F1第15戦日本グランプリの決勝が鈴鹿サーキットで行われ、日本の小林可夢偉(ザウバー)がレース序盤から常に上位争いに加わるレース運びをみせ、見事3位表彰台を獲得した。
3番手スタートの可夢偉は、不安視されていたスタートを見事に決め、2位のマーク・ウェバー(レッドブル)をパス。その直後に後続で多重クラッシュが発生し、セーフティカーが導入。リスタート後もトップのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)を必死に追いかけるも、鈴鹿を大得意とする現王者は独走態勢を築いていき、可夢偉は後続のジェンソン・バトン(マクラーレン)やフェリペ・マッサ(フェラーリ)とのマッチレースになっていく。
1回目のピットストップでマッサに先行を許してしまい、3位におちてしまうものの、4位のバトンとは常に安全なマージンを保ってレース後半を迎える。
一方、トップのベッテルは2位マッサを着実に引き離しトップをキープ。いつの間にか国際映像に取り上げられなくなるほどの“独走態勢”を築いていく。
可夢偉の表彰台が見え始めたレース終盤。初の表彰台に向けて最後の試練が訪れた。
第2スティントのハードタイヤが消耗が進み始めた31周目。可夢偉がいち早く動き2回目のタイヤ交換を終える。ここからきっちりと自己ベストタイムを連発し、バトンとの“見えないマージン”を稼いでいった。一方のバトンは35周目にピットイン。可夢偉はバトンを5秒先行して3位を死守する。
しかし、先にタイヤ交換した分、先に摩耗が進み始めたのは可夢偉のタイヤ。残り10周というところでペースが落ち始め、バトンに1.5秒後方まで迫られる。終盤にきて苦戦し始めた可夢偉を勇気づけたのは、スタンドに詰め掛けた103,000人のファンが一致団結して可夢偉に声援を送り、彼を後押し。
最後は0.5秒後方まで詰め寄られた可夢偉だったが、何とか持ちこたえて3位でチェッカー。日本人では史上3人目。そして鈴鹿では1990年の鈴木亜久里以来、実に22年ぶりの母国表彰台を獲得した。
パルクフェルメに戻ってきた可夢偉を大声援でファンが出迎え、優勝したベッテル、2位のマッサが自ら歩み寄ってがっちりと握手。表彰式開始前には、どこからともなく可夢偉コールが沸き起こり、鈴鹿サーキット全体が可夢偉一色になった。
表彰式でトロフィーを大きく掲げ、シャンパンファイトではベッテル、マッサからも祝福をうけた可夢偉。恒例の表彰台インタビューではジャン・アレジ氏が登場。そこで可夢偉は「皆さんありがとうございました!今日、初めてのポディウムが鈴鹿ということで驚いていますが、ここにきて改めて、鈴鹿で表彰台に登れたことを誇りに思います!ありがとうございました!」とファンに向かって挨拶。
鈴鹿に詰め掛けたファンも大歓声で可夢偉を祝福した。
『記事:吉田 知弘』
コメント
トラックバックは利用できません。
コメント (0)
この記事へのコメントはありません。