アメリカ・モータースポーツ最大のイベント「第97回インディ500」の決勝絵レースが現地時間の26日(日)。インディアナポリス・モーター・スピードウェイで行われた。
気温20℃を下回る季節外れの肌寒いコンディションとなった当地だが、1年間この日を楽しみにしていたファンが来場。1周2.5マイル(4.023km)あるオーバルトラックを囲むスタンドは満員となった。
スタート前から伝統的なセレモニーが行われ、現地時間の12時12分にいよいよパレードランがスタート。コースを200周、計500マイル(800km)に及ぶ長いレースが幕を開けた。
日本期待の佐藤琢磨(AJフォイト・レーシング)は18番手からのスタート。ここまでプラクティスでは上位に食い込む速さは見せていなかったものの、序盤の混戦状態をうまく利用し、着実に順位を上げていく。最初は14〜16位集団での争いだったが、フルコースコーション後のリスタートでも順位を上げ、4分の1に当たる50周終了時手で6番手に浮上。今回も気が付くとトップ争いに加わろうとしていた。ここからAJフォイト・レーシングが今季得意としているピット戦略などで差が出てくる中盤戦。ファンの期待もさらに高まったが、57周目のターン2で痛恨の単独スピン。幸い、マシンはウォールにヒットすることなくエンジンをかけ直して戦列に復帰したが、27位まで大きく後退してしまった。
幸い、チームとの連携でラップダウン(周回遅れ)になることは回避できた琢磨は、最後まで諦めずプッシュ。ルーティーンのピット作業でチームクルーも迅速な作業で彼を送り出し、最終的にスタート順位を5つ上回る13位でチェッカー。残念ながら昨年のリベンジを果たすことはできなかったが、シリーズポイントを157まで伸ばしランキング2位と上位をキープすることに成功した。
優勝争いは、後半になって主導権を握り始めたトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)とライアン・ハンターレイ(アンドレッティ・オートスポーツ)、新人のカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポーツ)らの争いに。残り3周で切られたリスタートでカナーンが仕掛け、ハンターレイからトップを奪う。このまま昨年同様に最終ラップまで優勝争いがもつれ込むのかと思われたが、直後に昨年の覇者ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)がクラッシュし再びフルコースコーション。このままチェッカーフラッグとなり、大ベテランのカナーンが挑戦12年目にして初のインディ500制覇を成し遂げた。2位にはムニョス、3位にハンターレイの順で次々とチェッカーを受けた。
ウイニングランを終え、ビクトリーレーンに戻ってきたカナーン。こちらも伝統の一つである牛乳を飲み干すと、その後もインディアナポリスのコントロールライン「ブリックヤード」にキスするなど喜びを爆発。シリーズ戦でどんなに輝かしい成績を残していても、そう簡単に勝つことが出来ないインディ500。その1勝の“重さ”を感じるレースだった。
決勝絵レースで心配されていた雨も降ることはなく、今年も約2週間にわたって行われた伝統のインディ500レースウィークが終了。次回は第6戦は第6戦デトロイトが6月1日(土)にRace1決勝が行われる。
『記事:吉田 知弘』
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