【S-GT】2013第1戦岡山(GT500決勝):三つ巴の大熱戦、RAYBRIG HSV-010が大逆転で優勝!

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2013SUPER GT第1戦 岡山ラウンドの決勝が遂にスタートした。昨日は大雨の中でQ2が中止になるなど大混乱だったGT500クラス。MOTUL NISMO GT-R(柳田真孝/ロニー・クインタレッリ)がポールポジションに輝き、2位にEPSON HSV-010(道上龍/中嶋大祐)が入る結果となった。

決勝日は一転して晴天。強風でグリッドウォーク中も旗やボードが飛ばされるなど強風だったが、予定通り14時00分にフォーメーションラップのスタートが切られた。ところが、その直後に2番手のEPSON HSV-010(道上龍/中嶋大祐)がコースアウト。これにより隊列を再度立て直すためにもう1周フォーメーションラップが行われ、81周に減算されてスタートが切られた。

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順当に23号車NISMOがトップで1コーナーに入り、2番手にエプソンHSVが続く。その後ろではホンダHSV勢が序盤から追い上げを開始し、KEIHIN HSV-010(塚越広大/金石年弘)が3番手に上がると、RAYBRIG HSV-010(伊沢拓也/小暮卓史)、ウイダーモデューロHSV-010(山本尚貴/フレデリック・マコヴィッキィ)も順位を上げ、気がつくと2位〜5位がHSV勢で独占された。2位のエプソン道上は何とか後方からの猛追をブロックするが、17号車ケーヒン金石、100号車レイブリック伊沢、18号車ウイダー山本に次々と抜かれ後退していく。その後15周目には山本が昨年のチームメイトである伊沢を抜き去り3位浮上。さらに前を狙った。

その間に、後続との差を広げたNISMO GT-Rのクインタレッリ。このまま独走状態を築きたかったものの思うようにペースを上げられないのと、GT300車両の処理に手間取った関係で1.8秒後方まで迫られる。ここからレース中盤はトップ3台はこう着状態になる。

レースも半分に差し掛かった41周目。ドライバー交代のためのピット作業が始まる。まずは41周目にケーヒンHSVがピットイン。金石から塚越にバトンタッチ。その翌週に3位のウイダーHSVも入るが、山本の頑張りとチームクルーの迅速な作業で逆転し、2位に浮上する。そしてトップも直後にピットインしクインタレッリから柳田という昨年2勝を挙げたチャンピオンコンビのバトンタッチが完了、コースに復帰した。チャンピオンの柳田に挑む2位ウイダーHSVはフレデリック・マコヴィッキィステアリングを握る。ヨーロッパのFIA-GT選手権で実績を積んできたドライバーだが、SUPER GT初参戦。1分25秒台のペースで柳田を追いかける。

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しかし、マコヴィッキィの背後には3位に浮上したレイブリックHSV小暮が迫ってきた。今シーズンは名門チーム国光に移籍した小暮は昨年以上の速さを発揮。すぐにマコヴィッキィにプレッシャーをかけるが、相手もGTカーでバトルを積んできたドライバーだけに巧みブロックで小暮を前に行かせない。奏している間に4位のケーヒンHSV塚越も追いつき、残り20周でHSV勢3台による激しい2位争いが行われる。しかし徐々にタイヤがきつくなったマコヴィッキィは68周目のアドウッド・カーブで単独スピンを喫し4位に後退。その後も厳しいレースを強いられ18号車ウイダーHSVは5位でフィニッシュすることになる。

これで2位争いは小暮と塚越の一騎打ち。この間にトップのNISMO柳田が逃げ切るのかと思われたが、残り10周を切ったところでペースが伸び悩み、小暮と塚越に追いつかれてしまう。昨年もファイナルラップまで激しいトップ争いが繰り広げられたGT岡山ラウンドだが、今年は残り10周を切って日本を代表するトップドライバー3人による「三つ巴バトル」がレースのハイライトとなった。
トップとの差を1秒以内にした小暮は、コーナーを選ばずに柳田を抜きにかかるが、柳田もギリギリのところで踏みとどまり、さらにその隙を狙う塚越も虎視眈々と背後に待ち構えるという息の抜けないバトル。勝負が決まったのは残り5周だった。

ストレート終わりのヘアピンで狭いスペースをついて横に並んだ小暮。しかし柳田も維持で前に出さず、ハイパーコーナーからレッドマンコーナーにかけてサイド・バイ・サイドのまま走行。結局マイクナイトコーナー手前で小暮が前に出て柳田攻略に成功。その隙を狙っていた3位塚越も柳田のインを突き2位に浮上する。

これで勝負ありかと思われたトップ争いだったが、塚越も2010年SUGO以来の優勝を目指しチャンスを伺う。2台がテール・トゥ・ノーズのままファイナルラップに突入。なんとか小暮が逃げ切ったかと思われたがレッドマンコーナー出口で300マシンに引っかかり、塚越に一瞬前に出られかける。それでも小暮が意地で抑えこみ、そのままトップでチェッカー。レイブリックHSVのチーム国光が2006年第7戦もてぎ以来、7年ぶりとなる優勝を飾った。2位には最後まで果敢に攻めたケーヒンHSVの金石/塚越組、3位にはバトルに屈したNISMO GT-Rの柳田/クインタレッリ組が入った。パルクフェルメに帰ってくると、待ち構えていたのは新しいパートナーとなった伊沢拓也。昨年は開幕戦岡山で残り半周でトップを明け渡し2位。第2戦富士も残り数周でトップを奪われ、悔しい思いをした。

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マシンから降りてきた小暮を出迎え、勝利を喜んだ。「小暮選手がパートナーとなってシーズンオフも徹底的にマシンをホンダさん含めチーム全員が、この日のために準備してきました。今日の走りを見ると17号車に劣っている部分はありましたが、皆が努力して掴んだ勝利です。そして昨年はあと一歩のところで悔しい思いをしたので、この優勝は本当に嬉しいです。」とコメント。

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また最後に大バトルを振り返って「後半スティントに入ってからタイヤの温まりが良く、すぐに前を狙えました。23号車を抜いてからは雨で路面も濡れ始めていて、さらに300のマシンもいたので、上手く交わしながら逃げていました。最終ラップは300のマシンに行く手を阻まれて横に並ばれましたが、上手くスペースを見つけて抑えることが出来ました。GTでは初めての移籍だったのですが、凄く速いパートナーもいるし、マシンも速くてチャンピオンも狙えるチームなので、その初戦を優勝で飾れて嬉しいです。」とレースを振り返った。

『記事:吉田 知弘』

吉田 知弘(Tomohiro Yoshita)

投稿者プロフィール

フリーのモータースポーツジャーナリスト。主にF1やSUPER GT、スーパーフォーミュラの記事執筆を行います。観戦塾での記事執筆は2010年から。翌年から各サーキットでレース取材を重ねています。今年はSUPER GTとスーパーフォーミュラをメインに国内主要レースをほぼ全戦取材しています。
初めてサーキット観戦される初心者向けの情報コーナー「ビギナー観戦塾」も担当。

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