『最後の最後まで大バトルを演じた38号車と100号車(撮影:SHIGE)』
4月1日、晴天に恵まれた岡山国際サーキットで、2012年のSUPER GTが開幕。決勝レースが82周で争われた。
GT500クラスは、スタートからポールポジションのNo.38ZENT CERUMO SC430がリード。トップバッターを務めた平手晃平が後続を一気に突き放す。一方、2番手スタートのNo.100RAYBRIG HSV-010の伊沢拓也は、タイヤが思うように温まらず一時後退。代わりNo.23MOTUL AUTECH GT-Rの本山哲が38号車に迫り、33周目のヘアピンで狭いイン側のスペースに飛び込んでトップに浮上する。
今回の岡山ラウンドは予選日の激しい雨の影響もあり、路面上のグリップ度が低く、想定外のタイヤ消耗に各チームが苦労。レース後半に向けて、どのようなタイヤチョイス・タイヤマネジメントをしていくかが勝負のポイントにもなった。
レースも約半分に差し掛かる37周目付近から各車がドライバー交代を兼ねたピット作業を開始。ここで一気に優勝候補に名乗りを上げてきたのが100号車レイブリックだった。38号車セルモの1周後、38周目に23号車ニスモと同時にピットインした100号車レイブリックが素早いピット作業で、これまであったタイム差を一気に短縮。後半を任された山本尚貴がタイヤが温まりきっていないアウトラップから果敢に攻め、トップを奪うタイヤが温まり始めていた38号車セルモの立川に何度か仕掛けられるが、トップを死守して一時3.7秒まで後続に差をつける快走を見せた。
しかし、GT300車両の処理に手間取り、再び100号車山本と38号車立川の差が急接近。山本も何度か応戦したが69周目のヘアピンで仕掛けられ、次のリボルバーカーブでトップを奪われる。これで38号車セルモの優勝が決まりかと思われたレース終盤。さらなるドラマが待っていた。
抜かれてからも、必死にトップを追いかけた100号車山本。残り5周でトップ38号車立川との差を1秒以内にし、再び勝負を挑む。相手は大ベテランで数々のバトルを経験してきた立川だけに、なかなかチャンスが生まれてこなかったが、ラスト2周のレッドマンコーナーでアウトから抜き、再逆転。悲願の初優勝に向けトップでファイナルラップに入っていく。このまま最後の1周を逃げ切りたかった山本だが、立川も最後まで諦めずに反撃。バックストレート後のヘアピンで、わずかに開いたイン側のスペースに飛び込んだ立川が三度トップを奪い返し、そのままフィニッシュ。後半スティントでトップが4度順位が入れ替わるという激しい開幕戦を38号車セルモが制した。
パルクフェルメに戻ってきた立川は激戦を物語るかのように疲労困憊した様子でマシンから降りてきた。、パートナーの平手が駆け寄り、笑顔で抱擁。その後のインタビューでも「最後まで諦めないでよかったです。でも今日は本当に疲れました。」とコメント。一方、わずかの差で惜敗した山本は悔しい表情を浮かべていた。
<<レース後記者会見>>
立川祐路
「今日は本当に疲れました。1周も気を抜けずに最後まで攻めました。100号車の前に出てにげていたのですが、GT300を抜くタイミングで差を詰められてしまい、一度抜かれましたが、諦めずにいきました。最終ラップでは、平手の顔が浮かび“このまま2位で帰るわけには行かない”と思い、最後は意地でしたね。このオフに皆が頑張ってくれてポールポジションと優勝をとれるマシンを作ってくれました。チームスタッフのお陰ですね。100号車が前に行ったときには厳しいかなと思ったけど、タイヤももってくれて上手くいきました。次の富士はレクサス勢が得意としているので、ウエイトハンデがあっても前にいける自信があります。開幕戦できっちり優勝しリードできた事は大きいですね。」
平手晃平
「シャンパンを浴びすぎて、寒いです(笑)開幕戦からポールポジションと優勝で本当に嬉しいです。昨年とは全く違うスタートができました。序盤は逃げるためのタイヤ選択だったので、スタートからプッシュしました。中盤からリアタイヤが苦しくなって23号車との差が縮って、抜かれしまいましたが、立川さんにバトンタッチすれば、上手くやってくれると思っていたので離されずについていきました。後半はタイム差があったのでいけるかなと思ったのですが、最後はヒヤヒヤでした。残り5周はもっと安心して見たかったですね。さすが立川さんです!」
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