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【SF】坪井翔、SCも味方に富士を完全制圧!ポール・トゥ・ウインで今季3勝目を挙げ、堂々のポイントリーダーに
- 2024/10/13
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- 【SF】坪井翔、SCも味方に富士を完全制圧!ポール・トゥ・ウインで今季3勝目を挙げ、堂々のポイントリーダーに はコメントを受け付けていません
10月13日(日)、静岡県の富士スピードウェイにて全日本スーパーフォーミュラ選手権 第7戦が開催され、坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)がポール・トゥ・ウインで今季3勝目を飾った。
この日も朝から青空が広がる快晴に恵まれ気温22度、路面温度26度のドライコンディションの下、前日と同様のスケジュールで朝9時から予選が始まった。非常に接近したタイム合戦が繰り広げられ、終盤には野尻智紀(TEAM MUGEN)が1分22秒152をマークしトップに立った。2番手に0.066秒の差がついていたことからポールポジション獲得かとも思われたが、第6戦で勝利を挙げた坪井が最終アタックで見事に逆転。驚愕の1分21秒880を叩き出し、野尻に0.272秒の差をつけてポールポジションを獲得した。
また、この時点で坪井にはポールポジション獲得による3ポイントが加算され、66.5ポイントでランキング首位に躍り出ていた。2位の野尻とは、0.5ポイント差だ。そんな坪井は予選後の会見で次のようにコメントした。
「昨日からステップをしっかり踏んでポールポジションを獲ることができたので、決勝に向けても一番前とすごくいいところからスタートできるので、アドバンテージになると思っています。ポイントのことはもちろん意識しないわけではありませんが、まずは目先のレースでしっかりと勝たなければなりません」
「今シーズンは富士との相性もいいですし、僕は開幕戦鈴鹿でノーポイントだったので、残り2戦が鈴鹿ということを考えると、取れる時にしっかり取れるように気を引き締めてチームと頑張りたいです」
■3度のSCで荒れたレースを坪井翔が制す。パーフェクトウインで今季3勝目を達成
午後にかけても強い日差しがコースを照らし気温25度、路面温度35度のドライコンディションの下、午後14時40分に決勝の時を迎えた。全21台が揃ってグリッドへ整列し、一斉にスタート。まずはポールスタートの坪井が良い動きだしを見せ、先頭で1コーナーへと入っていく。
2番手には牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が野尻を交わして順位を上げ、4番手には福住、5番手に佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)、6番手には小林可夢偉(Kids com Team KCMG)が続いた。2周目に入ると、牧野がトップに並びかけるが、ここは坪井が抑え切った。さらに後方でもバトルが白熱し、アクシデントが発生。木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)が三宅淳詞(ThreeBond Racing)に追突する形で接触した。
三宅はコース上で身動きが取れなくなり、SC(セーフティカー)が導入された。この間にクラッシュにやや巻き込まれる形となったニック・デ・フリース(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)は、フロントウイングにダメージを負ったようでノーズを交換。また、後に木村にはドライブスルーペナルティが科せられた。
6周を完了して再スタートが切られると、直後には福住が野尻を捉えて3番手にポジションアップ。さらに10周目には2番手の牧野をも捉えて坪井に迫る好ペースを披露していた。この時点で牧野、野尻、小林らがミニマムでピットに入り、タイヤを交換した。続々とコースへと戻るなか、12周目には国本と接触した大嶋がスピンを喫す。
この機を逃すまいと、福住がピットに入りアンダーカットを狙う。その直後には車両回収のため、再びSCが導入される展開となった。その際には先頭走る坪井をはじめ、続々とピットに駆け込む姿があった。坪井は福住の前でコースに復帰し、なんとかトップを死守した。
坪井に続いてコースへ復帰したのは佐藤だったが、コースへ戻る際のピットロードエンドをぎりぎり超えたかどうかのあたりで福住と牧野のふたりと交差する。福住は佐藤の前に出ていたが、牧野はやや接触しながらほぼ同タイミングとなり、どちらが先か判断が難しい状況となった。1コーナーへの進入時点では牧野が前に出ていたが、その後レースディレクションから指示があったか、牧野は佐藤にポジションを一度譲っている。
16周目にリスタートを迎えると、18周目には佐藤が福住をパス。ところが、翌周には福住が再び2番手に順位を戻すという攻防戦が繰り広げられた。その際に佐藤はコカ・コーラコーナーでコースオフしたことで先頭2台とやや離れる形となり、22周目には牧野に抜き去られる展開に。徐々に陽が傾きかけた頃にレースも中盤戦へと突入すると、各所で白熱したバトルが繰り広げられた。
28周目にはTEAM MUGENの2台によるバトルが展開され、岩佐歩夢が野尻を捉えて7番手に浮上。翌周は小林にも交わされ、野尻は9番手まで順位を落としてしまう。この2日間、レースペースに少々苦戦気味のようで、チャンピオン争いを考えても厳しい流れを強いられていた。
レースも終盤に差し掛かり、残り9周になると3度目のSCが導入されることに。山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)と阪口晴南(PONOS NAKAJIMA RACING)の接触があり、ふたり揃ってコースサイドにマシンを止める。山本はフロントの左タイヤが破損し、一時宙を舞う大きなアクシデントだった。
その際、山本は首に痛みを訴えていようで、一時的にマシンを降りられない状況だったが、オフィシャルが救護に駆けつけた後に自力で降りる様子も見られた。車両回収および救急車両の導入で時間を要し、すっかりとタイヤが冷えた状態となったが、残り3周で再開の時を迎えた。
坪井が無事にトップを維持したままホームストレートを駆け抜けていき、福住、牧野、佐藤、太田がそれぞれ続いた。そのままラストラップに入ると、坪井は残したオーバーテイクシステムを全て消費し、2番手の福住とのアドバンテージを広げていき、ポール・トゥ・ウインを飾った。今季における富士の3戦全てを制し、強さを見せつけた。
そんな彼のレースにVANTELIN TEAM TOM’Sの舘信秀監督は、「久しぶりのポールポジションでスタートも良く、ずっと1位をキープしてるというのは、レースが長く感じますね。でも、完璧でした。坪井くん本当にありがとう」と喜びを語った。
2位には福住が入り、今季ベストリザルトを獲得。3位には牧野が続き、ランキング2位に浮上している。一時は表彰台圏内での争いも見せた佐藤は、4位でチェッカーを受けたものの、最低重量違反により失格に。そのため、太田が4位に繰り上げとなった。また、チャンピオン争いを繰り広げる野尻は9位でフィニッシュしたが、失格およびペナルティを課せられた車両があったため、7位に繰り上がった。第6戦で5年ぶりの表彰台を獲得した小林は5位入賞を果たした。
また、この結果から坪井は20点を加算し、86.5ポイントで堂々のランキング首位に立った。3位表彰台を獲得した牧野は、72ポイントで2位に浮上している。野尻は今回の2戦での獲得ポイント数が少なくなり、70ポイントと坪井とは16.5ポイント差に広がった。
富士で圧倒的な速さと強さを見せた坪井は、大量リードを築いた状態で最終戦の鈴鹿に臨むことになる。そんな彼は決勝レースおよび、チャンピオン争いについて次のように語った。
「予選が鬼門だと思っていましたが、ポールポジションを取れたことで今日のレースに向けてはすごくポジティブでした。昨日のレースを踏まえて僕もレベルアップしたつもりでしたが、少し足りない部分も見えてきたので、苦しいレースだったという印象でした。セーフティカーが何度か入ってくれたおかげもあり、かなり展開に助けられました」
「富士でポイントを取らないと、逆にドロップアウトする側だと思っていましたが、今日のレースでリードを広げた状態で最終戦に挑めます。やっぱりライバル勢も手強いので、しっかり考えないと簡単にひっくり返ってしまうポイント差だと思います。気を引き締めて、鈴鹿に向けて頑張りたいです」
また、ドライバーズランキングだけでなくチームランキングも結構している状態だ。首位のTEAM MUGENが111.5ポイントに対して、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGが94ポイントと、17.5ポイント差に差まっている。ドライバーズランキング、およびチームランキングで2位につける牧野は次のように意気込みを語った。
「最終戦の鈴鹿は昨年も優勝していて、DOCOMO TEAM DANDELION RACINGとしても得意としている相性の良いサーキットですし、まだ可能性はあると思います。チームランキングもドライバーズランキングも僕たちは追いかける側なので、とにかくガンガン攻めて悔いなくシーズンを終えることができればと思っています」
次戦の最終戦となる第8戦、第9戦は三重県・鈴鹿サーキットにて11月9〜10日に開催される。今回の富士と同様にそれぞれ各日に予選と決勝が行われるダブルヘッダーの日程だが、いよいよチャンピオン争いも大詰め。坪井がこのままま大量リードで自身初のSFチャンピオンに輝くのか、それともホンダ勢の牧野と野尻が待ったをかけるのか。次戦のチャンピオン決定戦は目が離せない展開となりそうだ。