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マクラーレンが新マシン『MP4-27』を発表

McLaren MP4-27 Technical Launch 2012
[Photo:Vodafone Mclaren Mercedes]

ヘレス合同テストを目前に控えた2月1日、F1世界選手権に参戦するボーダフォン・マクラーレン・メルセデスが2012年型の新マシン「MP4-27」を発表した。

新マシンの発表は、マクラーレンの本拠地「マクラーレン・テクノロジー・センター」でプレス向けにお披露目され、その様子はインターネットで世界中のファンに向けてもLive配信された。

会場でお披露目されたMP4-27。外見面でも変更点は、昨年導入していたL字型のサイドポッド(コックピット左右の空気取り入れ口)が廃止されスタンダードなものになっている。これは、今年からブロウンディフューザーを禁止するために、上方排気が義務付けられる。これによりサイドポッド内の排気関係のトータルバランスを考慮し、L字型は廃止して別の形状を採用することを決めた。

McLaren MP4-27 Technical Launch 2012
[Photo:Vodafone Mclaren Mercedes]

また、先日発表されたケータハムの新車で見られたフロントノーズ部分の段差は、マクラーレンMP4-27では見られず、綺麗なノーズ形状となっている。しかし、今季のテクニカルレギュレーション(車両規定)の変更により、フロント部分の段差の形状は必須項目となるため、今度テストを重ねていくうちに実践版がお目見えすることになるだろう。

ドライバーは、昨年に引き続きジェンソン・バトンとルイス・ハミルトンのイギリス人チャンピオン経験者コンビで“打倒レッドブル”をテーマに2012年を戦う。

ジェンソン・バトン
「今年は大きなレギュレーション変更がなかったため、我々はマシンの詳細部分の照準を絞ってマシン開発・製作に集中する事が出来た。外見は昨年のマシンの純粋進化をしただけのように見えるが、我々はシーズンオフの間、マシン各所を細かく分析し、よりアドバンテージを得られるように新しいアイディアを全てのパーツに取り入れた。来週から始まる合同テストで、このマシンを走らせられることが楽しみだよ。」

ルイス・ハミルトン
「新しいシーズンを迎えるに当って、この冬は十分に充電する事が出来た。F1の素晴らしいところは、シーズンのスタートになると全てリセットされ、皆がゼロからスタートを切る事になる。それは僕をいつも“ハングリー”な気持ちに戻してくれる瞬間でもある。昨年、僕たちはMP4-26で6勝を挙げることが出来た。今回のMP4-27は昨年のマシンの長所や信頼性を活かしながらも、新しいアイディアが盛り込んで進化させたマシンに仕上がったと思っている。はじめてこのマシンをドライブする時に、きっと新鮮で刺激的な感覚を覚えるだろう」

マーティン・ウィットマーシュ(マクラーレン チーム代表)
「2012年は我がチームにとって重要なシーズンになるだろう。2年連続でコンストラクターズランキング2位に終わったが、今年もさらに両タイトル奪還を目指して厳しく挑戦していく。MP4-27は視覚的な変化はいくつかあるものの、一番変化したのは“皮膚の下(マシン内部)”だ。たくさんの新しいアイディアを主要な部分に取り入れ、マシンは完璧な仕上がりだ。2012年シーズンもレッドブルは強力であることは承知しているし、フェラーリやメルセデスAMGも戦闘力をアップさせてくるだろう。今の我々の状態に満足している余地はない。我々の焦点は、3月18日のメルボルン(開幕戦オーストラリアGP)で最高のシーズンスタートを切るためのMP4-27の準備に向いている。」

このマクラーレンMP4-27は、2月7日から始まるヘレス公式合同テストに参加予定。初日の走り出しはジェンソン・バトンが担当する予定だ。

『記事:吉田 知弘』

【F1】2012年新車発表スケジュール&各チーム最新情報

3月16日の開幕に向けて、既にカウントダウンが始まっている2012年のF1世界選手権。いよいよ2月7日からシーズン前の公式合同テストが始まる。このテストに先立ち、各チームが2012年モデルの新型マシンのお披露目スケジュールを発表。大半のチームが2月上旬となる今週に発表を行う。

今回は、2012年シーズンを迎える各チームの動きと、新車発表スケジュールをご紹介していく。


【レッドブル】
■ドライバー
セバスチャン・ベッテル
マーク・ウェバー
■新車発表
2月6日13:00(日本時間22:00)WEBサイト上で発表
www.redbullracing.com
■トピックス
2年連続でドライバーズ、コンストラクターズを勝ち取ったレッドブルレーシングと王者セバスチャン・ベッテル。今年もチャンピオンチームとしてベッテル&ウェバーの布陣で両部門3連覇を狙う。その偉業を達成するために、昨年までトロ・ロッソのレギュラードライバーを務めていたセバスチャン・ブエミがチームのサードドライバーとして新加入。新車開発などで強力なバックアップになるだろう。
新車発表は、2月6日。WEB上で公開されるとのことなので、チャンピオンチームの2012年マシンに注目が集まる。


【マクラーレン】
■ドライバー
ルイス・ハミルトン
ジェンソン・バトン
■新車発表
2月1日11:00(日本時間20:00)WEB上でLive発表
http://www.mclaren.com/page/watch-the-launch-of-the-vodafone-mclaren-mercedes-mp4-27-live
http://www.mclaren.com/home/
■トピックス
昨年は強敵レッドブルチームに敗れた名門マクラーレン。しかしハミルトン&バトンのイギリス人コンビで昨年は6勝を挙げるなど、レースによってはレッドブルを上回るパフォーマンスを見せた。今年も2008王者ルイス・ハミルトンと2009王者ジェンソン・バトンのチャンピオン経験者コンビで打倒レッドブルを誓う。
新車発表は、上位陣の中では一番早く2月1日。日本時間の20時からマクラーレンの公式サイト、また公式Facebookページでも新車発表の様子が公開される予定だ。


【フェラーリ】
■ドライバー
フェルナンド・アロンソ
フェリペ・マッサ
■新車発表
2月3日 フィオラノで新車お披露目、WEBサイト上でも公開
http://singleseater2012.ferrari.com/
■トピックス
昨年はアロンソの1勝のみに終わり、チャンピオン争いでも大敗を喫してしまったフェラーリ。今年こそ王座奪還のために、日本から強力な“助っ人”として、2010年までブリヂストンのF1タイヤ開発の責任者として第一線で活躍した浜島裕英氏が同社を退社し、フェラーリに加入した。主にピレリタイヤとフェラーリマシンのマッチングを高める業務に携わるとの事。昨年からタイヤ戦略の重要性が高まったF1で、タイヤを知り尽くす浜島氏のフェラーリ加入は、きっと彼らにとって大きな追い風になる事だろう。
新車発表は2月3日。マラネロのフェラーリ本社でお披露目される予定だ。


【メルセデスGP】
■ドライバー
ミハエル・シューマッハ
ニコ・ロズベルグ
■新車発表
2月21日(予定)
■トピックス
今年もミハエル・シューマッハとニコ・ロズベルグのドイツ人コンビで挑むメルセデスGP。43歳を迎えた今年も第一線の舞台に立ち優勝・チャンピオンを目指すシューマッハと、そろそろ初優勝が期待されるロズベルグ。新車発表は他より約2週間遅い2月21日という情報も流れているが、トップ3チームに割って入る活躍が期待される。


【ロータス(旧ルノー)】
■ドライバー
キミ・ライコネン
ロマン・グロージャン
■新車発表
2月5日17:00※CET(日本時間2月6日01:00) WEB上で発表
http://www.lotusf1team.com/
■トピックス
昨年まで“ルノー”という略称でファンから識別されていたチーム。「ロータスの命名権」を巡ってチームロータス(現ケータハム)と争っていたが、ここにきて相手がケータハムに名称変更。こちら側も今年からロータスとしてチーム名を一部変更して参戦する。※詳細は後述で。
このチームの注目は、何と言っても2007年王者キミ・ライコネンのF1復帰だ。日本にも彼のファンは多く、今年の日本GPを含め、3年ぶりのF1の舞台で、どんな走りをみせてくれるか?大注目だ。
新車発表は日本時間の2月5日深夜。WEB上でLive発表される予定だ。


【フォースインディア】
■ドライバー
ポール・ディ・レスタ
ニコ・ヒュルケンベルグ
■新車発表
2月3日 シルバーストーンで発表
■トピックス
昨年はコンストラクターズ6位を勝ち取ったフォースインディア。今までチームのエースとして活躍してきたエイドリアン・スーティルが傷害事件の訴訟などの影響もあり、チームを離脱。2年目のポール・ディ・レスタと、リザーブだったニコ・ヒュルケンベルグが昇格し、注目の若手2人にレギュラーシートが託される事になった他、昨年までフェラーリのリザーブドライバーだったジュール・ビアンキがフォースインディアに加入するなど話題も多い。
新車発表は2月3日にシルバーストーンでお披露目。マシンのポテンシャル次第では、ダークホースになりそうな存在だ。


【ザウバー】
■ドライバー
小林可夢偉
セルジオ・ペレス
■新車発表
2月6日 ヘレスで発表
■トピックス
今年も可夢偉&ペレスの布陣で挑むザウバー。日本代表として今年も世界最高峰の舞台に挑戦する小林可夢偉は3年目のシーズンを迎える。これまでの2年間でチームと共に経験してきた事を最大限に活かし、今年も若手のペレスとともにさらに上位を目指す。
新車発表は2月6日、今年最初の合同テスト会場となるスペイン・ヘレスサーキットで新型マシンがお披露目される。


【トロ・ロッソ】
■ドライバー
ダニエル・リチャルド
ジャン・エリック・ベルヌ
■新車発表
2月6日 ヘレスで発表
■トピックス
ブエミ&アルグエルスアリのレッドブル若手育成コンビが定着してきたトロ・ロッソだったが、ここにきてドライバー体制を大幅変更。昨年はHRTで後半戦を戦った新秘蔵っ子ダニエル・リチャルドとフランス人ドライバーのジャン・エリック・ベルヌを起用する。
新車発表は合同テスト直前の2月6日、ヘレスサーキットで発表される。


【ウィリアムズ】
■ドライバー
ブルーノ・セナ
パストール・マルドナード
■新車発表
2月7日 ヘレス合同テストで発表
■トピックス
ここ数年のメインスポンサーであるAT&Tとの契約終了が報じられ、財政面でも厳しい状況に立たされている古豪ウィリアムズ。しかし、昨年後半はルノー(現ロータス)で走ったブルーノ・セナが新加入。叔父のアイルトン・セナが生涯最後に所属したチームでの参戦ということで注目を集めている。もう一人は昨年に引き続きマルドナードがドライブする。


【ケータハム(旧チームロータス)】
■ドライバー
ヘイキ・コバライネン
ヤルノトゥルーリ
■新車発表
発表済み「CT-01」
■トピックス
2010年から新規参集しているロータスレーシング。昨年のシーズン前から旧ロータスルノーと揉めていた“ロータス”の名称問題が解決し、今年からケータハムに再度チーム名を変更することを決めた。すでに新車「CT-01」が公開されており、マシンカラーは今までと変わらず緑だ。


【HRT】
■ドライバー
未定
■新車発表
未定
■トピックス
昨年同様に、HRTの新車発表は後手後手に回っている。他チームのドライバー体制もほぼ決定してきた中、HRTだけが2枠とも未定。ビタントニオ・リウッツィが有力候補と言われているものの、まだ正式な発表はない。さらに2月7日の合同テスト開始までに新車も間に合わないことが確実になっている。


【マルシャ(旧ヴァージン)】
■ドライバー
ティモ・グロック
シャルル・ピック
■新車発表
2月21日(予定)
■トピックス
昨年までヴァージンという名称で参戦していたが、今年からマルシャに変更。しかし中身の体制は昨年からと変更はない。ドライバーは昨年に引き続きティモ・グロックがエースを務め、新たにフランス人ドライバーのシャルル・ピックがF1デビューを果たす。新車は開発が遅れており、2月7日のヘレス合同テストには間に合わない見通しだ。


『記事:吉田 知弘』

GT300王者のグッドスマイルレーシング、2月12日(日)に幕張メッセで参戦発表会を開催

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[2011年のGT300クラスを制した初音ミク グッドスマイルBMW]

昨年、SUPER GT(GT300クラス)のチャンピオンに輝いたグッドスマイルレーシングが、2月12日に2012年のSUPER GT参戦発表会を行う事が、GSRオフィシャル広報ブログで明らかにされた。

GSRオフィシャル広報ブログ
http://minkara.carview.co.jp/userid/797000/blog/25280741/

発表会は、幕張メッセで開催されるガレージキットの祭典「ワンダーフェスティバル2012(冬)」内の「WONDERFUL HOBBY LIFE FOR YOU!!」ブースのステージで12時40分から行われる。

WONDERFUL HOBBY LIFE FOR YOU!!
http://www.whl4u.jp/index.html


ブログでは今年も「GSR&Studie with TeamUKYO」として参戦することが明らかにされており、昨年に引き続き大橋逸夫氏がチーム監督、片山右京氏がスポーティングディレクターを務め、GT300史上初となるチャンピオン連覇を目指す。

なお、注目のドライバーは当日の発表会でお披露目となる。

■グッドスマイルレーシング 2012年 SUPER GT 参戦発表会 出演者
・エントラント代表 鈴木康昭(株式会社スタディ代表)
・チーム監督 大橋逸夫
・チームスポーティングディレクター 片山右京
・スーパーバイザー 安藝貴範(GOOD SMILE COMPANY/GOOD SMILE RACING代表)
・2012年度チームドライバー
・2012年度レースクイーン「レーシングミクサポーターズ2012」

また、当日は2012年仕様のグッドスマイルレーシングのマシンも新カラーリングが施された状態で展示される予定だ。

この参戦発表会の模様は、ニコニコ生放送でインターネット中継されるほか、実際に会場内のブース前でも観覧可能。ただし観覧にはワンダーフェスティバルの入場券(中学生以上:2,000円)が必要となる。

ワンダーフェスティバル2012(冬)
http://wf.kaiyodo.net/

昨年はJIMGAINERのフェラーリ458と、最終戦まで激しいチャンピオン争いを演じ、見事逆転でGT300チャンピオンの栄冠を勝ち取ったグッドスマイルレーシング。今年は「ディフェンディングチャンピオン」として迎えるシーズンを、どのようなドライバーズラインナップ、どのようなマシンで挑むのか、2月12日の体制発表から目が離せない。

『記事:吉田 知弘』

ピレリタイヤが2012年のF1タイヤを発表。昨年以上に柔らかいコンパウンドを投入予定

Pirelli_2012 F1_Tyres_04

今年もF1に参戦する全チームにタイヤを供給するピレリが、2012年用のタイヤを発表した。

昨年からタイヤ供給を始めたピレリタイヤ。2010年までタイヤ供給を行ってきたブリヂストンとは異なり、あえて消耗の早いタイヤを開発。これにより何回もタイヤ交換をしなければいけないレースでの、各チームの戦力の差やコース上でのオーバーテイクの機会を増やす要素となった。

ピレリ会長のマルコ・トロンケッティ・プロヴェーラ氏は2011シーズンを振り返って「昨年は良い経験ができた。各チームからは2011年のようなレースを盛り上げるキャラクターを持ったタイヤを引き続き供給してほしいと依頼された」とコメントした。

今回発表された2012年用のF1タイヤ。晴れ用のドライタイヤはスーパーソフト、ソフト、ミディアム、ハードの4種類。雨用のレインタイヤはインターミディエイト(小雨用)とウエット(豪雨用)の2種類。今年も、タイヤ側面のロゴを色分けする事で、誰がどのタイヤを装着しているかを見分けられる仕組みが採用される。

Pirelli_2012 F1_Tyres_05

ロゴの色分けについては、ドライタイヤは昨年同様に「スーパーソフト:赤」「ソフト:黄」「ミディアム:白」「ハード:銀」の4色。レインタイヤは「インターミディエイト:緑」「ウエット:青」と一部変更されている。

昨年は“P ZERO”ブランドで統一されていたF1タイヤだが、今年はドライタイヤのみ“P ZERO”で、レインタイヤは新たに“Cinturato(チントゥラート)”の名称が使われる事になった。この“Cinturato”は、1950年代にピレリがF1参戦していた頃に使用されていた名称で、久しぶりの復活となる。

この他にも2012年用のタイヤの特性についても発表され、特にドライタイヤではソフト・ミディアム・ハードの3種類のコンパウンドが見直された。昨年仕様のものより柔らく、タイヤの持ち味が最大限発揮される時間も長くなったほか、2012年の空力レギュレーション変更に伴うダウンフォース低下を補うため、以前よりも四角い形状にして路面との接地面を増やすなど、タイヤの形状面も変更が入っている。

また、昨年は各レースに持ち込まれる2種類のドライタイヤの性能差が大きく、1ラップあたり1.2~1.8秒のパフォーマンスギャップがあったが、今年はコンパウンドの見直しで、その差を0.6~0.8秒(約1秒以内)に収めることを目標にしていくとの事。

この2012年用F1タイヤは、2月7日からヘレスサーキット(スペイン)で始まる今季初の公式合同テストでデビューする予定だ。

『写真:Pirelli』
『記事:吉田 知弘』

【WEC】トヨタが2012年のWEC参戦計画を発表、ル・マン24時間耐久レースにも挑戦

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1月25日、トヨタはフランス・ポールリカールサーキットで、2012年FIA世界耐久選手権(WEC)の参戦体制を発表し、新型マシン「TS030 HYBRID」のお披露目も行った。

ドライバーには元F1ドライバーのアレックス・ブルツや、2011年フォーミュラニッポンでランキング2位となった中嶋一貴の起用も発表された他、1999年以来となるル・マン24時間耐久レースへの参戦も発表された。

[以下、リリースより]
トヨタは、1月25日からフランス・ポールリカールサーキットで、2012年FIA世界耐久選手権(World Endurance Championship; 以下WEC)に参戦するべくモータースポーツハイブリッドシステムを搭載した車両のテストを開始し、合わせて2012年参戦体制についても発表した。

トヨタのWEC参戦チームは、TOYOTA Motorsport GmbH(TMG)(ドイツ・ケルン市)を本拠とし、チーム名はTOYOTA Racing。参戦車の名称はTS030 HYBRIDとする。

TOYOTA Racingは、5月5日に開催されるFIA世界耐久選手権第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースで、TS030 HYBRID をデビューさせる。

また、TOYOTA Racingは、第3戦ル・マン24時間(6月16・17日:フランス・ル・マン市)では、2台のTS030 HYBRIDを出場させる予定。
なお、このほかのレースへの出場は、未定であるが今後決定しだい発表する。

TS030 HYBRIDのドライバー・ラインアップは、1台はアレックス・ブルツ(Alex Wurz:37歳 オーストリア)、ニコラス・ラピエール(Nicolas Lapierre:27歳 フランス)、中嶋一貴(27歳 日本)が決定しているが、もう1台のドライバー・ラインアップに関しては検討中。また、アンドレア・カルダレッリ(Andrea Caldarelli :21歳 イタリア)が、ジュニア・ドライバー*としてTOYOTA Racingに加入した。 *ジュニア・ドライバー:研修生的位置づけのドライバー

TS030 HYBRIDは、1990年代のル・マン24時間で表彰台フィニッシュを達成したTS010とTS020の名を引き継ぐモデルで、TSはTOYOTA Sportの頭文字を取ったものである。

トヨタは、ハイブリッド・システムを採用してのFIA世界耐久選手権出場を発表した世界初の自動車メーカーとなる。これは、世界で3百万台以上のハイブリッド車を販売したトヨタならではのパイオニア的アプローチといえる。

トヨタがTHS-R (TOYOTA Hybrid System - Racing)と呼ぶTS030 HYBRIDのパワートレインは、最高のパフォーマンスを発揮する設計で、最新の3.4リッターV8自然吸気ガソリン・エンジンに、日清紡ホールディングスと開発したキャパシタ(蓄電器)を備えるハイブリッド・システムを採用している。

TS030 HYBRIDの初回テストでは、アイシン・エィ・ダブリュ製フロント・モーターシステムとデンソー製リア・モーターシステムが、現行レギュレーションの下でどのようなメリットがあるかを評価する。
ちなみに、現在のレギュレーションは、ブレーキングゾーンの間で駆動アシストに使えるエネルギーを500kJまでに制限すると共に、エネルギーの回生は2輪のみからと限定している。

最新のカーボンファイバー製LMP1シャシーはTMGで開発・製造され、車両の組み上げもTMGが行った。また、今回のテストに先駆け、システム機能の確認を目的に、1月11~13日のフランス・ポール・リカールで行われたTS030 HYBRIDのロールアウトも、TMGが担当した。

TS030 HYBRIDは、このロールアウトで夜間走行を含む数百キロを走破し、テスト・プログラムの初期段階から高い信頼性とパフォーマンスを見せた。

ポール・リカールのロールアウトでは、アレックス・ブルツとニコラス・ラピエール、また、TOYOTA Racingが2台で出場するレースにおけるドライバー候補である石浦宏明(30歳)がTS030 HYBRIDの走行を担当した。

現在、TOYOTA Racing のオフィシャル・パートナーとしては、デンソー(DENSO)、善都(ZENT)に加え、アイシン精機(AISIN)、新日本製鐵(NIPPON STEEL)、日清紡ホールディングス(NISSHINBO)、タカタ(TAKATA)、豊田合成(TOYODA GOSEI) とミシュラン(MICHELIN)が予定されている。

木下美明 チーム代表
「もちろん、ル・マンでは優勝したいと思っている。優勝は、このレースに出場する誰もの夢だと思う。しかし、非常に強いライバルを相手に戦えるようになるには学び、成長しなければならないと現実的に考えており、今年の我々の目標は、THS-Rパワートレインを主としたTS030 HYBRIDの性能レベルを見せることだ。ハイブリッドはトヨタのコア技術であり、モータースポーツの舞台でこれを見せることは重要であり、ラップタイムと燃料効率の両方でパフォーマンスのアドバンテージを発揮できることを証明したいと思う。ここまでたどり着くことができたのは、TMGと日本のモータースポーツ部で設計、開発、TS030 HYBRIDの準備に関わった全員の努力のおかげだ。またサーキットに戻れることになり、全員がとても興奮している」

パスカル・バセロン テクニカルディレクター
「TS030 HYBRIDの2大特性は、空力とハイブリッド・システムだ。ハイブリッド・パワートレインに関するレギュレーションでは、ブレーキング時のエネルギー回生が認められているため、このエネルギーを回生及び保存して放出、コーナー出口のスピードを上げ、ラップタイムの向上に繋げることができる。どのような性能レベルにおいても、ハイブリッド・パワートレインはこれを少ない燃料で行う事ができるため、我々はこの非常に重要なテクノロジーを耐久レースで使えることを楽しみにしている。開発段階でもうひとつ重要なポイントとなったのは、空力効率だ。TMGの開発チームは風洞とシミュレーションソフトを用いて空力コンセプトの最適化に力を注いだ。ロールアウトの際のフィードバックも良好だったので、今後数週間の開発作業に期待が持てると思う」

村田久武 ハイブリッド・プロジェクト・リーダー
「トヨタのモータースポーツ用ハイブリッド・システムは、開発に取り組んで来たこの数年間で大きく進歩した。ル・マン24時間というモータースポーツにおける究極の試練の場に、この技術を持ち込む準備ができたと感じている。ハイブリッド・システムを採用するということは、標準的な動力源と比べればもちろん、異なるチャレンジである。しかし、デンソー、アイシン・エィ・ダブリュ、日清紡ホールディングスといったパートナーと共同で開発に取り組んで来たTHS-R技術も、TS030 HYBRID の総合コンセプトの一部。この技術を用いてブレーキングゾーンの間で最高500kJのエネルギー回生及び保存を行い、フロントまたはリヤのモーターを通してこのエネルギーを放出することによって、クルマの加速性能向上に繋げることができる。トヨタのハイブリッド技術はすでに24時間レース(2007年 十勝24時間)で勝利を収めているが、今回は最新のTHS-Rで世界のモータースポーツに挑戦する。技術的には非常に厳しい挑戦となるが、我々はこれに臨む準備ができている」

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アレックス・ブルツ
「初めてTS030 HYBRIDを運転したが、クールの一言に尽きる。電力を使ってガレージを出るだけでも、とても未来的だった。クラッチを放すと内燃エンジンが作動し、古い友人が戻って来たような気がした。ソフトタイヤで走った時はかなりのダウンフォースを感じたので今後が楽しみだ。素晴らしく速いクルマになると思う。現時点でもとてもハッピーだが、私は分析してしまう性分なので、まだいろいろと作業が必要だとは思っている。メカニックやエンジニアの皆と一緒に仕事ができて嬉しい。TOYOTA Racingチームはとても国際的で仕事がしやすい。みんな非常にプロフェッショナルなので、とても居心地が良い。それは確かだ」

ニコラス・ラピエール
「ロールアウトの最初の印象は良かった。シャシーは本当に進んでいるし、ハイブリッド・システムの調子もとても良い。TS030 HYBRIDはステアリングに対する反応が良く、レスポンスが素早く効率的。基本的なダウンフォースレベルも高いので、ドライバーにとっては嬉しい。考え方が違うから、これまで乗ったクルマとは全く違う。ロールアウトは手応えがあったし、様々な点でクルマの可能性を感じることができた。まだ、やらなければならないことはたくさんあるが、力強いパッケージに仕上がっていると思う。白紙からのスタートで、エキサイティングな挑戦だ」

中嶋一貴
「TS030 HYBRIDの初走行が待ち遠しい。ロールアウトの際にアレックスやニコラスといろいろと話したが、大きな可能性を秘めたクルマであるのは明らかだ。TMGのドライビング・シミュレーターでは長い時間運転しているので、ヴァーチャルな世界の中ではクルマの事も分かっているし、ル・マンのコースのことも分かっている。やっと本物を運転する時が来た。自分にとっては素晴らしい挑戦だし、TOYOTA Racingと共にFIA世界耐久選手権に出場するのが本当に楽しみだ。ハイブリッド技術を携えてのル・マンへのカムバックはトヨタにとっては大きなチャレンジだと思うが、我々ドライバーにとっても大きなチャンスだと思うので、SUPER GTレースでの経験が活かせることを願っている。このプロジェクトに関わることができて最高だ。今シーズンは本当に頑張りたい」


『写真:TOYOTA MOTOR CORPORATION』