガシィB4で2009年から参戦。今季はシリーズ戦で2勝し、GT300クラスランキング4位に輝いた。
そのレガシィB4で培ってきた「BOXER・FR」のノウハウを注ぎ込み、R&D SPORTとともに2012年は新型マシン「SUBARU BRZ」を投入する。
今季のシリーズ戦や、先日の富士スプリントカップでの強豪の海外GT勢と真っ向勝負を挑んでいたレガシィB4。その勇姿が来年から観られなくなるのは少々残念ではあるが、来季の新型マシンでチャンピオン奪還に臨むスバルに注目したい。
なお、SUBARU BRZでのGT300参戦計画の詳細は2012年1月開催予定の東京オートサロンにて発表される。
『記事:吉田 知弘』