スタート前から大雨となったSUPER GT富士ラウンド。待ちに待ったGTの決勝レースが行われ、GT500クラスは23号車のMOTUL AUTECH GT-Rの本山哲/ブノワ・トレルイエが、優勝した。
スタート前に大雨になったことにより安全のため、急遽セーフティーカー先導によるスタートとなった。スタートからしばらくすると雨脚も落ち着き、5周目にセーフティーカーが解除され、レーススタート。昨日ポールポジションを獲得した39号車を先頭に雨の1コーナーに飛び込んでいった。
当初は、ポールポジションの39号車デンソーサードSC430が有利と見られていたが、スタート直後から大きく失速。大雨のコンディションではミシュランタイヤも強さを発揮できなかった。そこでトップにたったのが、24号車ADVAN KONDO GT-Rがトップに立つ。
一方、当初は雨の中ではブリヂストンタイヤ勢が不利だったのだが、10周目以降はタイヤも温まり、23号車がトップを奪う。その後、2位イカに16秒の差をつけ、レース後半、本山哲にバトンタッチする。しかし、そこから雨がさらに強くなり、本山もペースダウン。2位伊藤に4秒差まで迫られ、残り数周のバトルとなるはずだったが、61周目に雨による路面状況の悪化、そして視界不良により赤旗が出されレース中断。レース成立の規定となる75%以上は超えていたため、そのままレースが終了となり、23号車が2011SUPER GTの初戦を制する事となった。
[悪天候による赤旗中断でストレート上にマシンをとめた各車]
これまで何度もチャンピオンを獲得してきた実績のあるチームニスモだったが、昨年は元気がないレースが多かった23号車。今回は、雨という難しいコンディションを味方につけ、トップを奪還。大混戦が予想される今年のGT500クラスで、最初の勝者となった。
2位には、ENEOSサスティナSC430の伊藤/大嶋組、最後は23号車を苦しめる走りをしていただけに、悔しい2位となった。
3位は、19号車ウエッズスポーツSC430の片岡/荒組が入った。この19号車は、昨年までGt300クラスに参戦。今年はGT500に挑戦するために、ステップアップしてきた。しかし、開幕前に準備が間に合わず、ほぼ“ぶっつけ本番”の状態で、今回の富士ラウンドに挑んでおり、予選結果も厳しいものだった。
しかし、雨のレースを23号車同様に味方につけ、少しずつ順位アップを果たし、最終的には3位のポジションを勝ち取った。
GT500クラスにステップアップした初戦で、表彰台を獲得した。
なお、レース後に行われた表彰式では、登壇したドライバー6人全員が、東日本大震災を考慮し、シャンパンファイトは自粛した。
■観客動員数■
36000人
<インタビュー>
ブノワ・トレルイエ
「久しぶりのレースという事で、モチベーションを上げるのが難しい週末だった。タイヤも昨年までミシュランを使い、今年からブリヂストンに戻し、冬のテストも十分にできなかった中での開幕だったが、クルマの調子も良く、常に他車の情報や気象情報を毎周にわたって細かく無線で聞いていたので、できる限りリスクを削った走行をする事ができた。今回の優勝を、東日本大震災で被災された方に、捧げたい。」
本山哲
「ここ1,2年は勝てないレースが多く、厳しいシーズンを送っていただけに、今回の勝利は嬉しい。今まで勝てていなかった分、今年にかける意気込みはチームとしても強かった。しかし、正直なところ今回は勝てると思っていなかった。でも、雨の決勝で難しくなったコンディションを前向きにとらえて走った。終盤は雨が強く、GT300を追い抜く際も水しぶきで前が見えず、危険な状態だったので、あそこでレースを止めたのは、正しい判断だったと思う。勝てるマシンを用意してくれたチームと、雨の中リードを築いてくれたブノワに感謝したい」
『記事:吉田 知弘(ビギナー観戦塾)』