【INDY】第98回インディ500決勝:琢磨は不運に見舞われ19位、ハンターレイが伝統の一戦を制する

©INDY CAR
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 2014年のVERIZONインディカー・シリーズ第5戦。今年も世界三大レースの一つと言われているインディ500の第98回大会決勝が現地時間の25日(日)にインディアナポリス・レースウェイで行われた。昨年はどんよりとした曇り空でのレースだったが、今回は朝から晴天に恵まれ、アメリカのみならず世界中のレースファンが今年も巨大オーバルを囲むスタンドを埋め尽くした。

 日本期待の佐藤琢磨(AJフォイトレーシング)は後方23番手からのスタート。一番マシンが密集する中の序盤戦を上手く切り抜け、少しずつ順位を上げていく。最初のピットストップで12位まで浮上。前半も展開を大きく左右するアクシデントが起きることなく進んでいたため、このままのペースでいけば上位フィニッシュに加え表彰台も手が届くのではないかと思われた。

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 琢磨とチームも、これをチャンスとみて1回目のピットストップ時にセッティングの微調整を実施。何台ものマシンが連なりながら各ターンを駆け抜けていく展開で少しでも有利に戦おうと目論んだ。しかし、それが裏目に出る結果となりマシンバランスが一変。第2スティントではズルズルと順位を落とす苦しい展開に。その後のルーティーン・ストップでセッティングを戻し再度追い上げを開始した。

 今回のインディ500は、珍しくアクシデントがなくスタートから149周目までアンダーグリーン(通常レース状態)のまま進行。前半で大きく順位を落とした琢磨は、1台ずつ着実にパスしていき、全体の4分の3が経過する頃には9位まで浮上。その後、アクシデントが発生しフルコースコーションに。そのリスタートでは抜群の反応をみせ5位まで順位を上げ、ついに表彰台や優勝の可能性も現実のものになりそうだった。

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 しかし、この直前(168周目)にスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がクラッシュした際、飛び散った破片が琢磨のマシンのサイドポット下部に刺ってしまったのだ。ダウンフォースが大きく抜けるというトラブルに見舞われペースダウンを余儀なくされた琢磨。今回もインディの勝利の女神に見放されてしまい、19位でフィニッシュした。

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 一方、トップ争いはライアン・ハンターレイ(アンドレッティ・オートスポーツ)とエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)の一騎打ちに。残り10周を切ったところで後方の1台がクラッシュ。予想以上にコース上に破片が飛び散ったため、インディでは珍しく赤旗中断に。10分ほどのコース清掃の後、残り6周のところで最後のリスタートが切られた。この時点でトップはハンターレイだったが、カストロネベスも果敢に攻め一時トップを奪う。ほぼ各ターンで抜きつ抜かれつのバトルを展開。インディアナポリスは熱狂に包まれた。結局、ハンターレイが最後の最後で再逆転を果たし、わずか0.0600秒差とでトップチェッカーを受けた。ちなみに98回行われたインディ500史上で2番目の僅差。2012年のシリーズチャンピオンが、ついに伝統の一戦を制した。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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