【SUPER GT】4度のSC導入で波乱の展開となった2024第7戦オートポリス。巧みなピット戦略で逆転を果たしたDENSO KOBELCO SARD GR Supraが今季初優勝を飾る

  • 2024/10/25
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 10月20日、大分県のオートポリスで2024スーパーGT第7戦『AUTOPOLIS GT 3Hours RACE』が行われ、GT500クラスは#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(関口雄飛/中山雄一)、GT300は#88 VENTENY Lamborghini GT3(小暮卓史/元嶋佑弥)が優勝を飾った。

 ここ数戦のスーパーGTは悪天候に見舞われることも多く、スケジュールが変更されることもしばしばだが、今大会も予選日となった19日は朝から雨と霧がサーキットを襲った。そのため、9時20分からのスーパーGT公式練習はキャンセルに。一時は公式通知で午後に向けてのスケジュールとフォーマットの変更が告知されたが、午後も天候の回復が見込めないために、土曜日の全スケジュールがキャンセルとなった。

 これにより急きょ日曜日にワンデー開催というハードなスケジュールに変更。計時予選方式が取られ、各クラスの走行時間は30分間となり、朝8時からGT300クラス予選、8時30分からGT500クラス予選が実施された。

 8時00分から開始したGT300クラス予選は気温12度、路面温度13度と肌寒く、路面にはウエットパッチがやや残る状況だ。ウエットタイヤとスリックタイヤが混在するなかで、走行時間も限られているため27台が一斉にコースインしていく。しかし、各車のタイヤが温まり始めてタイムアタックに入ろうというところで、#4 グッドスマイル 初音ミク AMGの片岡龍也がコースアウトした影響で、赤旗中断となった。

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 再開後はタイムアタックの時間がさらに限られた状況となるなか、#6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI(片山義章/ロベルト・メリ・ムンタン)が1分46秒524をマーク。これにより今季初ポールポジションを獲得した。

 2番手には#56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)、3番手には#777 D’station Vantage GT3(藤井誠暢/チャーリー・ファグ)が続いた。ランキングトップの#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/篠原拓朗/黒澤治)は7番手、2位の#2 muta Racing GR86 GT(堤優威/平良響)は14番手につけた。

 続いて行われたGT500クラス公式予選は、ウエット宣言が出された状況で開始。全15台が一斉にコースインするなか、アタック時間が短いことから各車入念にウォームアップを行う。一時はホンダ・シビック勢がトップ5を占める様子もあったが、終盤にかけてタイム合戦が激しさを増した。

 終盤に速さを見せたのは#24 リアライズコーポレーション ADVAN Z(松田次生/名取鉄平)だった。名取が1分33秒162をマークし、24号車としては2022年のオートポリス以来の2年ぶり、GT500ルーキーの名取にとっては初めてのポールポジションを獲得した。

 2番手には#23 MOTUL AUTECH Z(千代勝正/ロニー・クインタレッリ)が続き、ニッサンZがワン・ツーを占めた。3番手は#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/福住仁嶺)、4番手には#17 Astemo CIVIC TYPE R-GT(塚越広大/太田格之進)が続いた。ポイントランキング首位の#36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/山下健太)は9番手となった。

 各クラスの予選を経て、ピットウォークが行われた後に40分間の1時30分よりウォームアップ走行が実施。ここで各チームが最終のセッティング確認等を済ませ、決勝レースへと駒を進めた。

【GT500】DENSOスープラが4年ぶりの大勝利。タイトル争いは激戦化

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 午後にかけて少しずつ日差しが差し込む天候となり、気温14度、路面温度21度とやや上昇。13時20分に迎えた決勝は、ポールスタートの24号車リアライズ松田がホールショットを奪ってスタートした。2番手の23号車MOTUL AUTECH千代は、一度14号車ENEOS X PRIME福住に先行を許すも、翌周にはポジションを奪い返し、ニッサンZがワン・ツー態勢を築いた。

 4番手の17号車Astemo塚越は6周目にホームストレート上で4号車ENEOSに並びかけ、3番手に浮上。その前方では、トップ2台の距離も次第に縮まっていた。23号車MOTUL AUTECHがトップとのギャップを埋めていくなか、12周目に24号車リアライズを仕留めて首位に踊り立つと、一気にリードを広げていく。

 その後方では4番手の14号車ENEOS X PRIME福住の後方では、#100 STANLEY CIVIC TYPE R-GTの牧野任祐、#16ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16の佐藤蓮、#39DENSOの関口が三つ巴のバトルを展開していた。GT300との混戦の中で#39 DENSO関口が19周目に一気にパッシングして5番手へと順位を上げる。勢いそのままに、21周目には14号車ENEOSも攻略して4番手に浮上する。

 上位では至る所でオーバーテイクが展開されるなか、開始から40分ほどで#19 WedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資がトラブルから、白煙を上げてグラベルにマシンを止める。これによりFCY(フルコースイエロー)が導入されたが、車両回収に時間を要するため、セーフティカー(SC)に切り替わった。

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 29周目に突入する頃にはレース再開を迎え、同時に開始から1時間が過ぎようとしていた。再開と同時に5番手の14号車ENEOSを始め3台が最初のルーティーンピットをこなす。14号車ENEOSは#3 Niterra MOTUL Zと#12 MARELLI IMPUL Zに先行を行かれる状況となり、大きく順位を落とした。

 その翌周からピットレーンが慌ただしい状況となり、39号車DENSOと36号車au TOM’S GR Supraが同時にピットへ。さらに上位陣も反応して17号車Astemoと100号車STANLEYが、同時にピット作業とドライバー交代をこなす。37周目に16号車ARTAがクラスで最後のピット作業を終えると、23号車MOTULが実質のトップに返り咲いた。

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 その後ろには、素早いピット作業を功を奏していた3号車Niterraと12号車MARELLI、アンダーカットを成功させた36号車auも続いていた。その後方で7番手争いが激化し、38周目には14号車ENEOSの大嶋に17号車Astemoの太田がサイド・バイ・サイドを仕掛ける。すると、100R進入アウト側でマシンをねじ込むと行き場を失う形でコースオフしてタイヤバリヤにクラッシュした。この件で14号車ENEOSには後にドライビングスルーペナルティが科せられた。

 これにより2度目のSCが導入され、各クラスの隊列編成が行われた。43周目に再開を迎えると、23号車MOTUL AUTECHの千代がファステストを更新して逃げる。ニッサンZがワン・ツー・スリー態勢を率いたままレースは、折り返しの1時間を迎えると、2番手以降が急接近。5番手につける39号車DENSOが36号車auを捉えて4番手に浮上した。上位争いはやや落ち着きを見せるなか、58周目の64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTを皮切りに2度目のルーティーンピットが行われていく。

 61周目にトップの23号車MOTUL AUTECH、12号車MARELLI、100号車STANLEYが同時にピットへ入る。ここで1度目のピットでドライバーを交代し、ダブルスティントの戦略を取っていた100号車STANLEYが、素早いストップ時間で12号車MARELLIを抜き去る。続く63周目にも3号車Niterraと、39号車DENSOがピットレーンへ向かった。

 その直後、64号車Moduloの伊沢が3コーナーで正面からバリアに激突し、3回目のSC導入の展開に。このタイミングでピット作業を終えた39号車DENSOがニッサン陣営の逆転に成功し、首位に躍り出る。同じく100号車STANLEYも3号車Niterraを上回る。

 64号車の車両回収を終えると、残り50分を切った68周目突入でリスタートが切られた。再開の合図と同時にルーティーピットを終えていない4台が一斉にピットへと入り、翌周には37号車Deloitte TOM’S GR Supraもピットへ向かい、全台のルーティーンピットが完了した。

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 コース上では先頭の39号車DENSOが逃げ始めると、後方では100号車STANLEYの山本と3号車Niterra三宅による攻防戦が繰り広げられる。86周目にはホームストレートでテール・トゥ・ノーズに持ち込まれ、1コーナーで3号車Niterra三宅が先行し、100号車STANLEYは表彰台圏外に下がることとなった。

 すると、GT300車両がクラッシュを喫してFCYから4回目のSCが発動。再び隊列の編成され、残り5分ほどで再開を迎えるかと思われたが、24号車リアライズが最終コーナーでマシンを止め、さらにSCランが延長された。SCが先頭を率いたまま、レースは3時間を迎えてそのまま終了を迎えることに。

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 よって、39号車DENSOが2020年第5戦富士以来となる勝利を挙げた。2番手には23号車MOTUL AUTECH、3位には3号車Niterraが入った。4位には100号車STANLEYが続いた。ランキングトップの36号車au TOM’Sは7位、37号車Deloitte TOM’Sは8位でフィニッシュし、ランキングはトムスのワン・ツーに変わりはない。

 3位につける100号車STANLEYが37号車Deloitte TOM’Sに同ポイントで並びトップとの差を2ポイントに詰めている。また、3位表彰台を獲得した3号車Niterraが46ポイントでランキング4位に浮上し、ポイントリーダーとのギャップを7ポイントとなっている。これにより、タイトル争いはより一層激しさを増す結果となった。

【GT300】VENTENYランボが巧みなピット作業で今季2勝目を飾る

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 GT300の決勝レースは、6号車UNI-ROBOの片山が首位をキープするかと思われたが、3番グリッドスタートの777号車D’stationがトップを奪う。さらに#56リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rと#96K-tunes RC F GT3も襲いかかり、6号車UNI-ROBOの片山は4番手に順位を落とす。

 後方では14番手スタートの2号車mutaは、他者との接触があったようで、最後尾まで大きく順位を下げていた。その頃には、上位勢の2番手争いが激化し、96号車K-tunesの高木真一が56号車リアライズのオリベイラを捉えて順位を上げる。そんなオリベイラの後方にはスタート直後から追い上げを見せていた65号車LEONの蒲生が迫り、4番手とふたつポジションをダウン。

 さらにトップでもテール・トゥ・ノーズのバトルが展開され、10周目には96号車K-tunes RC F高木が777号車D’stationの藤井を交わしてトップへ浮上。17周目に入ると、65号車LEONの蒲生も777号車D’stationの藤井に襲いかかる隙に、31号車apr LC500hの小高も迫り、スリーワイドの2番手争いを繰り広げる。そんななか2番手には31号車apr LC500hの小高が浮上した。

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 レース24周目にはGT500の車両回収のため、FCYからSCが導入される展開に。28周目に再開を迎えると、各車が1度目のピットストップに入ったことで、早めにピットを済ませていた2号車mutaがトップへと躍り出る。2番手には#5 マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号、3番手には31号車apr LC500h GTが続く状況だ。

 この後GT500の車両回収のため、再びSCが導入されことに。再開後には上位につけていた5号車マッハ車検が2度目のピットを済ませ、塩津佑介にステアリングを託したが、ピットへと戻ることとなり、ここで戦線離脱となってしまった。

 一方でトップの2号車mutaも48周目に2度目のピットに向かい、ドライバー交代を済ませるが、2度目のSCリスタート時に手順違反があったとしてドライブスルーペナルティが科されてしまった。それにより、2度目のSC直前にピットを済ませていた#88 VENTENY Lamborghini GT3がトップへと交代する。

 2番手にはポールスタートの6号車UNI-ROBOがつけるも、ペナルティを消化した2号車mutaの堤が74周目にオーバーテイクし、順位を下げる。その後も6号車UNI-ROBOは3番手をキープしていたが、76周目には緊急ピットインを強いられる。これにより、96号車K-tunes RC Fが3番手へと変わる。

 すると、86周目には上位まで追い上げを見せていた#61 SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人が第2ヘアピンでクラッシュし、FCYからSCが導入されることに。残り5分ほどで復帰するかと思われたが、GT500の車両が最終コーナーでストップした影響で、SCカーランのままレースは終了時刻を迎えることに。

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 この結果、88号車VENTENY Lamborghiniが第2戦富士以来の今季2勝目を挙げた。2位には2号車mutaが入り、3位には96号車K-tunes RC Fが続いた。4位にはStudie BMW M4(荒聖治/ニクラス・クルッテン/ブルーノ・スペングラー)、5位には777号車D’station、6位に65号車LEON PYRAMID AMGが入った。ポールスタートの6号車UNI-ROBOは最終的に8位でフィニッシュした。

 GT500同様にGT300もチャンピオン争いは僅差となった。65号車LEONがランキング首位をキープしているが、2号車mutaは10ポイント、777号車D’stationは20ポイント差につけている。

 シーズンとタイトル争いは佳境へと入り、今季も激戦となってきている。残すは2戦、次戦となる第8戦もてぎは栃木県・モビリティリゾートにて11月2〜3日に行われる。

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