2013年のSUPER GT第3戦セパンの決勝レースが現地時間の16日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットで行われた。毎年灼熱の中で行われ、シーズン中で最も過酷なレースの一つと位置づけられているセパン戦。気温30℃、路面温度38℃とマシンにとってもドライバーにとっても過酷なコンディションでスタートが切られた。
GT500クラスはポールポジションのカルソニックIMPUL GT-R(松田次生)を先頭にZENT CERUMO SC430(平手晃平)、Keeper TOM’S SC430(アンドレア・カルダレッリ)と順当に続く展開となった。まずは1周目から2位の平手が果敢にトップを狙い、12号車の松田に仕掛けていく。何度か並びかけられるシーンがあったものの、ベテランらしい冷静な走りでトップを死守。その間に3位に上がってきたREITO MOLA GT-Rの関口雄飛がトップ争い加わる。6周目の14コーナー(裏ストレート手前の右コーナー)で平手を抜きにかかったときに接触。平手はスピンを喫し大きくクラス最下位まで後退。関口もペースダウンを余儀なくされ優勝争いから脱落してしまう。ライバル達が後方で争っている間に単独でリードを広げた松田。このまま安定した走りで後半のジョアオ・パオロ・デ・オリベイラにバトンを繋ぎたかったところだったが、今回一番の伏兵であるウイダーモデューロHSV-010(山本尚貴)が8番手スタートから猛烈な勢いで追い上げてきていた。ここ2年連続でポール・トゥ・ウィンを飾っている18号車のHSV。予選ではQ2でコースオフがあり後方からのスタートとなったが、1台だけ異次元のペースで次々と前のマシンをオーバーテイク。ついに18周目の14コーナーで12号車をとらえ最終コーナーでパス。トップに躍り出た。その後も山本のペースは落ちることなく、あっという間に5秒以上のリードを築き、ドライバー交代のためピットへ向かった。
十分なリードを持っていたため、確実な作業を行えばトップでコースに復帰できることは確実だったが、作業を終えてスタートしようとした時にエンジンがかからないというアクシデントに見舞われ大きく後退。山本の力走も叶わず、8位まで後退した。これで18号車の優勝のチャンスは潰えたと思われたが、後半のステアリングを握ったフレデリック・マコヴィッキィは全く諦めておらず、ライバル達よりラップあたり約1秒近く速いペースで1位の12号車を追いかけた。32周目には18.4秒あった差がみるみるうちに縮まっていくとともに、1号車の本山哲やKEIHIN HSV-010の塚越広大などSGTを代表するトップドライバーを次々とパス。5位に浮上してGT500史上でも例がないほどの大逆転劇を予感させた。しかし、残り15周を切ったところでマコヴィッキィに立ちはだかったのが、37号車の伊藤大輔。先手先手でオーバーテイクのチャンスを潰す巧みなライン取りで18号車を封じ込め、これには各国のGT選手権で活躍してきたマコヴィッキィも攻略できなかった。素晴らしい走りで4位を死守した伊藤だったが、最終ラップでGT300と絡みコースオフ。結果18号車が4位を手に入れることになった。
ライバルの思わぬアクシデントで再びトップの座を手に入れることになった12号車。気温がさらに上がった後半スティントでオリベイラがタイヤを労る堅実な走りを披露。2位以下を全く寄せ付けないレース運びで今季初優勝となるチェッカーフラッグを受けた。2位にはDENSO KOBELCO SC430(脇阪寿一/石浦宏明)、3位にはRAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)が入った。
1周のウイニングランを終えてホームストレートに帰ってきたオリベイラは、マシンを降りるとルーフに登ってお決まりのガッツポーズを披露。前半スティントを務めた松田と星野一義監督に出迎えられた。この灼熱の中でミスのない完璧な走りをみせた2人に対し星野監督は「今日のドライバーの働きは本当に素晴らしかった。このマシンが持っている力を100%、いや110%ぐらい引き出してくれていた。本当に感謝、感謝です」と答えると感極まって涙するシーンもみられた。
これで3戦を終了し、ホンダ、レクサス、日産の3メーカーが1勝ずつ分け合う形に。ポイントランキングでは100号車の伊沢/小暮組がトップをキープ。12号車の松田/オリベイラ組が2位に浮上。3位に脇坂/石浦組の39号車がつけている。次回の第4戦は宮城県のスポーツランドSUGOを舞台に7月27・28日に開催。チャンピオン争いの行方を左右する重要な1戦になりそうだ。
『記事:吉田 知弘』
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